#5 失われた笑顔
 
5月も終わりに近づき、もうすぐ梅雨がやってくる頃の事である・・・。
教室。
リョウ「今日のHRだが、来月の頭にあるHR合宿の班分けをしたいと思う」
夏美「そもそも、HR合宿って何?」
武「合宿する程のHRをするって事じゃねぇ?」
夏美「うわ、マジ!?最悪〜!」
リョウ「篠原、松岡、勝手な解釈するな。これは高校入学して2ヶ月経った状態でのみんなの仲をより深める為の合宿だ」
美香「わぁ〜、いい企画ですね。先生」
リョウ「篠原見習え、これが汚れ無き態度って奴だぞ」
夏美「ヘイヘイ」
リョウ「それで、班分けだが、男女それぞれ五人一組で組んでもらうから、とりあえず適当に組んでみてくれ」
という訳でHR合宿の準備が開始された。

#5 失われた笑顔

昼休み、班長会議が空き教室で行われた。
美香「ん?裕くん、班長になっちゃったの?」
裕太「あぁ、タケにやらせない為に自己犠牲した」
美香「あはは、裕くんらしいね」
裕太「そういう美香も班長じゃねぇか」
美香「あたし、こういうイベントもの好きだから、つい仕切りたくなっちゃうんだよね」
裕太「でもま、男女班合同の2日目のキャンプ実習で組む相手に困らないのは楽でいいけどな」
キャンプ班も決まり、
さやか「それでは、班長会議を終わります」
会議は終了した。その時だった・・・。
リョウ「遠藤、ちょっといいか?」
美香「え?あたしですか?」
リョウ「あぁ、悪いがちょっと付き合ってくれ」
美香「せ、先生!あんな若そうな奥さんが泣きますよ」
裕太「そっちの「付き合う」じゃねぇだろ」
リョウ「相変わらず、いいコンビだな」
裕太「ほっといて下さい」
美香「それで、話って何です?」
リョウ「ちょっと、来い。折り入って頼みたい事があるんだ」
リョウはそう言い、美香を連れて廊下に出た。

その頃、教室では・・・。
茜「・・・・」
リン「ちょっと宮沢さん!どういう事ですの?」
茜「何だ?」
リン「何だじゃありませんわ!貴女だけどの班にも入らないなんて、何考えてますの?」
茜「お前の知った事じゃないだろう。お嬢さま」
リン「キー!!何ですの!?その態度!!人が折角親切に誘ってらっしゃると言うのに!!」
茜「私に関わるな、シャクに触る」
リン「ムッキー!!もうどうにでもなりやがれですわ!」
リンは去った。
リョウ「・・・とまぁ、そういう訳だ」
リョウは美香に教室の状況を見せ、説明した。
美香「あたしに宮沢さんを自分の班に入れればいいんですね?」
リョウ「そうなんだが、あいつ人と関わろうとしないんだよ」
美香「そういえば、あたし自身が彼女を知ったのは、今さっきの様な・・・」
リョウ「こういう事は、お前しか頼めないんだ!いいかな?遠藤」
美香「ちょっと手強そうですけど、あたしも出来る限りの事はしますよ!クラスで1人だけ仲間外れがいるのは嫌ですしね」
リョウ「恩に着るよ、遠藤。成功したら、今度お前の家庭とウチの一家で焼肉連れて行ってやるよ」
美香「約束ですからね」
リョウ「おい、宮沢。ちょっと来い」
茜「先生・・・。何か用ですか?私は何も用ないですよ」
リョウ「お前に無くても俺にはあるんだよ!」
茜「手短にお願いします。用事がつかえているので」
リョウ「率直だが、お前は遠藤・篠原と同じ班に決定した」
茜「な、何を勝手に決めてるんですか!?私は誰とも・・・」
リョウ「そういう事だから、遠藤後は任せたぞ」
リョウは去った。
茜「ったく・・・」
美香「そういう訳だから、よろしくね。茜ちゃん!」
茜「宮沢。茜って気安く呼ばないでよ。馴れ馴れしい・・・」
美香「馴れ馴れしいって?あたし達同じクラスの仲間でしょ?」
茜「うるさい、私に関わるな・・・」
美香「つれないなぁ〜。あたしはただ茜ちゃんと仲良くしたいだけで・・・」
茜「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
バン!!
美香「きゃっ!」
茜「あ・・・」
茜は強引に美香の手を振り払ったと同時に美香はそのまま尻餅をついた。
美香「いった・・・」
茜「・・・!」
裕太「おい、大丈夫か?美香・・・」
美香「うん、平気だよ」
裕太「おい、宮沢・・・。謝れよ・・・」



