#3:君への想いこの絵に想いをのせて
 
ある教室にて・・・。
???「ダメ・・・、どうしても出来ない・・・」
???「どうする、先輩?もう締め切り近い」
???「困ったわね・・・、新入生でもいいからコレといった上手い人がいればいいんだけど・・・」

#3:君への想いこの絵にのせて

4月半ばに入り授業も本格的に開始された。ある日のことである。
美術室。
綺墨「は〜い、今日はみんなの実力を知りたいので、人物画にします。誰かと組んで相手の絵を描いて下さい」
ガタガタガタ・・・。
美香「ユウくん、組もう」
裕太「ああ、いいぜ」
という訳で男女のペアで組んで描く事に・・・。
武「で?俺は結局お前とか?」
夏美「いいだろ、妙なのと組むより」
武「美香さんと組みたかったなぁ・・・」
夏美「あんたは・・・、ちょっとは気使えよ」
武「へいへい」

数十分後。
夏美「う〜ん・・・」
武「どうした?」
夏美「いや、アゴの辺りが上手くいかなくてさ・・・」
武「どれ、見せてみな」
武は夏美の絵を見た。



武「おい・・・」
夏美「何か?」
武「誰だよ?このアゴの割れた男は?」
夏美「似てる?」
武「似てる似てない以前だボケ!」
夏美「ちぇ・・・、これで提出したら面白いと思ったのにな・・・」
武「ウケ狙ってどうするんだよ?」
夏美「そういうアンタはどうなんだよ?」
武「み、見るな!俺は絵が下手なんだ!」
夏美「ほぅ?その下手な絵のあたしを拝ませてもらおうじゃん」
武「うわうわうわうわうわぁ!!」
夏美は武の絵を取り上げて見た。



夏美「おい・・・」
びくっ!
武「は、はいっ!?」
夏美「上手下手以前に誰だよ、この鬼みたいな女は?」
武「YOU!」
夏美「ほほぉ・・・・」
ドカバキグシャ!
武「ぎゃぁぁ!!」
夏美「フーフーフー」
夏美は鬼の様な形相で武をボコボコにした。
綺墨「そこ、うるさいわよ!」
夏美「あ、すみませ〜ん!」
そんな時だった。
さやか「わぁ・・・、上手!」
美香の中学時代の友人の後藤さやかが声を上げた。
夏美「ん?」
夏美はさやかの近くに行った。
夏美「どうかしたの?」
さやか「いや、絵が上手いと思って・・・」
夏美「ん?」
裕太「何見てるんだよ?夏美」
夏美「いや、絵が上手いって騒ぐからどんなもんかなぁ・・・と」
さやか「コレ、美香だよね?」
裕太「あぁ・・・」
さやか「似てるというか、本人より可愛いよ!」
夏美「あぁ、こいつ手先器用だから、美術得意なんだよ」
さやか「へぇ・・・。そういえば、篠原さんって大野くんの友達なんだよね?」
夏美「まぁね。武とつるんでたから、勢いで3人で組んでたけど?」
さやか「じゃぁ、もしかして大野くんの元彼女だったり?」
夏美「ば、バカ言ってんじゃねぇよ。誰がこんな几帳面男と・・・」
武「というか、こいつさぁ・・・。もう決めてる相手がいるとか言って、告白した女全員振ったんだぜ」
さやか「え?そうなの?」
裕太「おい、タケ!要らん事を他人にバラすな」
さやか「へぇ、大野くんって結構一途?」
裕太「お前も誤解するな、後藤!」
美香「ユウくん、あたしも見ていい?」
裕太「見ても面白いモンじゃねぇぞ」
美香は絵を見た。
美香「わぁ・・・」
裕太「・・・・・」
美香「・・・・・」
裕太「美香?」
美香「・・・・・・あ!ごめん」
裕太「どうした?ふ、不満だったか?嫌な気分にさせたなら謝るぞ?」
美香「ううん、違うよ。つい、見惚れちゃって・・・」
裕太「大袈裟だ。とにかく、提出してくるぞ」
美香「あ、うん・・・」
裕太は絵を提出した。

