夏休みも終わりに近づき、登校日になった。
リョウ「くあぁ〜!今日の早朝見回り誰だっけ?」
あおい「確か、カイくんと誠也くんだね」
リョウ「人数多くなってから少し楽になった気がするなぁ・・・」
あおい「そう?何かと風紀委員内の問題が出てきたけど・・・」
リョウ「そういや、登校日って風紀の乱れた生徒が多いんだっけ?」
あおい「多いよね。急に金髪になってるのとかいるし」
リョウ「会長さんの髪の色はいいのか?」
あおい「彼は生まれつきらしいよ。カイくんも言ってたし」
リョウ「生まれつきあの色って可哀想だけどな」
あおい「日本人なら純黒髪だよね・・・」
リョウ「美雪ちゃんみたいにな・・・。っと、言ってるそばから・・・。よぅ、美雪ちゃん、おはよう!」
美雪「わ・・・私にさわらないで下さいっ!」
リョウ「え!?」
あおい「あんた・・・何かした?」
リョウ「寧ろ、何もしてない・・・・」
あおい「美雪ちゃんも何かあったの?」
美雪「河原先輩、男の人って怖いですよね・・・」
あおい「え?・・・(美雪ちゃん・・・夏休み中に襲われたの?)」
葉月「・・・・これでええんや。これで・・・」
風紀12:絶望
2日前の夜の事・・・。
ピンポ〜ン
美雪「は〜い。あら、葉月ちゃん」
葉月「夜分すまへんな・・・。ちょっと付き合って欲しいんや・・・」
美雪「いいわよ」
葉月は美雪を外に連れ出した。
美雪「ここに何かあるの?」
葉月「ちょっとすまへん、失礼」
美雪「え?」
葉月は美雪の霊気を読み取った。
葉月「・・・・やはり・・・」
美雪「え?え?」
葉月「やっぱり、あんたが白石裕美子やったんやな・・・・」
裕美子「なんで・・・。たかが陰陽師のあんたが何であたしが美雪の身体に乗り移った霊体だなんて、解ったの?」
葉月「ウチが学校に転校してきた日の肝試し・・・。あの時に、遭えて目を瞑ったが、美雪ちゃん自身にもの凄い霊気を感じたんや」
裕美子「・・・その時から、気付いていたのね・・・」
葉月「その後、リョウはんの話を盗聴して、あんたの正体が白石裕美子と確信したんや」
裕美子「流石は後継者と呼ばれる程の実力者ね。だけど貴方にこの霊気止められるかな?」
葉月「ウチを舐めんとき!ウチは伝説の陰陽師なんや!成仏せいやぁぁああっ!!!」
葉月は札を投げた。
裕美子「ふ・・・。こんな紙きれごときで成仏する程やわな霊じゃないわ!」
裕美子は札を燃やした。
葉月「・・・く・・・。やっぱり、あんたは並の雑魚幽霊とはケタ違いみたいやな・・・。あの時の異常な気配だけでそのくらいは読めていたで」
裕美子「それが解っただけで充分流石ね・・・」
葉月「どうやら、ウチも本気を出さなくてはならないみたいやな・・・」
裕美子「いいわ。その本気というのを見せてもらおうじゃないの!」
葉月は両手で数珠を広げた。
葉月「この技は出来るだけ使わない様にしたいんやけど、しゃーないなぁ・・・」
裕美子「?」
葉月「咲崎陰陽師流・最終究極奥義っ!!!『風穴』ぁぁあああっ!!!」
葉月の広げた輪から強烈な吸引力が働いた。
葉月「伝説の風穴には劣るけど、霊体だけならこれで充分やっ!」
裕美子「な・・・なんて吸引力なの・・・」
葉月「だぁぁあああああっ!!!」
裕美子「きゃぁぁぁあああああああっ!!!リョ・・・リョウゥゥゥゥウウウウウ!!!」
白石裕美子の霊は見事除霊された。
葉月「ふぅ・・・あんなに強力な怨念は初めてやで・・・。これで、よかったんやな・・・」
葉月は美雪を家に帰して、帰宅したのだった。
時は戻して、登校日。
風紀委員室・・・。
美雪「私、間違えなく男性恐怖症でした。今でもそうだと思っていました・・・。でも、何で男性と付き合っていたのか、不思議です」
リョウ「一体・・・どうなっちゃってるんだ?」
誠也「嘉藤先輩、随分雰囲気変わっちゃいましたね・・・」