茜「・・・悪いのはお前の方だ。わ、私は謝る気なんてない・・・」
裕太「宮沢っ!!」
茜「鬱陶しいんだよ・・・。特に、お前らみたいな奴見てると虫唾が走る・・・」
裕太「何だと・・・」
美香「やめて、裕くん」
美香は裕太の腕を掴んだ。
裕太「放せよ、美香。あの女許す訳には・・・」
美香「いいの!悪いのはあたしなんだから・・・」
裕太「美香・・・」
茜「付き合っていられないな・・・」
茜は背を向けて歩きだした。
裕太「おい、何処に行く気だ?」
茜「帰る・・・」
裕太「ちっ、勝手にしろ・・・」
茜は帰っていってしまった。
裕太「・・・ったく、美香も美香だ。何であんな女に構うんだよ」
美香「最初は河原先生に頼まれただけだったんだけど、あたし自身が仲間外れが1人いるってだけで見ていられないの・・・」
裕太「・・・ふっ、優しいな・・・。美香は・・・」
美香「・・・フフ、有難う・・・裕くん・・・」
裕太「まぁいいか。帰ろうぜ、タケと夏美を待たせてるんだ」
美香「うん!」
2人も教室を出た。

喫茶店エトワール・・・。
夏美「何!?リョウちゃんにそんなの頼まれたの!?」
武「宮沢茜ってあの無愛想な子だよな。地味で目立たなくて・・・」
ウェイトレス「じ、地味!?」



1人のバイトが反応した。
武「ん?」
美香「あたしは、相手が無愛想でも地味でも目立たなくても構わないの。仲間外れだけは絶対作りたくない・・・」
美香は無視して話を進める。
裕太「だけど、宮沢は自分から誰とも仲良くしようとしないって感じだったよな・・・」
美香「きっと、何か事情があったんだよ。だから・・・」
裕太「まぁ、それは考えられる事実だな。肉親を失ったショックで人付き合いをしなくなる人ってものありえるみたいだし・・・」
武「・・・何か何処かで聞いた事ある話だな・・・」
裕太「え?」
夏美「・・・言われてみれば・・・、裕太に出会ったばっかりの時もそんな感じじゃなかったっけ?」
裕太「俺がか?・・・違うだろ・・・」
武「違くねぇだろ。俺達が話し掛けなかったら・・・」
裕太「・・・そっか。そういえば、そうだったな・・・」

【回想】

5年前・・・。
担任「今日からこのクラスに転入してきた、大野裕太君だ。みんなよろしく頼むよ」
このクラスに裕太が転入してきた。
武「よぅ、新入生!歓迎するぜ!」
裕太「あ、ああ・・・」
夏美「ねぇねぇ、前は何処に住んでたんだ?」
裕太「!!」
夏美「え?ちょ、ちょっと・・・!?」
裕太「前の学校の事は思い出しねぇ・・・」
夏美「な!?な、何よ?もしかして、いじめられてたとか?」
武「安心しろよ、いじめられたら、この俺がやり返してやるからな!」
裕太「そんなんじゃねぇよ・・・。・・・ただ・・・」
夏美「何よ、じれったいなぁ・・・。男なら全部吐き出しちゃいなよ!」
武「そうだぜ、俺達もう友達だろ。お前の悩みを受け止めてやるよ」
裕太「簡単に言うな・・・」
武「おいおい、そんなに深刻な事なのか?」
裕太「う、うるせぇ!!こんなに早く両親に死なれた気持ちなんか、お前らなんかに!!・・・あ!」
武「お、お前今・・・」
裕太「・・・くっ!」
夏美「りょ、両親に・・・死なれた・・・?」
武「そ、そういう事だったのか・・・」
裕太「今はとりあえず父親の実家のここに来ているけど、それもいつまでもつか・・・」
武「ど、どういう意味だ!?」
裕太「じいちゃんもばあちゃんもそろそろ身体がもたなくなってきてるんだ・・・」
夏美「そ、そんな・・・」
武は立ち上がった。
武「心配すんなよ、大野!もし、最悪な事態になって今の家に居られなくなったら、ウチに来い!」
裕太「ま、松岡・・・」
夏美「ウチだって、親父が喜ぶから大歓迎だぜ!」
裕太「し、篠原・・・」
武「今度、暇な日にでも3人で泊まり会でもやろうぜ!なぁ、夏美」
夏美「お!いいねぇ、お前にしては冴えてるじゃん!タケ!」
武「おいおい、ボンクラみたいに言うな。ちゃんと考えて行動はしてるんだぜ!」
裕太「クク・・・」
裕太は笑い出した。
武「お、大野?」
裕太「いや、悪い・・・。お前達見てると昔の幼馴染を思い出して・・・」
武「幼馴染?俺達みたいなもんか・・・」
夏美「その子って可愛いの?」
裕太「そ、そうだな・・・。悪くはないとおもうぞ」
夏美「じゃ、じゃぁ・・・あたしとどっちが可愛いかなぁ・・・?」
武「勝負にならねぇだろ」
夏美「うるせぇ!」
裕太「クク、本当にいいコンビだよ。お前らは・・・」
夏美「う、うるさい!笑ってないで質問に答えろ!」
裕太「そうだな・・・、可愛くない訳じゃないけど、守ってやりたいって感じのタイプかな・・・」
武「うわっ!臭いセリフだなぁ・・・」
裕太「うるせぇ、例えるのが難しいんだよ」
武「でも、気に入ったぜ。お前とならいい男友達になれそうだよ」
裕太「俺もだ・・・」
武「苗字で呼ぶの堅苦しいだろ。俺はタケでいいぜ」
夏美「あたしも名前で呼んでいいよ」
裕太「それじゃ、俺も裕太でいいよ。よろしくな、タケに夏美・・・」
こうして、3人はずっと仲良くつるんでいるのだった。

