ある教室にて・・・。
???「ダメ・・・、どうしても出来ない・・・」
???「どうする、先輩?もう締め切り近い」
???「困ったわね・・・、新入生でもいいからコレといった上手い人がいればいいんだけど・・・」
#3:君への想いこの絵にのせて
4月半ばに入り授業も本格的に開始された。ある日のことである。
美術室。
綺墨「は〜い、今日はみんなの実力を知りたいので、人物画にします。誰かと組んで相手の絵を描いて下さい」
ガタガタガタ・・・。
美香「ユウくん、組もう」
裕太「ああ、いいぜ」
という訳で男女のペアで組んで描く事に・・・。
武「で?俺は結局お前とか?」
夏美「いいだろ、妙なのと組むより」
武「美香さんと組みたかったなぁ・・・」
夏美「あんたは・・・、ちょっとは気使えよ」
武「へいへい」
数十分後。
夏美「う〜ん・・・」
武「どうした?」
夏美「いや、アゴの辺りが上手くいかなくてさ・・・」
武「どれ、見せてみな」
武は夏美の絵を見た。
武「おい・・・」
夏美「何か?」
武「誰だよ?このアゴの割れた男は?」
夏美「似てる?」
武「似てる似てない以前だボケ!」
夏美「ちぇ・・・、これで提出したら面白いと思ったのにな・・・」
武「ウケ狙ってどうするんだよ?」
夏美「そういうアンタはどうなんだよ?」
武「み、見るな!俺は絵が下手なんだ!」
夏美「ほぅ?その下手な絵のあたしを拝ませてもらおうじゃん」
武「うわうわうわうわうわぁ!!」
夏美は武の絵を取り上げて見た。
夏美「おい・・・」
びくっ!
武「は、はいっ!?」
夏美「上手下手以前に誰だよ、この鬼みたいな女は?」
武「YOU!」
夏美「ほほぉ・・・・」
ドカバキグシャ!
武「ぎゃぁぁ!!」
夏美「フーフーフー」
夏美は鬼の様な形相で武をボコボコにした。
綺墨「そこ、うるさいわよ!」
夏美「あ、すみませ〜ん!」
そんな時だった。
さやか「わぁ・・・、上手!」
美香の中学時代の友人の後藤さやかが声を上げた。
夏美「ん?」
夏美はさやかの近くに行った。
夏美「どうかしたの?」
さやか「いや、絵が上手いと思って・・・」
夏美「ん?」
裕太「何見てるんだよ?夏美」
夏美「いや、絵が上手いって騒ぐからどんなもんかなぁ・・・と」
さやか「コレ、美香だよね?」
裕太「あぁ・・・」
さやか「似てるというか、本人より可愛いよ!」
夏美「あぁ、こいつ手先器用だから、美術得意なんだよ」
さやか「へぇ・・・。そういえば、篠原さんって大野くんの友達なんだよね?」
夏美「まぁね。武とつるんでたから、勢いで3人で組んでたけど?」
さやか「じゃぁ、もしかして大野くんの元彼女だったり?」
夏美「ば、バカ言ってんじゃねぇよ。誰がこんな几帳面男と・・・」
武「というか、こいつさぁ・・・。もう決めてる相手がいるとか言って、告白した女全員振ったんだぜ」
さやか「え?そうなの?」
裕太「おい、タケ!要らん事を他人にバラすな」
さやか「へぇ、大野くんって結構一途?」
裕太「お前も誤解するな、後藤!」
美香「ユウくん、あたしも見ていい?」
裕太「見ても面白いモンじゃねぇぞ」
美香は絵を見た。
美香「わぁ・・・」
裕太「・・・・・」
美香「・・・・・」
裕太「美香?」
美香「・・・・・・あ!ごめん」
裕太「どうした?ふ、不満だったか?嫌な気分にさせたなら謝るぞ?」
美香「ううん、違うよ。つい、見惚れちゃって・・・」
裕太「大袈裟だ。とにかく、提出してくるぞ」
美香「あ、うん・・・」
裕太は絵を提出した。
昼休み、ある教室にて・・・。
綺墨「とりあえず、今日の授業で描かれた生徒達の絵よ」
???「う〜ん、悪くないな」
???「・・・!」
ボブカットの方が1つの絵に目を止める。
綺墨「どうかしたの?」
???「先生、この絵を描いたの誰ですか?」
綺墨「あぁ、大野裕太ね」
???「大野裕太・・・」
綺墨「確かにこの子の絵は他のと比較するとかなり上手いとは思うけど・・・」
???「先生、この生徒を紹介してくれますか?」
