8月29日 午前9時28分 地方裁判所 被告人第2控え室 遂に裁判当日。わたしは少し早めに法廷に出向くと、既に待っていたかの様に、バンドのメンバーのウチ、唯と澪が控え 室で待機していた。 唯「弁護士さん、おはよう。今日はよろしくお願いしますね」 ちよ「はい!頑張ります!」 澪「弁護士さん、ちょっといいかな?」 澪はそう言うと、わたしに1本のビデオテープを渡してきた。 澪「これ、私のファンの楽器屋の人にサインあげたら貰ったんだ。あの日のライブビデオなんだけど。何かの証拠になっ たらと思って持って来たんだ」 ちよ「あ、有難うございます!!」 そんな会話をしている中、後ろから恵那が話掛けてきた。 恵那「あの・・・、ところで・・・さっきから気になったのですが」 澪「ん?どうしたの?」 恵那「唯さんは被告人だから兎も角、どうしてバンドメンバーが澪さんしか来ていないんですか?」 ちよ「あ!そういえば・・・」 恵那の言う通りだった。確かに、律も紬も梓も控室には来ていない。 澪「あぁ・・・、律とムギと梓は今日の証人なんだよ。私は律とずっと一緒にいたアリバイがあるから、律に代表で立って貰 うつもりなんだ・・・」 恵那「そうだったんですか・・・」 ちよ「律さんに紬さんに梓さん・・・か」 幸か不幸か選ばれた3人の証人のウチ、気になる人物がいた・・・。田井中律・・・。彼女は何かを隠している感じがあっ た・・・。それと、中野梓・・・。昨日、控え室を訪れた時、彼女だけは一言も口を聞かなかった。事件があってからずっと何 かに怯えている感じにも見えた。あの2人から、隠している事を引き出す。今日の作戦はそこから始まる・・・。 同日 午前10時 地方裁判所 第6法廷 ざわざわざわざわざわ・・・・カン! 裁判長が木槌を叩き、傍聴人を静めると裁判が始まった。 裁判長「これより、平沢唯の法廷を開廷します」 ちよ「弁護側、準備完了しています」 よみ「検察側、準備完了している」 裁判長「それでは、水原検事。冒頭弁論をお願いします」 よみ「了解した」 よみは、資料を片手に冒頭弁論を読み始めた。 よみ「事件は8月27日、午後8時20分頃に国技館のコンサート中に発生した。犯行方法がステージに立っていた人物で も可能な事から、凶器の持ち主である平沢唯を逮捕したものである。検察側はそれを立証してご覧にいれよう」 裁判長「ふむぅ・・・。それでは、水原検事。最初の証人を入廷させて下さい」 よみ「まず、事件の初動捜査を担当した、竹田刑事を証人台へ」 よみは手をかざすと、法廷係官に案内され、ジャンボが証人台へ現れた。 午前10時5分 竹田隆の証言 よみ「それでは、証人。名前と職業を」 ジャンボ「俺は竹田隆、所轄署の初動捜査担当の刑事だ」 よみ「それでは、刑事。事件の説明をお願いする」 ジャンボ「了解!!」 ジャンボ「事件が発生したのはラストナンバーが始まる直前の休憩中に発生した。 この時、控え室に居たのはドラムの田井中律とベースの秋山澪の2人だけだった。 そして、中野梓は平沢憂と2人で自動販売機で飲み物を買いに行っていた。 あと、琴吹紬は執事の斉藤弦と2人で脂望太の持ってきた楽器を取りに、トラックヤードに居た。 その時、平沢唯はギターの調整をする為、1人で倉庫の中で調律をしていた。 これが、事件が発生する直前の状況だ」 裁判長「ふむぅ・・・。確かに、被告人以外のメンバーはアリバイがありますな」 ジャンボ「ちなみに、他の音響スタッフ達はそれぞれ複数で行動していた事が明らかになっている」 よみ「如何かな?裁判長」 よみはジャンボの事件概要の説明を聞くと、完全に納得しきっている様子だった。 裁判長「そうですね・・・、ほぼ決定的と言っていいでしょう。弁護人、反対尋問はありますかな?」 裁判長はわたしに反対尋問を要求してきた。 ちよ「それでは1つだけ。