【回想終了】

武「まぁ、こんな訳よ」
美香「確かに、両親を失って辛いのは解るなぁ・・・。あたしもおじさんとおばさんにはお世話になってたし」
裕太「どうでもいいけど、ちょっと脚色されてねぇか?」
夏美「そうか?」
裕太「とりあえず、夏美はもっとやさぐれてたと思ったけど・・・」
夏美「やさぐれてねぇよ」
美香「でも、この昔話の意味ってあるの?」
裕太「要するに、相手の事をちゃんと理解した上で、受け止められるくらいじゃないと受け入れてもらえないって事だよ」
美香「でも、どうやったら理解出来るんだろう・・・」
裕太「そこが難しい所なんだよなぁ・・・。夏美は何か浮かばないか?」
夏美「あたしに振られても困るんだけど・・・」
裕太「いや、タケに振っても何も解決しないだろ」
夏美「それもそうか・・・」
武「悪かったな、そういうのに縁がなくて・・・」
裕太「美香、宮沢に親しい友人とか居たか?」
美香「聞いた事ないと思うけど・・・」
夏美「そもそも、居たらリョウが相談してこないだろ」
裕太「いや、同じクラスじゃなくて、違うクラスの奴とかでだよ」
美香「う〜ん、他のクラスの子って言われても・・・。なつきくらいしか知り合いいないし・・・」
夏美「なつき?」
武「お前、なつきちゃん知らねぇの?だっせー!有名人だぜ!!」
バキッ!
夏美「誰がダサイか!」
裕太「仕方ねぇんじゃねぇか。あの時、夏美は忙しくて顔出してなかったんだし」
武「まぁ、夏美なしで話成り立っちゃったしな・・・」
バキッ!
夏美「あたし抜きで成り立つ話があるかボケ!」
武「だ、第4話見てみろ、お前のセリフねぇぞ・・・・」
夏美「あれ?今が第4話じゃなかったっけ?」
武「5話だ!」
裕太「CMはともかく!雨宮を経由して、情報を集められないものか・・・」
美香「情報と言えば、さやかに聞いてみようよ!」
裕太「あぁ、委員長か・・・。確か、情報に詳しいんだよな?」
美香「よし、早速連絡取ってみる!」
夏美「美香、何か凄いやる気だね・・・」
裕太「一度言ったら聞かないからな・・・」
美香は金を置いてそのまま出て行った。

その頃、地方警察局・・・。
豹牙「よぅ、残業か?ご苦労だな・・・」



豹牙はあおいにコーヒーを差し出した。
あおい「うん、2年前の事件の申し送りが近いからね・・・」
豹牙「あぁ、WQ8号事件か・・・」
あおい「宮沢健一・・・。今でもあの名前は忘れないよ・・・」
豹牙「結構凶悪な事件だったからな・・・」
あおい「まぁ、死人が出なかっただけマシだけどね」
豹牙「この時の犯人は既に留置所出ているんだったな・・・」
あおい「裁判で、精神不安定状態が原因という事で済んじゃったから、懲役も短かったしね」
豹牙「それにしても、犯人の娘って1人でやっていけてるのか?」
あおい「その辺が微妙な所なんだよね・・・」
豹牙「まぁいい・・・。無事に申し送りが出来るといいな・・・、河原あおい刑事部長」
あおい「全くだね、焔豹牙刑事・・・」