まなみ「・・・というより、昔に戻ったって感じもするよね?」
カイ「えぇ・・・。リョウに会う前はこんな感じでしたよ」
あすか「でも、何があったって言うの?」
あおい「解らない・・・。寧ろ、美雪ちゃん・・・あんたに会ってから変わったって思ったんだよね?」
リョウ「俺に何かある・・・って事か?」
あおい「解らないけど・・・、確かにあの時はいい意味でそういう風に思っていた・・・」
ゴリ「困ったでごわすなぁ・・・。このままではおいどん達まで調子が狂うでごわす」
葉月「・・・・」
あすか「ところで、はづ坊・・・。あんたさっきから様子が変だけど・・・、何か知ってる?」
葉月「ウ・・・・ウチは何も・・・何も知らへん」
あすか「本当に?」
葉月「本当や!一昨日の夜なんかに美雪ちゃんに会いに行ってへんで!」
あすか「そっか・・・」
さくら「ところで、はづ坊。何で一昨日の夜なの?」
リョウ「お前・・・。何か知ってるな?」
葉月は震えながら立ち上がった。
葉月「・・・知ってるで・・・。何もかも・・・。どういう経緯だったかもな・・・。でも、言えへん・・・」
あすか「何でよ!?気になるでしょ!」
葉月「これを知ると絶対他の人も傷つくんや。教えられへん・・・」
リョウ「・・・俺は構わないぜ。美雪ちゃんの身に何があったか知りたいんだ・・・。頼む、はづ坊・・・。知ってる事があったら言ってくれ」
葉月「そうかいな・・・。ウチはどうなっても知らんで・・・。保障せんからな!!」
葉月は怯えながら怒鳴った。
葉月「・・・神崎亮・・・、こうなったのは全てアンタの所為やぁっ!!」
あすか「はぁ?」
リョウ「え?・・・俺?」
葉月「・・・アンタ、白石裕美子という少女の事は知ってるな?」
リョウ「・・・!?・・ゆ、裕美子!?何でお前があいつの事を・・・」
葉月「彼女が殺された時、彼女はアンタ自身に取り付いて夢を見せていた・・・」
リョウ「確かに見ていたな・・・」
葉月「ここに来てから見なくなったそうやな?」
リョウ「あぁ・・・」
葉月「その日、偶然あんたは美雪先輩を不良から助けた。その時、これはいいと思ったらしく、美雪ちゃんに乗り移ったんや」
リョウ「何だって!?」
葉月「ウチが来た日の晩の肝試しの時に美雪先輩に違和感を感じて、アンタを備考していたらや。この間京都で彼女の墓の存在を知った」
リョウ「・・・・」
葉月「アンタがあんな中途半端でいい加減な墓で霊をほったらかした為に起こった悲劇や!全て、アンタの所為や!」
リョウ「・・・そうか・・・。俺は、何て事を・・・。はづ坊・・・、全て解ったよ・・・有難う・・・」
葉月「・・・」
美雪「神崎先輩?」
リョウ「はは、面倒掛けてすまなかったよ。美雪ちゃん、いい男と巡り会えるといいな。じゃ、俺はこれで・・・」
あおい「・・・・(リョウ・・・)・・・」
リョウは風紀委員室を出た直後に走り去った。
あおい「・・・カイくん・・・。後の事は頼んだよ」
カイ「あおいさん?」
あおい「あたしはリョウを連れ戻すから、時間になったらみんなを帰していいからね」
カイ「はい、そちらもお気をつけて」
あおいはリョウを追って出て行った。
あおいとリョウが出て行き、急に静まり返った風紀委員室。
美雪「うぅ・・・。私、何て事を・・・。神崎先輩を傷付けてしまった・・・」
葉月「美雪先輩は悪くないで。あんたは列記とした被害者や。この原因は全てウチが・・・」
ゴリ「・・・お嬢・・・」
あすか「何しょぼくれてんのよ!」
葉月「だって・・・リョウはんは・・・」
あすか「リョウはそんなに心の弱い男じゃない・・・。ちょっとやそっとの事で凹む様なやわな性格はしてないわ」
さくら「それに、万に一つの事があってもあおいちゃんがいるでしょ。だから心配ないよ!」
葉月「万に一つの事があったら困るんやけど・・・」
カイ「もっとリョウを信頼しましょうよ。僕達はどういう結末を迎えようとも暖かく見守ってやればいいんですから・・・」