ジャンボ刑事、平沢唯はギターの調律をしていたそうですけど、どのギターの調律をしていたん ですか?」 わたしがさり気なく質問をすると、ジャンボを胸を張って凶器に使われたギターを取り出した。 ジャンボ「勿論、こいつだ。平沢唯も調書ではっきり答えていた。恐らく、平沢唯は調律の途中で入って来た山中さわ子と 口論になり、偶然手に持っていたギターで殴り殺し、ステージ上の天井裏である工作をしたものと、我々は推測 している」 ちよ「そういえば、天井裏に細いワイヤーみたいなもので縛った跡がありましたよね?」 ジャンボ「あぁ、間違いないな。鑑識に調べてもらったが、あれはワイヤーの跡というのが解っている」 ちよ「そのワイヤーらしき紐は見つかったんですか?昨日、聞いた話だと、未発見と聞きましたけど・・・」 わたしがワイヤーの事を尋ねると、ジャンボはビニール袋に入ったワイヤーを取り出した。 ジャンボ「これがそのワイヤーだ」 『異議あり!』 わたしは、昨日見ることの無かった証拠が提出された事でジャンボに異議を申し立てた。 ちよ「ちょっと待って下さい!!そんなワイヤー何処にあったんですか!?」 裁判長「どうやら、そのワイヤーについて証言をお願いした方がよろしいですね」 ジャンボは裁判長に指示され、ワイヤーとギターを証言台に置きながら、証言を始めた。 ジャンボ「このワイヤーは結局、凶器ギターの中から発見された。 恐らく犯行は、ワイヤーで吊るされた被害者の死体を引けば落ちる仕組みにし、 死体発見の混乱に紛れて、咄嗟に手に持っていたギターの中に隠した。 これがこの事件の真相だ」 裁判長「きょ、凶器のギターから被害者が吊るされたワイヤーが発見されたですと!?」 ジャンボ「このワイヤーを新たに証拠品として提出するよ」 ジャンボはワイヤーを提出した。 よみ「刑事、このワイヤーには他に何か手掛かりはあったか?」 よみが主尋問でジャンボに尋ねた。すると、ジャンボは首を横に振った。 ジャンボ「残念ながら、このワイヤーからは指紋や血痕は発見されなかったが、金属製の何かを擦った跡は発見され、天 井裏の手すりに付いた跡と一致した」 よみ「なるほど、指紋は手袋か何かをして付かない様に細工したが、被害者を吊るしておいた時の、被害者の体重や落 とした時の弾みで天井裏の手すりに傷が残ってしまった。そういう事だな?」 ジャンボ「あぁ、そう考えて間違いないと思うよ」 裁判長「ふむぅ、これは計画的ですな・・・。如何ですか?弁護人。何か反対尋問はありますかな?」 ちよ「勿論です!」 わたしは机を叩き、ジャンボを睨みつけた。 ちよ「ジャンボ刑事、ちょっといいですか?」 ジャンボ「アンタがそう言って、『ちょっと』で済んだ事は一度もないんだけどな・・・」 ジャンボはやや怯えながら、わたしに対し、突っ込みを入れた。 ちよ「このワイヤーですけど、指紋が残っていなかったと言いましたよね?」 ジャンボ「あぁ、それがどうしたよ?」 ちよ「『どうしたよ?』じゃありませんよ!先程の証言で貴方はこう証言しましたよね?『被告人は死体発見の混乱に紛れ て、ワイヤーを回収した』と」 ジャンボ「い、言っちまったけど、それが何だ?」 ちよ「しかし、被告人は演奏始った直後に死体を落として混乱させた事になりますよね?」 よみ「あ・・・!ああああああああああああああああ!!な、何という事だ・・・」 よみは何かに気がつき、ショックを受けた。 ジャンボ「え?え?何の事だ?」 裁判長「べ、弁護人!!せ、説明を!!」 この人達は、本当に解っていないようだ。 ちよ「いいですか?被告人はギターリストです。仮に手袋をしていたのならば、ギターは弾けませんし、ピッグも持ちにく い・・・。つまり!!仮に平沢唯が犯人として、死体が落ちてきた後に回収してワイヤーをギターにしまったのなら ば・・・平沢唯の指紋が付着していなければおかしいのです!!」 わたしは盛大にジャンボに向けて指を突きつけると、 裁判長「ああああああああああああああああああ!!!」 