翌朝、教室・・・。
さやか「おはよう、美香!」
美香「おはよ、さやか!!昨日の件どうだった?」
さやか「その件なんだけど・・・、ちょっとヤバい感じで・・・」
裕太「どういう事だ?委員長・・・」
さやか「2人とも、ちょっと人気のない所まで来てくれる?」
裕太「それだけ危険って事だな・・・」
美香「嫌な予感・・・」
2人は空き教室の影に呼び出された。
さやか「実は、彼女を調べていたら地方警察局のHPに到達しちゃったのよ・・・」
美香「け、警察局!?」
美香は奇声を上げた。
裕太「美香、静かに」
美香「ご、ごめん・・・」
美香は沈んだ。
裕太「つまり、何かの事件に巻き込まれたのか・・・」
さやか「実は、宮沢さんのお父さんが詳しい内容までは書いてなかったけど、WQ8号事件の犯人だったらしいのよ・・・」
裕太「だ、WQ8号事件・・・?どんな事件なんだ?」
さやか「そこまでは流石に書いてなかったわ・・・」
美香「どうにかして、この事件の事を聞けないかな・・・」
さやか「それなんだけど、面白いモノを発見したのよ」
美香「面白いモノ?」
さやかはある資料を取り出した。
さやか「この捜査責任者の所見てくれる?」
美香「捜査責任者?」
裕太「・・・河原あおい・・・?美香確かこの人って・・・」
美香「河原先生の奥さんだよ!」
さやか「つまり、宮沢さんの闇の原因であるWQ8号事件の真相を明かせば、彼女の闇をも払えるかも・・・」
裕太「でも、ちょっといいか?」
さやか「え?」
裕太は資料の中のある部分に気付いた。
裕太「この事件って、もう2年も前に解決してるぞ?しかも、既に宮沢の親父も出所してるし・・・」
さやか「あら・・・?」
美香「じゃぁ、この事件は関係ないのかな・・・」
その時だった・・・。
リョウ「お〜い、そこで何してるんだ?」
美香「あ、先生!いい所に!!」
リョウ「え?」
さやか「河原先生、WQ8号事件って知ってます?」
リョウ「だ、WQ8号事件!?な、何でお前達がそれを・・・!?」
美香「先生の奥さんが担当した事件なんですよね?詳しく聞きたいんです!!」
リョウ「た、確かにそうだ・・・。俺も立ち会ってないから詳しくは知らんが、嫌な事件だったらしい・・・」
裕太「嫌な事件・・・」
リョウ「殺害未遂事件だ・・・。被害者は死ななかったから、極刑を免れ、精神不安定状態が認められ、1年半の懲役で済まされてしまった事件だ・・・」
さやか「精神不安定状態・・・」
美香「その犯人っていうのが、茜ちゃんのお父さんなんだね・・・?」
リョウ「え!?そ、そうなのか!?」
裕太「委員長が調べてくれたんです・・・。もしかしたら、先生の奥さんなら詳しい事を知っているんじゃないかと思って・・・」
リョウ「そうか、解った連絡を取ってみるよ。とりあえず、教室に戻れ。HRを始めるぞ」
そして、4人は一旦教室に戻った。

放課後、教室。
リョウ「それでは、今日の授業はこれまで!」
さやか「起立!礼!」
一同「さようなら!」
リョウ「遠藤、風紀委員室に来い。それと、大野も一緒に」
美香「は、はい・・・」
武「裕太、お前・・・。美香さんに何をしたんだ!?」
裕太「・・・大した事じゃねぇよ」
夏美「まさか、あんな事やこんな事を・・・!?」
裕太「変な想像するな!俺は行くぞ」
2人は教室を出た。

風紀委員室・・・。
リョウ「呼びつけて悪かったな・・・」
美香「いいんです、それよりあの件ですけど・・・」
リョウ「あぁ、連絡が着いた。喫茶店エトワールで待ってるから、今来いだそうだ」
裕太「よかった・・・、まさか今日中に連絡が付くなんて・・・」
リョウ「何か申し送りってのが明日だから、今日中に話を付けておきたいだそうだ」
美香「申し送り?」
裕太「申し送りされた事件は再捜査する事が出来なくなるって事だ」
美香「だから、今日しかないんだ・・・」
リョウ「あおい達は既に着いてるから、車で送るよ」
美香「え〜!?河原先生、車持ってたんですか!?」
リョウ「え?」
裕太「先生の事だから、自転車出勤だと思ってた・・・」
リョウ「お前らなぁ・・・」
裕太「いや、何ていうか・・・。娘のまことちゃんを荷台に乗せて自転車漕いでる姿がもの凄く様になってるからなぁ・・・」
リョウ「そ、そっか?まことと2人で荷台かぁ・・・」
リョウは妄想に浸ってしまった。
裕太「お〜い、おっさん帰ってこ〜い」