誠也「それがあの人、河原先輩の考えでもあるでしょう」
まなみ「そうだねぇ〜。最近のあおいちゃんは柔らかくなった分、信頼も増してるし。大丈夫だと思うよ」
葉月「・・・みんな・・・」
ゴリ「お嬢、みんなの言う通りでごわすよ。無駄に自分を責めてはいけないでごわす」
葉月「・・・せやな・・・。それに万一の事があったら、ゴリに守らせればええねん」
ゴリ「おいどんはお嬢の護衛でごわすから、そのくらいお安い御用でごわすよ」
カイ「・・・じゃ、みんな落ち着いた所で、解散しましょうか・・・。それでは、解散!」
しかし・・・・誰も立ち上がる者はいなかった。
カイ「あれ?どうかしました?」
葉月「ウチは待つで。リョウはんがこうなったのはウチの所為や。結果を見届けるまでここにいる」
美雪「私も・・・。彼に触れる事は出来ませんけど、見守るだけなら出来ますから・・・」
あすか「・・・メガネ、どうすんの?」
カイ「仕方ありませんね。後で僕があおいさんに怒られましょう・・・」
さくら「1人じゃないよ。あたしも一緒に怒られてやるんだから!」
という訳で2人が帰ってくるのを待つ事になった。
その頃・・・。学校の裏の河川敷では・・・。
リョウ「くそっ!俺は・・・何て事を・・・。美雪ちゃんを完全に傷付けた・・・。俺はどうすれば・・・」
そこに・・・。
あおい「リョウ・・・ここに居たんだ・・・」
リョウ「はは、帰るに帰れなくてな。なぁに、俺はいつも1人でやってきた。だから、美雪ちゃんを手放してもつらくないぜ」
あおい「・・・まったく、素直じゃないなぁ〜」
リョウ「う・・・うるせぇ!裕美子の霊をここまで呼び込んだ責任は全て俺にあるんだ・・・」
あおい「じゃぁ、あんたはこれからどうするっていうの?」
リョウ「・・・まぁ、気楽に野宿でもして遠くで暮らしちゃえばいいじゃねぇか」
あおい「・・・逃げる気?」
リョウ「・・・俺は・・・、あの子に合わせる顔がない・・・」
バチンッ!
あおいはリョウに平手打ちをした。
リョウ「いってぇぇ〜。何しやがる!」
あおい「意気地なしっ!何で現実から逃げようとするの!?」
リョウ「・・・俺には・・・荷が重過ぎるんだ・・・。彼女につらい思いをさせてしまった・・・」
あおい「だから何?美雪ちゃんに合わないのが償いだっていうの!?」
リョウ「そうだよ!少なくとも俺が離れていれば・・・」
バチン!
あおいはもう1発入れた。
リョウ「ぐぉぉ〜!だから、いてぇんだよ!その平手打ちは!」
あおい「バカ・・・。近くで見守ってやるとか考えないの?償いっていうのは、そういうもんじゃないの?」
リョウ「・・・でも、彼女は男性恐怖症なんだろ?俺はもう彼女に触れる事も触れられる事も出来ないんだ・・・」
あおい「違うよ!見守るってのは、触れなくても出来るものでしょ!」
リョウ「・・・・!」
あおい「今、気付くな!」
リョウ「・・・でも、俺は彼女に愛されなくなるかもしれない・・・」
あおい「その時はその時だよ、そうなったらあんたは別の人を探せばいいじゃん・・・」
リョウ「・・・そうだな・・・・・」
あおい「だから、あんたも・・・・」
リョウ「・・・・・・」
あおい「・・・・・・」
数秒の重い沈黙に閉ざされた。
リョウ「な・・・何だよ!」
あおい「こ・・・こっちのセリフだよ!何で急に黙るの!?」
リョウ「何でもねぇよ。とりあえず、戻るぞ。みんなが心配してる」
あおい「認識してるんだぁ」
リョウ「俺もそういう想いしたからな」
リョウはあおいを見つめて言った。
あおい「・・・何よ?その冷たい視線は?」
リョウ「別に〜」
あおい「あんたこの前の事、根に持ってるでしょ?」
リョウ「俺はそんなに尻の穴の小さな男じゃねぇよ」
そして、あおいとリョウは風紀委員室に戻っていった。