綺墨「この子でいいの?」
???「えぇ、この絵・・・。まさに私の求めていた絵です・・・」
綺墨「解った、後で情報を流すわ」
ボブカットの生徒は綺墨先生からクラスを教えてもらった。
放課後、1年C組。
???「あの、ちょっといいかな?」
さやか「ん?あ、はい」
???「このクラスに大野裕太くんって子がいるって聞いたんだけど?」
さやか「大野くん、お客さんよ」
裕太「俺?」
裕太は廊下に出た。
裕太「あの、何の用ですか?」
涼子「とりあえず、名乗っておくね。私は高橋涼子、美術部の部長をやっているの」
裕太「び、美術部?」
涼子「ちょっと着いてきてくれないかな?」
裕太「それはいいですけど、俺部活動はやらないつもりなんですが・・・」
涼子「それならそれでも構わないわ。兎に角貴方の力が必要なのよ」
そこに、
美香「あれ?ユウくん?」
裕太「おい、美香。今日は帰りが遅くなるかもしれないから」
美香「え?あ、うん・・・」
夏美「おやおや?浮気ですかな?」
武「いけませんなぁ、まったく・・・」
裕太「誤解招く事言うんじゃねぇ」
涼子は裕太を連れて行った。
武「ところで、今の美人誰だ?」
夏美「さぁ?遠藤さん知ってる?」
美香「え?あたしも名前聞いてなかった」
夏美「あとを付けてみようぜ」
美香「あ、うん!」
武「・・・って、いねぇ!」
美香「え?」
夏美「いきなり見失っちまったのかよ!?」
武「まぁいっか。後で何か話してくれるだろ」
美香「そうだね」
夏美「じゃ、帰ろうか。遠藤さん」
美香「あ、うん・・・」
3人は学校を後にした。
そして、連れて行かされた場所は美術準備室。
???「涼子さん、コレが例の生徒なのか?」
涼子「そうよ、陽子ちゃん」
裕太「あ、あの・・・このちっこい・・・」
陽子「ちっこい言うな!私は2年の日下部陽子だ。お前より年上だ、副部長だ。ちっこい言うな」
裕太「せ、先輩でしたか!?す、すみません!」
陽子「まったく、最近の若いのは・・・」
涼子「陽子ちゃんもまだ若いでしょ」
陽子「う・・・む」
涼子「それより本題に入るわね。実は2週間後の土曜日に、シティーギャラリーでウチの学校から絵を出さなくちゃならないんだけど」
陽子「私も涼子さんもコレと言っていいのが描けなくて困っている」
涼子「そこで、綺墨先生にお願いして1年生の絵を見せてもらって君のを選出させてもらったの」
裕太「要するにその美術展に出す絵を俺に描けって事ですか?」
涼子「題材は「気持ちを乗せた絵」という事になってるんだけどね」
裕太「悪いけど、俺部活動に興味がないんで辞退します」
涼子「え?そんな・・・もう貴方しか頼れないのに!」
陽子「涼子さんがこんなにお願いしているのに断るとは何事だ、お前!」
裕太「部員でもない俺にそんな権利はないでしょう」
涼子「大野くん、私は貴方の絵から伝えたい想いというのを感じたわ。他にも上手い人は何人もいたけど、そんな心の籠った絵を描いたのは貴方だけなのよ!」
裕太「・・・すみません、家族を待たせる訳にいかないので、帰ります」
涼子「大野くん!」
裕太は静止を聞かずに出て行った。
裕太は遠藤家に帰ってきた。
裕太「ただいま」
香奈「おかえり〜」
裕太「あれ?美香帰ってないのか?」
香奈「ユウお兄ちゃんこそ、お姉ちゃんと一緒だと思ったのに」
裕太「え?」
香奈「だって、夏美さんとカラオケ行ったって言ってたから・・・」
裕太「あぁ、俺はちょっと用事があったからな」
裕太と香奈は居間に行った。
香奈「そういえば、お姉ちゃんの誕生日ってあと2週間後なんだよ」
裕太「そういや、4月生まれだっけ?」
香奈「うん、2週間後の土曜日」
裕太「へぇ・・・・。ん?2週間後の土曜?」
香奈「どったの?」
裕太「あ、いや・・・」
香奈「そういや、ユウお兄ちゃんは何をあげるの?」
裕太「・・・後でのお楽しみかな?」
香奈「え〜!」
裕太「香奈ちゃんは口軽いから言えないなぁ・・・」
香奈「ケチ!」
裕太は部屋に向かっていった。
翌日放課後、美術室。
ガラー!