という訳で喫茶店エトワール・・・。
あおい「今日のブレンドコーヒーは「ブルーマウンテン4:キリマンジェロ3:コロンビア1」だね?マスター」
店長「相変わらず凄いな、君は・・・」
あおい「飲みなれてるからね・・・」
豹牙「コーヒーはブラックで飲んでこそ、本来の旨さが実感出来るものだからな・・・」
フィール「フ、お子様の飲む飲み物じゃねぇって事だな・・・」
あおい「くるみちゃん、おかわり貰える?」
ウェイトレス「は〜い」
カランカラン・・・。
ウェイトレス「いらっしゃいませ〜」
リョウ「あおい、連れてきたよ・・・」
美香「ど、どうも・・・」
夏美「何だ、何処行くかと思ったら昨日来た喫茶店じゃん」
武「期待して損したぜ」
裕太「お、お前ら何処から沸いた?」
武「トランクの中にずっと隠れてたんだよ。悪いか?」
リョウ「悪い。松岡は内申書悪く書いておかないとな・・・」
武「俺だけかよ!」
裕太「ったく、どうする?先生」
リョウ「あんまり派手にやりたくないんだよなぁ・・・」
夏美「あぁ〜!!」
裕太「な、何だよ?大きな声出すな、夏美」
夏美「何で親父がいるんだよ!?ついでに、豹牙さんも!?」
裕太「何!?」
武「ホントだ、おじさんがいるじゃん!」
美香「え〜!!こ、この人が夏美ちゃんのお父さんなの!?」
店長「え?」
美香は店長を指した。
夏美「そっちは明らかに他人だろが!!」
裕太「というか、その人は昨日も居ただろ!!」
美香「あ、そうだった。つい、そこのウェイトレスさん並に地味で存在が薄いから・・・」
店長「じ、地味・・・」
ウェイトレス「あ、あたし並・・・」
店長とウェイトレスはショックを受けていた。
あおい「そっか、フィールの娘なんだ・・・。確かにお姉さんに似てるけど・・・」
豹牙「俺も会うのは9年振りになるが、本当に麗亜にそっくりだな・・・」
あおい「フィール、どうする?」
フィール「・・・止む得んだろ。5人とも座れ」
夏美「あ、うん・・・」
5人は椅子に座った。
あおい「さて、明日で申し送りになる解決済みのWQ8号事件なんだけど、特別にどんな事件だったか、概要を話すね」

【回想】

4年前、宮沢家・・・。
健一「ヒック!仕事がなんだってんだ!!」
ガシャーン!!
茜の父の健一が酒を飲んで暴れている。
文子「茜、逃げなさい!!」
茜「こ、怖いよぅ・・・」
健一「お前に俺の気持ちが解るかよ!!オラァ!!」
バキ!!
文子「きゃっ!!」
茜「お、お母さん!!」
宮沢健一は4年前頃から、仕事で上手く行かない事が多く、家に帰って酒を飲んでは暴れていて、妻はその被害に遭っていた。

翌日。
文子「もう耐えられない、離婚しましょ」
健一「な、何だと!?ふ、文子・・・俺がそんなに・・・」
文子「茜も連れていくわ!いいわよね?」
健一「や、やめてくれ!!あ、茜だけは・・・、茜だけは・・・!!」
文子「今更、何言ってるの!?自分がした事が解ってるの!?」
健一「俺がした事だと!?俺はお前達が嫌がる事なんて何もしてない!!なのに、何故だ!?」
健一は酔っている時に自分が何をしたかを忘れてしまうという困った癖があったのだ。
茜「お父さん・・・」
健一「うっ・・うっ・・・、茜・・・茜・・・」
文子「何してるの?行くわよ、茜!」
茜「私、お父さんと居る!」
文子「な、何を言い出すの!?こんな男捨ててしまえばいいのよ!!」
茜「でも、こんなに泣き崩してるお父さんを見捨てていけないよ・・・」
文子「茜・・・。解った、もう好きにしなさい!何があっても知らないわよ!!」
そして、文子は離婚し、実家に帰っていった。

それから半年間、健一は娘茜の為に禁酒をし、仕事に耐えてきたのだが・・・。半年後・・・。
健一「ヒック!ご主人様のお帰りだぞぉ〜!」
健一は忘年会で酒を飲まされてしまったのだ。
茜「お父さん、お帰り・・・」
健一「茜ぇ、お父さんはお前がいてくれて嬉しいぞ〜!」
健一はふら付きならが、茜に寄ってくる。
茜「お、お父さん!?」
健一「お前は俺のモノだ!誰にもやらん!!」
健一はそう狂った様に言い放ち。
ビリビリビリ!!
茜「や、やめて!!」
健一「うひゃひゃひゃひゃ!お前は俺のモノだ!!」
健一はいきなり茜を服を破きだした。
浩二「やめろ!!」
バキッ!
茜「伯父さん!?」
偶然訪ねて来た、健一の弟の浩二が兄を蹴り飛ばし、茜を助け出した。
浩二「兄貴!自分の娘になんて事をするんだ!!」
健一「浩二!!お前、兄に逆らうのか?」
浩二「茜は俺が引き取る!もうアンタの元になんかおけない!!」
茜「伯父さん・・・」
こうして、茜は伯父の浩二に引き取られたのだった。

【回想中断】

あおい「この出来事がきっかけで、WQ8号事件の犯人である宮沢健一は精神不安定状態に陥ってしまったんだ・・・」
美香「茜ちゃん、やっぱり深く関わっていたんだ・・・」
裕太「ゆ、許せねぇ・・・」
美香「裕くん・・・」
あおい「気持ちは解るけど、落ち着いて聞いてくれる?大野くん。まだ続きがあるんだ」
夏美「更に続きがあるんだ・・・」
あおい「本当のWQ8号事件はその2年後に起こるんだけど・・・」

【回想】

2年前、矢部中学・・・。
篠原「それでは、授業を始める!」
ガラー!!