昼休み、ある教室にて・・・。
綺墨「とりあえず、今日の授業で描かれた生徒達の絵よ」
???「う〜ん、悪くないな」
???「・・・!」
ボブカットの方が1つの絵に目を止める。



綺墨「どうかしたの?」
???「先生、この絵を描いたの誰ですか?」
綺墨「あぁ、大野裕太ね」
???「大野裕太・・・」
綺墨「確かにこの子の絵は他のと比較するとかなり上手いとは思うけど・・・」
???「先生、この生徒を紹介してくれますか?」
綺墨「この子でいいの?」
???「えぇ、この絵・・・。まさに私の求めていた絵です・・・」
綺墨「解った、後で情報を流すわ」
ボブカットの生徒は綺墨先生からクラスを教えてもらった。

放課後、1年C組。
???「あの、ちょっといいかな?」
さやか「ん?あ、はい」
???「このクラスに大野裕太くんって子がいるって聞いたんだけど?」
さやか「大野くん、お客さんよ」
裕太「俺?」
裕太は廊下に出た。
裕太「あの、何の用ですか?」
涼子「とりあえず、名乗っておくね。私は高橋涼子、美術部の部長をやっているの」
裕太「び、美術部?」
涼子「ちょっと着いてきてくれないかな?」
裕太「それはいいですけど、俺部活動はやらないつもりなんですが・・・」
涼子「それならそれでも構わないわ。兎に角貴方の力が必要なのよ」
そこに、
美香「あれ?ユウくん?」
裕太「おい、美香。今日は帰りが遅くなるかもしれないから」
美香「え?あ、うん・・・」
夏美「おやおや?浮気ですかな?」
武「いけませんなぁ、まったく・・・」
裕太「誤解招く事言うんじゃねぇ」
涼子は裕太を連れて行った。
武「ところで、今の美人誰だ?」
夏美「さぁ?遠藤さん知ってる?」
美香「え?あたしも名前聞いてなかった」
夏美「あとを付けてみようぜ」
美香「あ、うん!」
武「・・・って、いねぇ!」
美香「え?」
夏美「いきなり見失っちまったのかよ!?」
武「まぁいっか。後で何か話してくれるだろ」
美香「そうだね」
夏美「じゃ、帰ろうか。遠藤さん」
美香「あ、うん・・・」
3人は学校を後にした。

そして、連れて行かされた場所は美術準備室。
???「涼子さん、コレが例の生徒なのか?」
涼子「そうよ、陽子ちゃん」
裕太「あ、あの・・・このちっこい・・・」
陽子「ちっこい言うな!私は2年の日下部陽子だ。お前より年上だ、副部長だ。ちっこい言うな」
裕太「せ、先輩でしたか!?す、すみません!」
陽子「まったく、最近の若いのは・・・」
涼子「陽子ちゃんもまだ若いでしょ」
陽子「う・・・む」
涼子「それより本題に入るわね。実は2週間後の土曜日に、シティーギャラリーでウチの学校から絵を出さなくちゃならないんだけど」
陽子「私も涼子さんもコレと言っていいのが描けなくて困っている」
涼子「そこで、綺墨先生にお願いして1年生の絵を見せてもらって君のを選出させてもらったの」
裕太「要するにその美術展に出す絵を俺に描けって事ですか?」
涼子「題材は「気持ちを乗せた絵」という事になってるんだけどね」
裕太「悪いけど、俺部活動に興味がないんで辞退します」
涼子「え?そんな・・・もう貴方しか頼れないのに!」
陽子「涼子さんがこんなにお願いしているのに断るとは何事だ、お前!」
裕太「部員でもない俺にそんな権利はないでしょう」
涼子「大野くん、私は貴方の絵から伝えたい想いというのを感じたわ。他にも上手い人は何人もいたけど、そんな心の籠った絵を描いたのは貴方だけなのよ!」
裕太「・・・すみません、家族を待たせる訳にいかないので、帰ります」
涼子「大野くん!」
裕太は静止を聞かずに出て行った。