裕太「失礼します」
???「ん?誰だお前?」
裕太「あの、高橋先輩いますか?」
???「涼子か?ちょっと待ってろ。涼子、お客だ」
涼子「は〜い」
涼子が準備室から出てきた。
涼子「平治、お客って?」
平治「おい、1年。呼んだぞ」
裕太「ど、どうも・・・」
涼子「お、大野くん!?ど、どうしたの?」
裕太「高橋先輩!美術展の絵描く人見つかりましたか?」
涼子「え?いえ、まだだけど・・・」
平治「美術展って、あの涼子が描くんじゃなかったか?」
涼子「だから、上手くいかなくて困ってるって言ったでしょ」
平治「そういえば・・・」
裕太「俺でよければやらせて貰えませんか?」
涼子「え!?本当!?私は大歓迎よ!でも、どうして急に?」
裕太「ちょうど題材に合った絵の風景が頭の中に浮かんで、どうしても描きたくなった。って理由じゃ駄目ですか?」
涼子「ううん、それで充分!美術準備室に来て」
裕太は涼子に連れられ、準備室へ」
涼子「ここの具材好きなだけ使っていいから、頑張ってね!」
裕太「これだけあれば何でも描けるなぁ・・・」
涼子「じゃぁ、期待してるわね」
裕太「あ、そうだ。この事、俺の友達と家族に内緒にして欲しいんですけど」
涼子「いいわ、人払いしておくから・・・。貴方は好きなだけここに篭ってて」
裕太「助かります!」
涼子「じゃ、頑張ってね」
涼子は準備室を出た。
涼子「ふぅ・・・」
平治「涼子、もしかして今の1年が?」
涼子「そう、大野裕太くんよ」
平治「なるほどな・・・。涼子は人を見る目あるからなぁ・・・」
涼子「平治だって、あの絵には納得してたでしょ?」
平治「アレで納得しない奴がどうかしてる」
涼子「まぁいいわ。とりあえず、美術室に部外者は入れない様にしたいから」
平治「解った、人払いしておくぜ」
こうして、美術展に向けて裕太は絵を描き始めたのだった。
1週間後、朝。
裕太「ふぁ〜・・・・」
美香「ユウくん、最近どうかしたの?」
裕太「え?俺は至って普通だぞ」
美香「だって、最近帰り凄く遅いから・・・」
裕太「まぁ、誰にだって付き合いがあるだろ」
美香「でも・・・」
裕太「まぁ、気にするな。大した事じゃないから・・・」
美香「む〜」
武「よぅ!おはよう!」
裕太「おう」
美香「おはよう、マツタケくん」
武「それにしてもよぅ、ユウ」
裕太「何だよ?」
武「お前、最近付き合い悪くねぇ?」
裕太「いいだろ、用事があるんだから」
美香「え?マツタケくんとも付き合い悪いの?」
武「そうなんだよ、こいつ先週からずっと誘い断ってんだ」
美香「うそ、一昨日マツタケくんとゲーセンに行ってたとか・・・」
武「え?一昨日はゲーセン行ってないよ?」
美香「えぇ!?」
武「おい、ユウ!」
裕太の姿がない。
武「あいつは神出鬼没かよ!?」
そこに。
夏美「よぅ、遠藤さん。おはよ」
美香「おはよ!」
夏美「どうした?今日は1人か?」
武「それが、ユウの奴が消えやがった」
夏美「消えただぁ?まぁ、最近付き合いが妙に悪ぃからなぁ・・・」
美香「えぇ!?昨日、夏美ちゃんと買い物に出掛けたって」
夏美「いやいやいや、買い物行ってないから」
美香「一体どういう事なの・・・」
夏美「それよか、聞いたか?最近、妙な噂が広まってるのを」
武「妙な噂?」
夏美「それがさ、最近美術室が一般生徒の入室が禁止になってるらしいんだよ」
武「何!?」
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