健一「茜は何処だ!?」
篠原「な、何だアンタ!?」
茜「お、お父さん!?」
篠原「宮沢の父親か・・・。ヤケに酒臭いが・・・」
茜「な、何しに来たの!?」
健一「お前を連れ戻しに来た!さぁ、お父さんと帰ろう・・・」
篠原「宮沢さん、申し訳ないんだが、今は授業中なんでそういう事は放課後にしてもらえないかな?」
健一「何だと!?貴様ぁ、他人の癖に俺のする事にケチ付ける気か!?」
バキッ!!
篠原「ぐおっ!!」
篠原は空き瓶で殴られた。
健一「茜、帰るぞ!!」
茜「い、いや・・・」
修「やめろ!!」
健一「何だてめぇは!!」
修「茜が嫌がってるだろ!!」
健一「何!?他人のお前に何が解る!?」
茜「しゅ、修!!」
修「茜には指一本触れさせねぇぞ!!」
健一「じゃかぁしい!!まさか、てめぇ・・・茜と・・・」
修「茜は俺の愛した女だ!!アンタなんかに渡せるか!!」
茜「修・・・」
健一「て、てめぇ!!よくも、俺の茜に・・・」
ガシャーン!!
修「ぐあっ!!!」
健一は空き瓶で修の頭を殴り、瓶と修の頭は割れてしまった。
茜「修ぅぅぅうううっ!!」
健一「へっ、俺に逆らうからこうなるんだ・・・」
ガシッ!!
健一「さぁ、俺と来い!帰るぞ茜!」
茜「いやぁ!!!」
あおい「そこまでだ!!」
そこにあおいと豹牙が教室に入ってきた。
健一「な、何だ!?てめぇ?」
あおい「あたしは地方警察局の刑事、河原あおいです」
豹牙「同じく巡査の、焔豹牙だ」
健一「刑事だと!?何でサツが来てやがる!?」
あおい「宮沢健一!貴方を児童猥褻及び不法侵入及び障害の罪により、逮捕します!」
健一「刑事なんかに俺の気持ちが解ってたまるか!!」
ガチャ!!
あおいは隙をついて、即座に手錠を掛けた。
健一「い、いつの間に手錠を!?」
あおい「それじゃ、御同行願いますね。宮沢健一さん」
健一「ち、ちくしょぉぉぉおおおっ!!」
という訳で、健一は逮捕された。

【回想終了】

裕太「なるほど、つまり。夏美のおじさんの授業中に来た時に取り押さえられたのか・・・」
フィール「ま、そういうこった。俺があおいと知り合いだったから、携帯で連絡して迅速な対応で宮沢健一の逮捕に成功したのさ」
あおい「でも、裁判では彼の酒による暴走が認められちゃってね。1年半で出所しちゃったんだよ」
武「1年半って事はもう外に出てるって事か・・・」
美香「それから、彼氏の修君はどうなったんです?」
あおい「彼は全治半年の重症だったんだけど、傷ももうなくなって普通に高校生活を送ってるよ」
美香「よかった無事なんだ・・・」
あおい「ただ・・・、茜ちゃんの方はこの責任を感じて・・・。別れちゃったんだけどね・・・」
美香「茜ちゃん、可哀想・・・」
夏美「それで、宮沢は今も尚その伯父の家で暮らしてるの?」
あおい「それが、伯父夫婦が交通事故で亡くなってしまって、今はアルバイトをしながら1人暮らしをしているんだ・・・」
武「宮沢さんが余りにも可哀想だぜ、そりゃ・・・」
リョウ「じゃあ、まさかあおいが帰ってこれない時が最近多いのって・・・」
あおい「そう、彼女の精神が落ち着くまでの間。あたしと豹牙で匿っているんだよ・・・」
リョウ「娘が生まれて3年になるのに付き合い悪いと思ってたけど、そういう事だったんだな・・・」
あおい「なぁに、アンタは大事にまことを育ててくれてるでしょ。感謝してるよ、リョウ・・・」
フィール「あ〜、熱いぜ。熱い夫婦だなぁ・・・」
あおい「フ、フィール!冷やかさないでよ!夫婦なんだからいいでしょ!!」
裕太「許せねぇ・・・」



美香「ゆ、裕くん?」
裕太「・・・宮沢を自分の娘を何だと思っていやがるんだ・・・」
武「ゆ、ユウがマジで怒ってる・・・」
夏美「冷静な裕太も怒る事ってあるんだ・・・」
裕太「有難う、あおい刑事さん。やっぱり、WQ8号事件が宮沢の心の闇だったんだな・・・」
あおい「それじゃ、茜ちゃんの所に行ってみようか」
美香「近くなんですか?」
あおい「うん、歩いて10分程度だよ」
裕太「なぁ、タケ・・・。友達ってのは全てを受け止めてこそ友達なんだよな?」
武「な、何だいきなり!?・・・ま、まぁ・・・その通りだけどよ」
裕太「・・・そうか・・・。美香、宮沢に会ったらあいつの闇を払えるといいな・・・」
美香「う、うん!」
夏美「裕太、お前・・・。WQ8号事件の話聞いてから、変だぞ?」
裕太「・・・夏美、お前の言う通りだな・・・」
夏美「へ?」
美香「裕くん、変・・・なの?」
裕太「お前の言う様に、俺にはあいつの気持ちが痛い程解ったよ。俺も両親いないしな・・・」
夏美「そ、そっちか・・・」
あおい「じゃ、みんな決心がついた所で行こうか。マスター、お勘定!8人分まとめてね」
店長「くるみちゃん、お願い!」
ウェトレス「は〜い」
武「け、刑事さんの奢りっすか!?」
あおい「当然でしょ!」
武「パフェとかケーキとかも頼めばよかったなぁ・・・」
あおい「残念でした〜」
8人は喫茶店を出た。

