風紀14:無理はしないで
 
ミ〜ンミンミンミンミンミン・・・
相変わらずに暑い夏の日・・・。
リョウ「まったく、風紀委員は警察じゃねぇってんだよな」
あおい「そうだよね、いくら知り合いに警察官いるからってね・・・」
あおい、カイ、リョウの3人は喫煙者の出た部室の取調べに付き合わされ、その帰りの事だった。
リョウ「それにしても、暑いなぁ・・・」
あおい「じゃぁ、「かんなや」行く?」
リョウ「お!いいねぇ・・・。カキ氷食いたい所だったんだ・・・」
あおい「カイくんはどうする?・・・・・カイくん?」
カイ「ど・・・どうかしましたか?」
あおい「顔色悪いけど、大丈夫?」
カイ「大丈夫、問題ないですよ」
リョウ「あんまり無理するなよ」
カイ「僕はそこまで熱血漢じゃありませんから・・・」
リョウ「それもそうか・・・」
その時だった・・・。
カイ「う・・・・・」
リョウ「どわぁっ!?」
ドサッ!

カイが急に倒れて、目の前に居たリョウを巻き添えにした。
リョウ「いってぇ・・・・・・・・。あちちちちぃぃぃいいい!!」
下敷きになったリョウは思いっきり熱いアスファルトの上に倒れこんだ。
あおい「カイくん!?」
リョウ「おい、どうしたんだ?」
カイは意識を失っていた。

風紀14:無理はしないで

ピーポーピーポー・・・
あおい「じゃぁあたしはこのまま乗っていくから、あんたは会長とさくらちゃんに知らせて!」
リョウ「解った!」

プ〜ルルルルル〜♪
さくら「は〜い、あたしリカちゃん!」
リョウ「遊んでる場合かよ!」
さくら「お、お兄ちゃん!?どうしたの?」
リョウ「カイが・・・・」
さくら「え・・・・?」
リョウ「カイが倒れて病院に運ばれたんだ・・・」
さくら「・・・・・」
リョウ「いいか、落ち着けよ。今から迎えに行くから、あおいは先に付き添った!じゃぁな!」
プツン・・プープープー
さくら「魁斗くん・・・が・・・・。そんな・・・」

30分後、国立岩鼻病院。
リョウ「あおい!!」
あおい「リョウ・・・。病院では静かにね」
リョウ「こんな時に注意してる場合かよ」
さくら「あおいちゃん!魁斗くんは?魁斗くんは無事なの?」
あおい「・・・・・・」
あおいは急に俯いて黙った。
さくら「そ・・・そんな・・・・」
あおい「・・・貧血・・・」
さくら「へ?」
あおいは明るい表情に戻り。
あおい「ただの貧血だってさ、あと栄養失調とか言ってたかなぁ・・・」
リョウ「おいおい・・・」
さくらはあおいの胸倉を掴んだ。
さくら「だ・・・だったら、率直に言ってよ!こっちは心配してるんだからね!!」
あおい「わ・・・悪かったよ・・・。悪戯がすぎたよ」
さくらはあおいを放した。
あおい「ふぅ・・・」
リョウ「んで?カイは?」
あおい「今は落ち着いたみたいで寝てるよ。入院はしなくて大丈夫みたいだから目が覚めたら家に帰れると思うよ」
リョウ「そっか・・・」
リョウとさくらは落ち着きを取り戻した。
さくら「そういえば、お兄さんは?」
リョウ「そういや、連絡付かなくてさ。知り合いに聞いたら、今イタリアに旅行中らしいぜ」
さくら「また?7月の終わりにも海外旅行でハワイに行ってなかった?」
あおい「会長って何気に権力だけじゃなくて、お金もあるんだよね」
リョウ「アテネ現地でオリンピックの観戦か・・・」
さくら「でも、何でだろ・・・」
さくらはある事に疑問を抱いた。
あおい「え?」
さくら「魁斗くんの原因は「栄養失調」でしょ?何で・・・」
あおい「あぁ、カイくんお兄さんと別居してるから・・・」
さくら「べ・・・別居!?何でまた・・・」
あおい「会長とカイくん仲悪いんだよね・・・。理由は知らないけど」
さくら「そういえば、あたしが初めてあった時はあんな常に敬語なんて話してなかったなぁ・・・」
リョウ「志村兄弟か・・・。何かありそうだな・・・」
そこに看護婦から嬉しい知らせを受ける。
看護婦「志村さんの付き添いの方ですね?彼が目を覚まされました」
さくら「魁斗くん・・・」