ジャンボ「完全に見落としていた!!」 裁判長とジャンボは事態をやっと把握し、問題点に気付いた。 ちよ「ちなみに、問題点はこれだけじゃありません!!」 裁判長「な、何ですと?」 わたしは、開廷直前に澪から貰ったライブビデオを取り出した。 ちよ「これは、秋山澪のファンの1人が撮影したライブビデオです」 わたしは法廷の許可を得てビデオデッキを借り、ビデオを再生した。とりあえず、ラストナンバー直前まで早送りし、問題 のシーンを出した。 ちよ「ここです!これを見て下さい!」 わたしはラストナンバーを歌い始める直前の唯のギターを指摘した。 裁判長「これは・・・被告人ですか?」 ちよ「問題は被告人が持っているモノです」 ジャンボ「持っているモノ?ギターだな?それがどうしたんだ?」 よみ「なるほど・・・そういう事か・・・」 ちよ「そういう事です!」 裁判長「どういう事ですか!?」 ちよ「このギターは、ムジュンしているんです!!」 ジャンボ「ム、ムジュンだと!?」 よみはわたしの立証に付いて来ているが、裁判長とジャンボは完全に置いてきぼり状態だった。 ちよ「こちらをご覧下さい」 わたしは、凶器となったギターを取り出した。 ちよ「このギターと映像のギターをよく見比べて下さい!!」 裁判長「あ・・・ああああ!!ギターが全然違っています!!」 ジャンボ「うおおおおお!?全く気が付かなかったぜぇっ!!」 ちよ「つまり!!」 わたしは盛大に指を突き出した。 ちよ「ステージにあのギターを持ち込んでいない以上、犯行が行えたのは平沢唯ではありえないのです!!」 ジャンボ「ぐおおおおおおおおおおおおお!!」 ざわざわざわざわざわ・・・・・ カンカン! 裁判長が木槌で騒ぎを収めると、 よみ「クックックッ・・・」 よみは余裕な表情で笑っていた。 よみ「流石は美浜ちよだな・・・」 ちよ「ど、どういう事ですか!?」 よみ「この程度の推理で躓く様なバカでなくて安心したよ」 ジャンボ「この程度の推理で躓いたんだが・・・」 まさか、よみは最初からジャンボ刑事の推理の間違えに気が付いていた・・・というのか。よみは前回以上に手強く成長し ていたのだった。 よみ「さて、刑事。君の無能ぶりは充分堪能させてもらった。次の証人へ移らせてもらうとしようか・・・」 ジャンボ「あ、いやあの・・・。だったら、俺の活躍ぶりを・・・」 ジャンボが必死に抗議しようとすると、よみはジャンボに冷たい視線を送り、 よみ「竹田刑事・・・。来月の君の給与査定でも堪能してやろうか?」 ジャンボ「ひっ!し、失礼しましたぁ!!」 ジャンボは慌てて退廷した。・・・にしても、検事ってこんな権力あったかなぁ・・・・。 よみ「それでは次の証人を入廷しよう。ライブを見ていた観客代表を入廷させてくれたまえ」 同日 午前10時42分 脂望太の証言 太は法廷係官に案内され、証言台に立った。 よみ「それでは、証人。名前と職業を・・・」 太「・・・・・・お?アンタなかなかいいねぇ!ぼくちんの好みなんだなぁ〜!」 太はヨダレを垂らしながら、いやらしい目でよみを見た。 よみ「ぬぁっ!!な、名前を聞いているんだ!!質問に答えろ!!」 よみは太の馴れ馴れしい態度にタジタジだった。というか、寄るな失せろ消えろと言いたそうな雰囲気が漂っていた。 太「なぁなぁ、裁判の帰りにホテ・・・・」 よみ「た・・・・頼むから名前を・・・・」 よみは証人に名前を尋ねるのが苦手な様だ・・・。 太「ま、いっか。名前は脂望太。琴吹楽器店の副店長だ」 よみ「それで?君は仕事帰りにライブを見たそうだな・・・・」 太「あぁ!!いやぁ・・・昨日のライブは相変わらず澪ちゃんが最高だったんだなぁ〜!!あずにゃんのネコ耳も見れたし 、かぁ〜もうぼくちん死んでもいいって感じでぇ〜!あ、そうそう澪ちゃんと言えば、高校時代の初ライブでこけてパンチ・・ ・・・・・・・」 『異議あり!』 