裕太は遠藤家に帰ってきた。
裕太「ただいま」
香奈「おかえり〜」
裕太「あれ?美香帰ってないのか?」
香奈「ユウお兄ちゃんこそ、お姉ちゃんと一緒だと思ったのに」
裕太「え?」
香奈「だって、夏美さんとカラオケ行ったって言ってたから・・・」
裕太「あぁ、俺はちょっと用事があったからな」
裕太と香奈は居間に行った。
香奈「そういえば、お姉ちゃんの誕生日ってあと2週間後なんだよ」
裕太「そういや、4月生まれだっけ?」
香奈「うん、2週間後の土曜日」
裕太「へぇ・・・・。ん?2週間後の土曜?」
香奈「どったの?」
裕太「あ、いや・・・」
香奈「そういや、ユウお兄ちゃんは何をあげるの?」
裕太「・・・後でのお楽しみかな?」
香奈「え〜!」
裕太「香奈ちゃんは口軽いから言えないなぁ・・・」
香奈「ケチ!」
裕太は部屋に向かっていった。

翌日放課後、美術室。
ガラー!
裕太「失礼します」
???「ん?誰だお前?」
裕太「あの、高橋先輩いますか?」
???「涼子か?ちょっと待ってろ。涼子、お客だ」
涼子「は〜い」
涼子が準備室から出てきた。
涼子「平治、お客って?」
平治「おい、1年。呼んだぞ」
裕太「ど、どうも・・・」
涼子「お、大野くん!?ど、どうしたの?」
裕太「高橋先輩!美術展の絵描く人見つかりましたか?」
涼子「え?いえ、まだだけど・・・」
平治「美術展って、あの涼子が描くんじゃなかったか?」
涼子「だから、上手くいかなくて困ってるって言ったでしょ」
平治「そういえば・・・」
裕太「俺でよければやらせて貰えませんか?」
涼子「え!?本当!?私は大歓迎よ!でも、どうして急に?」
裕太「ちょうど題材に合った絵の風景が頭の中に浮かんで、どうしても描きたくなった。って理由じゃ駄目ですか?」
涼子「ううん、それで充分!美術準備室に来て」
裕太は涼子に連れられ、準備室へ」
涼子「ここの具材好きなだけ使っていいから、頑張ってね!」
裕太「これだけあれば何でも描けるなぁ・・・」
涼子「じゃぁ、期待してるわね」
裕太「あ、そうだ。この事、俺の友達と家族に内緒にして欲しいんですけど」
涼子「いいわ、人払いしておくから・・・。貴方は好きなだけここに篭ってて」
裕太「助かります!」
涼子「じゃ、頑張ってね」
涼子は準備室を出た。
涼子「ふぅ・・・」
平治「涼子、もしかして今の1年が?」
涼子「そう、大野裕太くんよ」
平治「なるほどな・・・。涼子は人を見る目あるからなぁ・・・」
涼子「平治だって、あの絵には納得してたでしょ?」
平治「アレで納得しない奴がどうかしてる」
涼子「まぁいいわ。とりあえず、美術室に部外者は入れない様にしたいから」
平治「解った、人払いしておくぜ」
こうして、美術展に向けて裕太は絵を描き始めたのだった。