という訳で8人は宮沢茜の住まいに向かった。
あおい「この角を曲がってす・・・」
リョウ「ん?どうした?」
あおい「しっ!みんな、隠れて!」
美香「え!?」
あおい「(どういう事だ?ドアが開けっ放しなんて・・・)」
豹牙「嫌な予感がするな・・・」
8人はそっと、茜の部屋に近寄った。
???「茜、やっと見つけたぞ・・・」
リョウ「何だ?今の声は?」
あおい「今の声、宮沢健一!?」
裕太「ちっ!」
美香「ゆ、裕くん!?」
あおい「あっ!コラッ!」
裕太は1人で中に入っていった。

部屋の中では・・・。
健一「さぁ、茜。お父さんと一緒に帰ろう・・・」
茜「ち、近付くな!こ、こ、殺すぞ!!」
茜は部屋の隅で怯えながら、包丁を構えていた。
健一「そんなモノを向けないでおくれよ。俺はお前の実の父親なんだぞ・・・」
茜「お前なんか・・・」
裕太「てめぇ!!」
バキッ!!
健一「ぐぉぉっ!!」
茜「お、大野!?何でお前が!?」
裕太「宮沢!包丁を置け、そんなモノを人に向けるもんじゃねぇ・・・」
茜「大野・・・」
裕太「茜!!俺がお前を守ってやる・・・。だから、俺を信じろ!!」
茜「!!」
茜は包丁を畳の上に置いた。
健一「んだ?てめぇは!!」
裕太「アンタに名乗る名なんてねぇよ」
あおい「そこまでだ!宮沢健一!!」
そんな所にあおいが乱入してきた。
健一「て、てめぇは!!あの時の女刑事!!」
あおい「出所して、たったの半年でまた同じ事繰り返すなんて、全然懲りてないんだね」
豹牙「宮沢健一、署まで御同行願おうか」
豹牙は手錠を掛けた。
あおい「ん?」
豹牙「どうした、あおい?」
あおい「豹牙、彼の口臭嗅いでみて・・・」
豹牙「口臭?」
豹牙は健一の口臭を嗅いだ。
豹牙「酒臭くない・・・」
あおい「まさか、本能でやったって事?」
豹牙「どうやら、そうらしい。服役中に相当精神をやられていたらしいな・・・」
健一「うぉっ!!」
健一は急に倒れ込んだ。
豹牙「おい?どうした!?」
健一はそのままの体制から、茜の置いた包丁を奪い取った。
豹牙「早まるな!!宮沢健一!!」
健一「てめぇみたいな野郎がいるから、てめぇがいるから・・・。茜は、俺の愛する我が娘茜は俺に振り向いてくれないんだぁぁっ!!」
健一は包丁を持って裕太にかかっていった。



美香「きゃっ!ゆ、裕くん!!」
夏美「裕太ぁぁっ!!」
武「やめろぉっ!!」
裕太「なっ!!」
茜「やめてぇぇっ!!」
そんな時だった。
あおい「させるか!!」
ザシュ!!
裕太「!!け、刑事さん!?」
健一の包丁はあおいの横腹に刺さった。
美香「あ、あおい刑事さん!!」
茜「そんな・・・」
健一「ハァハァ・・・、ざまぁみやがれ!!」
夏美「ど、どうしよう!!あ、アンタ部下なんでしょ!何とかしてあげてよ!!」
夏美が豹牙に言い寄る。
豹牙「・・・大丈夫だ・・・」
夏美「何が大丈夫だよ!?思いっきり横腹に刺さってるじゃん!血も出てるし!!」
あおい「・・・・」
バキッ!!
健一「うおっ!?何!?」
あおい「・・・あのね、あたしがこの程度で死ぬと思った?」
裕太「おいおい、横腹に包丁が刺さってるのに何でピンピンしてるんだ!?」
あおい「言わなかったっけ?不老不死だって事・・・」
美香「そう言えば、花見の時に・・・」
あおい「あたしは死ねない身体なんだよね。だから、心臓貫かれても頭割られても、死なないんだ・・・」
裕太「す、すげぇ・・・。化け物だな・・・」
あおい「化け物は失礼だなぁ。ちゃんと痛みはあるよ。血も出るし・・・」
豹牙「寧ろ、死んだ方が楽と言いたくなるくらいの重症を受けても死ねない所為で、その痛みを引きずっていくというリスクもあるがな」
美香「大変なんですね・・・。それはそれで・・・」
あおい「さてと、豹牙はコイツをそのまま事情聴取しに行って!」
豹牙「承知!」
豹牙は健一を連行していった。
美香「茜ちゃ〜ん!!」
美香は茜に抱きついた。
茜「遠藤!?」
美香「よかったぁ、無事で・・・!!」
裕太「本当に、何もなくてよかったよ。あか・・・いや、宮沢」
茜「お、大野・・・」
茜は赤面した。
裕太「・・・悪い。いくら、咄嗟だったとはいえ、名前で呼んじまって・・・」
茜「別に、気にしてない・・・。茜って呼んでいいよ・・・」
裕太「茜・・・」
裕太も赤面し出した。
美香「よかったぁ、裕くんと茜ちゃんも仲直り出来たみたいで・・・」
裕太「も、元々俺は茜と喧嘩なんてした覚えはねぇよ!」
美香「へぇ〜、胸倉掴んで怒鳴り付けてたの誰だっけ?」
裕太「み、美香!?」
茜「・・・クス」
裕太「え?」
茜は軽く笑った。
美香「あ、茜ちゃん、今笑った・・・?」
茜「な、何?わ、私だって、喜怒哀楽くらいあるよ」