風紀委員室に戻ってきた2人を委員全員が帰らずに待っていた。
あおい「あれ?みんな、まだ残ってたんだ・・・」
カイ「僕は解散命令は出したんですけどね。みんなが2人を待ちたいって言うので、みんなで待ってましたよ」
さくら「あたしの大事なお兄ちゃんが帰ってこなかったら、心配だもんね」
あすか「まったく、世話掛けさすんじゃないよ」
リョウ「う・・・。スマン・・・」
美雪「すみません・・・。私が弱いばっかりに・・・」
リョウ「君の所為じゃないよ・・・。俺が悪かったんだ・・・」
葉月「ウチにも否はあるで。ウチが除霊なんてしたばっかりに・・・」
リョウ「はづ坊・・・。霊に関する事も無知な俺の責任だ。君がした事は正しい事だと思うぜ」
葉月「リョウはん・・・」
リョウ「美雪ちゃん・・・、俺は君の彼氏にはなれなくなると思う・・・。だけど、触れる事が出来なくても遠くで守ってやる事は出来る・・・。これからも1人の友人として宜しくな・・・」
あおい「それ、あたしのセリフじゃん!」
リョウ「うるせぇ!」
美雪は涙を溢しながら。
美雪「こ・・・こちらこそ・・・よろしく・・お願いします・・・。・・・神崎先輩・・・」
カイ「ところで、リョウ。君はこれからどうするんです?」
リョウ「そうだなぁ・・・。まぁ、気長に俺に向く子を探すよ。まだ遅くはないんでね・・・」
あおい「いい人みつかるといいね・・・。フラれた者同士協力してあげるからね・・・」
リョウ「あ・・・ああ・・・・・」
あおい「ん?」
急にみんなが静かになった。
誠也「さっきから思ってたんですけど、そのまま2人がくっついちゃえばいいんじゃないのでは?」
葉月「せやなぁ〜、ウチも初めて見た時からお似合いだと思っていたねん」
まなみ「くっついちゃえ!くっついちゃえ!」
あおい「ちょっと・・・。あたしとリョウは罷り間違ってもそういう関係には・・・」
あすか「あおいが義理の妹になるんだぁ・・・いいねぇ〜」
さくら「あおいちゃんがお義姉ちゃんになったら、あすかお姉ちゃんよりいいかも〜」
あすか「さくらぁ〜!?」
さくら「ひゃぁ〜!逃げろ逃げろ〜!!」
あすかはさくらを追い掛け回した。
リョウ「おい、お前らなぁ・・・」
美雪「神崎先輩・・・おめでとうございます」
美雪は天使の様な笑顔で微笑んだ。
リョウ「み・・・美雪ちゃん?」
美雪「神崎先輩と河原先輩・・・。お似合いじゃないですか。白石さんとかいう人の霊に取り付かれていたけど、記憶だけは残ってるんですよ」
リョウ「はぁ・・・・。おい、あおい・・・どうする?この冗談みたいな状況は?」
あおい「・・・う〜ん・・・。折角だし、流れで付き合ってみる?」
葉月「おぉ〜!!」
リョウ「おい、冗談だろ?」
あおい「初めは冗談で付き合ってみて、気が変わったら別れればいいしね。ま、互いに傷付かない程度で宜しくね」
あおいはリョウの肩をたたいた。
リョウ「・・・微妙な言い方だなぁ・・・」
葉月「そうなると、あおい姉ちゃんの部屋に防犯カメラを設置せんとなぁ・・・。×××とか、×××とかやるんだろうから」
誠也「おぉ!」
まなみ「はづちゃん、×××って何?」
葉月「後でじっくりと教えてやるで・・・。ククククク・・・」
リョウ「やらねぇよ!!つーか、放送禁止用語を平気で出すな!それと、まなピーに変な事教えるな!」
あおい「何か、カイくんとさくらちゃんの時より遥かにエスカレートしてるよぅ〜」
カイ「はは・・・。いいじゃないですか」
さくら「あたし達よりずっと歓迎されてると思えばいいじゃん!」
あおい「あう〜。あんまり歓迎されると困るんだけどなぁ〜・・・」
こうして、(仮)カップルとしてあおいとリョウが結ばれ始めたのであった。
この2人、本当に結ばれてしまうのか・・・?
完
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