1週間後、朝。
裕太「ふぁ〜・・・・」
美香「ユウくん、最近どうかしたの?」
裕太「え?俺は至って普通だぞ」
美香「だって、最近帰り凄く遅いから・・・」
裕太「まぁ、誰にだって付き合いがあるだろ」
美香「でも・・・」
裕太「まぁ、気にするな。大した事じゃないから・・・」
美香「む〜」
武「よぅ!おはよう!」
裕太「おう」
美香「おはよう、マツタケくん」
武「それにしてもよぅ、ユウ」
裕太「何だよ?」
武「お前、最近付き合い悪くねぇ?」
裕太「いいだろ、用事があるんだから」
美香「え?マツタケくんとも付き合い悪いの?」
武「そうなんだよ、こいつ先週からずっと誘い断ってんだ」
美香「うそ、一昨日マツタケくんとゲーセンに行ってたとか・・・」
武「え?一昨日はゲーセン行ってないよ?」
美香「えぇ!?」
武「おい、ユウ!」
裕太の姿がない。
武「あいつは神出鬼没かよ!?」
そこに。
夏美「よぅ、遠藤さん。おはよ」
美香「おはよ!」
夏美「どうした?今日は1人か?」
武「それが、ユウの奴が消えやがった」
夏美「消えただぁ?まぁ、最近付き合いが妙に悪ぃからなぁ・・・」
美香「えぇ!?昨日、夏美ちゃんと買い物に出掛けたって」
夏美「いやいやいや、買い物行ってないから」
美香「一体どういう事なの・・・」
夏美「それよか、聞いたか?最近、妙な噂が広まってるのを」
武「妙な噂?」
夏美「それがさ、最近美術室が一般生徒の入室が禁止になってるらしいんだよ」
武「何!?」
夏美「綺墨先生が美術部完全貸切で入れない様になってるみたいだぜ」
美香「それで、美術の授業はどうなってるの?」
夏美「LL教室でビデオ鑑賞になってるらしい」
美香「確かに妙だね」
そこにさやかが来た。
さやか「おはよ、美香!篠原さん!」
美香「おはよ、さやか」
夏美「後藤、あんた美術室の噂知ってる?」
さやか「あの貸切になってるアレね」
夏美「あぁ・・・」
さやか「美術部が展示品完成の為に篭ってるって話ね」
夏美「展示!?」
さやか「あれ?知らないの?今度の土曜日にシティーギャラリーでそういうのがあるからって」
美香「初耳だよ!」
さやか「美術部といえば・・・」
美香「どうかしたの?」
さやか「いや、先週さ。大野くん呼び出した先輩いたでしょ?」
美香「あぁ、あの綺麗な人?」
さやか「あの人、美術部の部長さんだったような・・・」
美香「そうだったの!?」
さやか「もしかして、そこに篭ってるのが大野くんだったりしてね」
夏美「ま、まさか・・・・な」
美香「いや、それはないよ」
さやか「え?」
美香「香奈から聞いたの。美術部の部長の頼みを断ったって」
武「じゃ、じゃぁ・・・ユウの奴は一体何を・・・?」
美香「あ〜ん!もぅ、何がなんだか解らないよ!!」
その時だった・・・。
(遠藤、折角近所なんだ、何か困った事があったら、いつでもウチに相談しに来いよ)
美香「!!」
さやか「美香?」
美香「あ、いや何でもないよ」
さやか「変なの」

放課後、河原家前。
美香「(結局、来ちゃったなぁ・・・。来るべきだったんだろうか・・・?)」
呼び鈴を鳴らそうとする美香だが、
美香「(あぁん!!鳴らしていいのか解らないよ!!)」
頭抱えて悩んでいたりする。そこに、



リョウ「おい、今は留守だぜ」
美香「何だ、留守なんだ・・・って、先生!?」
まこと「おっす」
美香「まことちゃんも!?」
リョウ「まことを迎えに行ってきた所なんだ。ウチに用なんだろ?」
美香「えっと、その・・・・」
リョウ「上がれよ。悩みを聞いて欲しいんだろ?」
美香「いや、あの・・・し、失礼しまし・・・・」
まこと「あがれよ」
美香「あう・・・。お邪魔します・・・」
美香はリョウとまことに連れられ、上がった。

リョウ「ちょっと待ってろ、夕飯の支度するから。遠藤、お前も食っていくだろ?」
美香「え?そんな悪いですよ〜」
まこと「くっていくだろ?」
美香「は、はい。頂いていきます」
美香は香奈にメールをした。
『今日は先生の家で夕飯をご馳走になるので、香奈とユウくんはカップメンでも食べて』
と。
カタ。
リョウ「遠藤はレバニラ炒め嫌いか?」
美香「いえ、嫌いじゃないですよ」
リョウ「よかった。ほい、レバニラ3人前」
まこと「おかーさんのぶんは?」
リョウ「今日は部下と飲んで帰るから要らないってよ」
まこと「あいかわらず、たいへんですなぁ・・・」
美香「あ、あの!先生!」
リョウ「何だ?」
美香「最近、あの・・・」
リョウ「・・・、まこと。隣の部屋でテレビ見ながら食っていいぞ」
まこと「わ〜い!」
まことは隣の部屋に行った。
リョウ「それじゃ、聞こうか?」
美香「せ、先生・・・。う・・・うわぁぁああん!!」
リョウ「お、おい!?遠藤!?」