あおい「でも、本当は宮沢健一の件がちゃんと解決させる事が出来た開放感ってのもあるんじゃないのかな?」
茜「あ、あおいさん!?」
茜は赤面して焦った表情を見せた。
裕太「・・・確かに刑事さんの言う通りかもしれないな・・・」
茜「お、大野まで・・・」
裕太「俺、お前の素直な表情初めて見たよ・・・」
茜「大野・・・」
美香「あ、そうだ。HR合宿の事なんだけど・・・」
茜「いいよ、一緒に組もう。貴方達となら上手くやっていけると思う・・・」
美香「茜ちゃん・・・」
裕太「折角、同じ班になるんだ。みんな名前で呼んでくれないか?」
武「俺はタケでいいぜ」
夏美「あたしは夏美ね」
茜「うん、タケに夏美、それに美香・・・。これからは名前で呼ぶね・・・。・・・それと・・・」
裕太「ん?」
茜「有難う、裕太・・・。私を助けてくれて・・・。本当に嬉しかった・・・」
茜は優しい笑みを浮かべ、裕太を見つめた。
裕太「・・・・と、当然だろ・・・。俺達はもう赤の他人じゃねぇんだからな!」
裕太は茜を笑顔を見た途端、激しく赤面した。
裕太「あ、あのさ・・・、茜」
茜「何?裕太・・・」
裕太「お前さ、その・・・」
茜「ん?」
裕太は顔を反らした。
裕太「えっと・・・、お前笑顔可愛いんだから・・・。も、もっと愛想良くしたら、モテると思うぜ」
茜「裕太・・・」
茜も顔を反らせて激しく赤面した。
武「な、何だ?裕太がらしくねぇセリフ吐いたぞ?」
夏美「しかも、顔真っ赤だし・・・」
美香「・・・・」
茜「ぜ、善処する・・・」
裕太「素直じゃねぇな・・・」
茜「な、慣れてないだけだ!」
裕太「ま、まぁいいか・・・。じゃ、じゃぁ・・・明日、学校でな!」
茜「うん!またね、裕太」
美香「・・・(何だろう、茜ちゃんと仲良くなれたっていうのに、この心に響く嫌な予感は・・・?)」
7人は部屋を出て、各自帰宅したのだった・・・。

そして、翌日、教室・・・。
裕太「いやぁ、昨日は大変だったな。タケ」
武「あぁ、WQ8号事件か・・・。まさか、同じ悲劇が起こるなんてな・・・」
夏美「でも、今回はちゃんと解決したみたいだし、よかったじゃんか!」
美香「これで、申し送りも済んで解決だね・・・」
裕太「茜も、笑顔を取り戻したし、一件落着だな・・・」
武「あぁ!まさか、茜ちゃんの笑顔があんなに可愛かったなんて、俺も驚いたぜ」
夏美「裕太なんて、顔が真っ赤になってたよな〜」
裕太「う・・・、それは言わないでくれ・・・」
美香「・・・(どうしてだろう・・・、茜ちゃんの事を話す裕くんを見てると胸が痛くなる・・・)」
美香の表情がまた曇った。そこに、
茜「おはよう、裕太」
裕太「おう、おはよう、茜。本当にいい表情する様になったな・・・」
茜「う、ま、まだ慣れてないけど・・・」
裕太「まぁ、そのウチ慣れていくだろうさ・・・」
茜「そ、そうだね・・・」
茜は明るい笑みを浮かべた。

こうして、茜の闇を払った裕太。だが、それとは対照的に美香の表情が暗い。一体、どうなったしまうのだろうか・・・?