よみはいつもより激しく異議を唱えた。 よみ「しょ、証人の無駄話に異議を申し立てる!!」 裁判長「異議を認めます。証人、これ以上の無駄話には『法廷侮辱罪』が適応されますので注意して下さい」 太「さ、サーセン」 太は裁判長に圧力を掛けられると、汗だくになり慌てだした。流石に、おしゃべりしただけで罪に問われたら堪らないだろ う・・・・。 よみ「それでは、君はライブを見ていて、不自然に思った点があったそうだな・・・。それを聞かせてくれ」 太「解りました」 裁判長「それでは、証人。証言をお願いします」 太はさっきまでとは違ってやや真面目そうな顔をし、証言を始めた。 太「あの日、仕事を片付けた後、ライブを見ていたんです。 そこで、普段はやっぱり澪ちゃんとあずにゃんに目が行っていたんですが、 あの日は唯ちゃんの調子がおかしかったんです。 きっと、殺人を犯した恐怖でも感じていたんじゃないかなぁ・・・」 裁判長「ふむぅ・・・。証人!!」 太「は、はい!!」 裁判長は太を睨みつけた。 裁判長「証言に憶測を混ぜないで下さい!!」 太「え?でも・・・・」 裁判長「貴方の証言には憶測が混じり込んでいます!!以後気をつけなさい!!」 太「さ、サーセン!」 裁判長を太に警告すると、わたしの方を見た。 裁判長「弁護人、反対尋問はありますか?」 ちよ「そうですね・・・。いくつか2点質問宜しいですか?」 裁判長「どうぞ」 わたしは裁判長に反対尋問の許可を取り、太に目線を合わせた。 ちよ「脂望さん、仕事を片付けた後と言いましたが、何の仕事なんですか?」 太「あぁ、多分、紬お嬢様から話は聞いているかもしれないけど、紬お嬢様に注文された楽器を届けに行ったんだよ」 ちよ「そういえば、冒頭弁論でも、トラックヤードで太さんと居たと言っていましたね・・・」 太「あ、そうだ」 太は何かを思い立ってか、ジャンパーのポケットから一枚の紙切れを出した。 太「何の証拠にもなりやしないと思うけど、コレがその時の伝票だよ」 『異議あり!』 よみ「証人!!」 よみは太に異議を申し立てた。 よみ「琴吹紬に楽器を届けた時の伝票など、何も聞いていないぞ!!」 太「え?だって、コレ・・・。事件には関係ないだろ?凶器だって、唯ちゃんのギターだったんだし・・・」 カン! 裁判長は木槌を叩き太を睨むと、 裁判長「コラァ!!証人!!それは非常に重要な証拠品ですぞ!!」 太を怒鳴り出した。 太「え?え?何で?どうして?どういう事?」 よみ「その伝票はある種、琴吹紬のアリバイ証明にも繋がる決定的な証拠だ・・・。という事だ」 裁判長「その通りです。まぁ、今回は悪気がないのが解っているので、厳重注意で済みましたが、不当に隠したら重罪に なりますので、注意して下さい」 太「うへぇ・・・そんなに厳しいのか?・・・裁判の証人になるってのも楽じゃねぇな」 裁判長「そういう事です・・・。以後、気をつける様に」 太から、伝票を貰った。確かに、紬が受け取ったサインも入っている。購入したのはキーボードか・・・。 裁判長「後はありますかな?」 ちよ「はい!もう1点。唯さんの様子がおかしいというのはどういう事ですか?」 太「あぁ、ラストナンバーの時、いつもと違うギターを使っていたんだよ」 裁判長「そういえば、先程も少し問題になりましたな」 よみ「確かに、凶器のギターはステージに持ち込んではいなかったか・・・」 太「それが既に問題なんだよ」 太が静かに返答すると、一同の視線が太に集まった。 裁判長「しょ、証人?どういう事ですか?『それが既に問題』というのは?」 太「唯ちゃんはな、ラストナンバーを演奏する時は、必ずギー太でないと演奏をしないんだ」 裁判長「ギー太?」 裁判長はギー太を知らないので、首を傾げた。 ちよ「凶器になったギターの事です。