美香はリョウに泣きついて、全てを話した。
リョウ「・・・落ち着いたか?」
美香「・・・すみません・・・」
リョウ「気にするな、これくらい大した事じゃないよ」
美香「それでユウくんは・・・?」
リョウ「まったく、大野の奴もかっこ付ける気だな?」
美香「え?」
リョウ「あいつの考えてる事も何となく解る気がするよ」
美香「先生?」
リョウ「遠藤に内緒にしている事があって、気になる・・・・か」
美香「そうなんですけど・・・」
リョウ「遠藤・・・」
美香「は、はい!」
リョウ「お前は大野を信頼しているか?」
美香「え?あ、はい・・・」
リョウ「そうか、それが聞きたかったよ・・・」
美香「どういう事ですか?」
リョウ「大野はな、お前の為に何か大切な事をやっているんじゃないかな?」
美香「大切な事?」
リョウ「ま、何してるか解らないけどさ・・・。それは間違いないと思うな」
美香「先生・・・」
リョウ「大野はその時が来たら、お前に話してくれる筈さ」
美香「その時が来たら・・・」
リョウ「今のお前がすべき事は1つ。大野がそれを打ち明けるのを何事もなかったかの様に待ってやる事じゃないか?」
美香「・・・そうか・・・。そうですよね?ユウくんを信頼しているなら・・・」
リョウ「そういう事だ」
美香「あたし、ユウくんのその時まで待ってみようと思います!先生に相談してよかった・・・」
リョウ「そう言ってくれると有難いかな」
美香「じゃ、あたし帰りますね。レバニラ炒め御馳走様でした。今度はあたしが何か作ってお礼に持ってきますね」
リョウ「あぁ、楽しみにしてるよ」
美香は隣の部屋に顔を出し、
美香「じゃ、まことちゃん!お姉ちゃん帰るね!」
まこと「あ、うん・・・。また、いっしょにメシくおうな!」
美香「うん!約束するよ!じゃ、お邪魔しました!」
美香は家から出た。
その時だった。
裕太「美香!」
美香「ユウくん・・・」
裕太「香奈ちゃんからこっちにいるって聞いたから、来てみたが、何かあったのか?」
美香「え?あぁ、帰りに河原先生に会って夕飯御馳走になっただけだよ」
裕太「ふぅ・・・。何だ、そうだったんだ・・・。てっきり・・・」
美香「てっきり?」
裕太「何でもねぇよ」
美香「え?教えてよ!」
裕太「何でもねぇって言ってるだろ」
美香「・・・そうだね。ユウくんが言いたくなったら、聞くよ」
裕太「え?」
美香「ユウくん、どうしても話せない事があるんでしょ?」
裕太「う・・・」
美香「あたし、それを打ち明けたくなるまで待ってるよ」
裕太「美香・・・」
美香「その代わり、中途半端で終わらそうとしないでね!」
裕太「・・・解った。お前の期待に答えてやるよ」
美香「じゃ、帰ろう。寒くなってきたし」
裕太「そうだな・・・」

それから、5日後の放課後。
陽子「おい、そこの1年!」
さやか「はい?何でちゅか?お嬢ちゃん」
陽子「私は2年だ。お前より年上だ。子供扱いするな」
さやか「ご、ごめんなさい!!」
陽子「それより、このクラスに松岡武と篠原夏美っているか?」
さやか「ちょっと待ってて下さいね。マツタケ〜!篠原さん〜!呼び出しだよ!」
夏美「あぁん?」
武「何だ?」
2人は廊下に出た。
陽子「お前が松岡武と篠原夏美だな?」
夏美「そうだけどよぅ、誰だ?このガキ?」
武「さぁ?」
陽子「お前らの先輩だ!」
夏美「え?・・・、だって・・・」
夏美は自分の背と比べている。



陽子「お前、私に因縁付ける気か?そうなのか?」
夏美「あ、あぁ・・・悪ぃ悪ぃ・・・」
陽子「やっぱり、辞めた。大野裕太について教えてやろうと思ったのに・・・」
武「何!?ユウだと!?」
夏美「教えて!いや、教えて下さい!」
陽子「じゃぁ、ちょっと私に着いてこい」

陽子は2人を連れて学校の駐車場に来た。
平治「おぉ!陽子こっちだ!」
陽子「またせてすまない、近藤先輩」
平治「いいって事よ!それより早く乗れ!」
陽子「そういう事だ、お前達も乗れ」
武「お、おう・・・」
夏美「し、失礼しまぁ・・・す・・・」
4人は綺墨先生の車に乗り込んだ。

陽子「近藤先輩、大野と涼子さんは?」
平治「あぁ、2人とも準備に取り掛かってるぜ」
夏美「準備?」
平治「お前ら、日下部から何も聞いてないのか?」
武「え?あ、はい・・・」
平治「これから、シティーギャラリーで一仕事やるんだよ」
武「シティーギャラリー?」
平治「お前の友達の大野が絵を出展するって事で手伝いに・・・」
夏美「な、何ぃぃぃいいっ!?」
武「そ、そんな話初耳っすよ!?」
平治「本当に何も知らないのな・・・」
綺墨「そういや、大野くんが人払いを頼んできたのよね」
陽子「そういえば、「タケと夏美は口が軽いから絶対バラすな」とかも言っていた」
武「な!?」
夏美「あの野郎・・・」

車はシティーギャラリーに到着した。
武「オラァ!ユウ、出てきやがれ!!」
夏美「リンチで済まされると思うなよ!」
平治「おっと、お前らの仕事はこっちだ。付いて来い」
武「え?」
2人は平治に連れられ裏側の力仕事に回された。

その頃・・・。
裕太「ふぅ・・・。先輩、こっちは終わりましたよ」
涼子「うん!いい感じね!」
裕太「あとは明日か・・・」
涼子「じゃぁ、大野くんは帰っていいわよ。後は平治が裏方をやってくれるから」
裕太「そういえば、さっき地下が騒がしくありませんでした?」
涼子「さ、さぁ・・・」
裕太「まぁいっか・・・。じゃ、後はお願いします。先輩!」
涼子「えぇ。じゃあね。・・・・頑張って!」
裕太「へ?」
涼子は裏方へ行き、裕太は1人で帰った。

そして運命の土曜日・・・、遠藤家。
裕太「美香!」
美香「何?ユウくん」
裕太「今日、暇か?」
美香「え?空いてるけど?」
裕太「デートに行かないか?美術館のチケットを先輩に貰ったんだ」
美香「美術館?」
(その時が来たら、お前に話してくれる筈さ)
美香「・・・・(そういう事か・・・)・・・・」
裕太「どうした?」
美香「何でもないよ」
裕太「それより、行くのか?行かないのか?」
美香「勿論、喜んで行かせて頂きますよ」
裕太「よし、じゃぁ行こうか・・・」
香奈「あれ?お姉ちゃんお出掛け?」
美香「フフ、ユウくんとデ・−・ト!」
香奈「はいい?」
裕太「じゃ、留守番宜しく!」
2人は出て行った。
香奈「・・・・」
ぽか〜・・・ん・・・

シティギャラリーに到着した。
涼子「ん?あら、大野くん!」
裕太「あ、先輩!本日はどうも!」
涼子「いえいえ、お礼を言うのはこっちの方よ」
そこに、
夏美「ユウ!着やがったなぁ!!」
裕太「ん?」
夏美「一発殴る!」
武「いや、虫の息にしてやる・・・」
裕太「え?」
平治「コラ!お前ら仕事サボるな!後、美術館で騒ぐな!」
武と夏美は平治に無理矢理引っ張られ退場した。
裕太「何なんだ?」
涼子「な、なんでもないわ〜。それより楽しんできてね」
裕太「それじゃ、先輩また後で!」
裕太と美香は中へ入っていった。
美香「ユウくん、これって?」
裕太「あぁ、今日はな、高校生の美術展の日でな。美術部の実力者の絵が飾られるんだよ」
美香「へぇ・・・」
裕太「それより、ちょっとこっち来いよ」
美香「ん?」
裕太は美香をある絵の前に連れて行った。
裕太「この絵、何だと思う?」
美香「こ、これは・・・・あたし?」
そこには夕焼け空の河川敷で振り向いた美香の絵が飾られていた。