被告人が初めて手にしたギターだそうで、その名前を付けたそうです」 裁判長「そうだったのですか・・・」 太「特にラストナンバーの『ふわふわタイム』は、『放課後のティータイム』が初めて演奏した曲だったから、思い入れの強 いあのギターしか使わないそうですよ」 裁判長「ふむぅ・・・なるほど・・・。確かに、被告人の気持ちは解りますね・・・」 太「まぁ、憶測になっちまうけど、多分、ギー太で殴り殺してネックを折ったらしいから、それを誤魔化そうとしたんじゃないかと・・・」 『異議あり!』 わたしは太に向かって指を突きつけた。 ちよ「それはありえません!ギー太は、必ずラストナンバーで使う楽器です!!シロート相手ならまだしも・・・、脂望さん の様な観客相手で誤魔化せるシロモノではありません!!」 太「うぐっ!!」 太はわたしの異議申し立てで、黙り込んでしまった。 『異議あり!』 よみ「だが、あのギターは倉庫で発見され、中からワイヤーが発見されている!!これをどう説明するつもりだ!?」 ちよ「う・・・・」 『待った!』 よみ「?」 よみの異議申し立てに、突然待ったが掛かった。その先は証人席の太からだった。 太「刑事さんの尋問の時から気になっていたんだけど・・・。そもそも、唯ちゃんはどうやって死体を落としたんだい?」 よみ「何だ、そんな事か・・・。それだったら、先程竹田刑事が証言していただろう・・・。平沢唯は自分の立ち位置の目の 前にワイヤーを垂らし、それを引っ張れば落ちる仕組みのだなぁ・・・」 太「いやぁ、それが既におかしいんだよなぁ・・・」 ちよ「ど、どういう事なんですか?」 太の妙な言動に一同の視線が太に集まった。 太「いや・・・。そもそも、唯ちゃんの立ち位置にワイヤーなんて垂れていなかったぜ?」 『異議あり!』 よみ「な、何を言っているんだ!?証人!!それは貴様の見間違えではないのか?」 よみは太の発言に激しく異議を申し立てた。 太「だって、ぼくちん。一番前の席に座っていたし、そんなワイヤーがあったら気付くけどなぁ・・・。それに、もしぼくちんが 見落としていたとしても、ステージに入る場所や立ち位置的に、澪ちゃんがその立ち位置を通り過ぎる訳だし・・・」 ちよ「あ!!そういえば!!ライブビデオでも、澪さんは唯さんの立ち位置を通過していました。でも・・・何も気付いてい る様子はなかった・・・!!」 よみ「ぐっ!!」 よみは想定外の所を太に指摘され、焦りだした。 ちよ「澪さん、傍聴席からすみません!貴女は、ラストナンバーの時に唯さんの立ち位置でワイヤーらしき紐は見ましたか?」 わたしは傍聴席にいる澪に話し掛けた。 澪「・・・そういえば、そんなものは見なかったなぁ・・・」 よみ「そ、その様な事・・・・ありえないっ!!」 よみは大ダメージを受けた。当然だ。唯が死体を運び落とす演出の証拠が全て消えてしまったのだから・・・。 ちよ「あれ?そう考えると・・・。ステージの上に居た5人には死体を落とせない事になっちゃいますよね?」 よみ「あ!!」 よみは脂汗びっしょりかいて混乱し出した。 カン! 裁判長は一旦木槌を叩き、その場を静めた。 裁判長「どうやら、これで立証された様ですな・・・。被告人には犯行が不可能であると・・・・」 よみ「クックックックックッ・・・・」 よみは手札がなくなったにも関わらず、笑っていた。 よみ「まだ、裁判は終わらない!!検察側には、別方面で立証出来る証人を用意している!!」 裁判長「な、何ですと!?」 よみ「その証人達の証言で、事態は逆転するだろう!!」 よみは大々的に宣言した。わたしは確かに、唯に死体が落とせない可能性を立証したが、まだ事件は終わっていない。 それを示していた。 裁判長「解りました。それでは、ここで20分間の休憩を取りたいと思います。水原検事、次の証人の用意をお願いします」 よみ「心得た!」 次の証人でどう事件が動くのか、わたしには全く予想が出来なかった。 つづく |