裕太「美香・・・、香奈ちゃんから聞いたんだ。今日誕生日なんだってな?」
美香「あ、そういえば・・・」
裕太「自分の誕生日くらい覚えてろよ」
美香「あはははは・・・」
裕太「この絵は俺からの誕生日プレゼントだ」
美香「ユウくん・・・」
裕太「題名は「君への想いをこの絵に乗せて」・・・って事なんだけど、どうかな?」
美香「ユ、ユウくん!」
美香は裕太に抱きついた。
裕太「おい、美香!?」
美香「最高だよ!今までで一番の誕生日プレゼントだよ!」
裕太「・・・フ・・・。喜んでくれて嬉しいよ。これを描く為に2週間も美術準備室に篭ってた甲斐があったな・・・」
美香「ユウくん、有難う・・・」
こうして、裕太からの誕生日プレゼントは大成功に終わった。

その頃、影では・・・。
平治「で?結局どうだった?」
涼子「大成功よ、遠藤さん凄く喜んでた」
平治「・・・どうだ?松岡、篠原。これで文句はないだろ?」
夏美「ないです・・・」
武「畜生、かっこつけすぎなんだよ、あいつは!」
涼子「やれやれ、こっちも何とか収集が付いたわね」
こうして、裕太は友達との仲も何とか仲直りがいった。
そんな時だった。
評論家A「それにしても、最近の高校生はちょっと物足りない絵が多いですねぇ・・」
評論家B「まったくですなぁ・・・。これに賞を差し出すのは紙の無駄使いという感じですねぇ・・・」
そこに、
評論家C「!!」
評論家B「おや?どうかしましたか?」
評論家C「いえ、この絵・・・」
評論家B「おぉ!?この絵は・・・」
評論家A「おぉ!これは素晴らしい!」
評論家C「この絵、何か気持ちが伝わってくる様ですね・・・」
評論家B「いやぁ、まったくですなぁ・・・。いい仕事してますねぇ」
評論家A「何々、「君への想いこの絵に乗せて」?また洒落た題名ですねぇ」
評論家B「私、この子の絵に決めましたぞ!」
評論家A「私も賛同です!」
評論家C「では、決まりですね」
評論家からも高い支持を得ていた裕太の絵だった。

それから翌週の朝礼の事。
醗末「これより、表彰式を行う!」
ざわざわざわ・・・
醗末「1年、大野!壇上へ」
裕太「はい!」
校長「表彰状、最優秀賞!1年、大野裕太!おめでとう!」
裕太は美術展の絵を認められ、表彰を受け、その絵が国立の美術展に移されていったのだった。

その放課後、遠藤家。
香奈「ユウお兄ちゃん!表彰されたって本当?」
裕太「おう、これがそうだぜ」
香奈「すっげぇ・・・。あたしなんて、卒業式の卒業証書しか貰った事ないのに・・・」
美香「今は国立の美術館に移されてるから、結構凄い事になってるよ、きっと」
香奈「凄いじゃん!まさか、お姉ちゃんの誕生日プレゼントの絵がそんな事になってたなんて・・・」
裕太「それより、美香」
美香「何?」
裕太は表彰状を美香に差し出す。
裕太「これはお前にやるよ」
美香「え!?そんな悪いよ!賞とったのはユウくんでしょ!」
裕太「初めから決めていたんだ、賞をとったら、賞状は美香にあげようってな。本当の形に残るプレゼント・・・だと思ってくれよ」
美香「ユウくん・・・。解りました、有難く頂戴します!」
美香は裕太から賞状を受け取った。
香奈「いいなぁ・・・、お姉ちゃん・・・。そうだ、ユウお兄ちゃん!あたしの誕生日には・・・」
裕太「美術展はねぇぞ。その時期には」
香奈「ちぇ・・・」
こうして、美香の誕生日と美術展を巡る騒動は幕を完全に閉じたのであった。