カイは平然とベッドに座っていた。
カイ「あ・・・。やぁ・・・」
さくら「魁斗く〜ん!!」
さくらはカイに飛び込んで抱きついた。
さくら「心配したんだからね・・・」
カイ「迷惑掛けてすみません・・・」
さくら「でも、無事でよかった・・・」
リョウ「あ〜コホンコホン・・・」
あおいとリョウは顔を赤くしながらそっぽを向いた。


リョウ「気持ちは解らなくはないんだけどよ・・・」
あおい「ここ病院だよ・・・。それに、周りの人見てる・・・」
さくら「はっ・・・」
さくらは顔を真っ赤にした。
さくら「は・・・恥ずかしいっ!魁斗くん・・・」
カイは冷静に、
カイ「ふ・・・。周りの人に迷惑でしょうから、帰りますか・・・」
さくら「う・・・うん・・・」
4人は病院を出た。

カイ「本当に迷惑掛けてすみませんでした」
リョウ「何言ってるんだよ。親友だろ、俺達」
あおい「困った時はお互い様ってね」
カイ「はは・・・。親友か・・・、いい言葉ですね」
あおい「ところで、これからどうする?」
リョウ「そうだな、ただの貧血とはいえ、また倒れた時困るだろうし、俺は家まで付いていくよ」
さくら「あたしも一緒に行く。魁斗くん心配だし・・・」
あおい「じゃぁ、あたしも行こうかなぁ・・・・」
結局、4人でカイの家に押しかけに行く事に・・・。

着いた場所はボロいアパートだった。
リョウ「本当に、ここなのか?」
カイ「そうですよ」
さくら「見事にボロい外面だね」
4人はカイの部屋に案内された。
リョウ「・・・外面のワリに中は随分と綺麗なんだな・・・」
あおい「カイくんって、昔から潔癖症だからね」
カイ「どうも、汚い部屋って苦手なんで引越し早々大掃除して、綺麗に仕立てあげちゃいました」
あおい「じゃ、あたし達帰るね」
リョウ「お二人さん、仲良くな」
そこに、
カイ「リョウ、コーヒーでも飲んで行きませんか?」
リョウ「いいのか?」
カイ「それに、兄さんと僕の話も聞きたいでしょうし・・・」
リョウ「・・・そうだな、じゃぁ1杯もらおうかな・・・。そこのカフェイン中毒者はどうする?」
リョウはあおいに向かって言った。
あおい「変なあだ名で呼ばないでよ」
カイ「いや、あおいさんは寧ろ聞かないでおいた方がいいかもしれませんよ・・・」
リョウ「え?」
あおいは嫌そうに、
あおい「ちょ・・・まさか、あの事話すの?」
リョウ「あの事?」
あおい「そうだね、リョウは聞いておいた方がいいと思うよ。美雪ちゃんの事もあるし・・・」
リョウ「あぁ、じゃぁ話聞いたら帰るよ」
あおい「じゃあね、カイくん元気出してね」
あおいは部屋を出た。

カイ「はい、お待たせしました。今はコレしかなくてすみません」
カイはコーヒーを3つ運んできた。
リョウ「いいよ。それより、例の話っての聞かせてくれないか?」
カイ「はい、それは僕が中学の時でした」

【回想開始】
中学2年の頃、僕は中学でも風紀委員副委員長をやっていました。
カイ「兄さん!葵組の女子が万引きしたそうだよ」
ジン「また葵組か・・・」
兄さんは風紀委員会の委員長を務めていました。

女子「あすかさん!今日は大量に収穫してまいりました!!」
あすか「おぉ、やるじゃん!姐さん、どうっすか?」
あおい「なかなかの収穫だねぇ・・・」
中学生の凶悪レディース軍団”葵組”の総長があおいさんで、副総長があすかさんでした。
あおい「ところで、どうやって手に入れた?」
女子「勿論!万引きに決まってるじゃないですか、総長!」
そんな時、
ガラガラガラ・・・
ジン「観念しろ!葵組っ!!」
カイ「もう逃げ場はないぞ!!」
バチン!!
あおいさんは女子に平手打ちを喰らわしていました。
あおい「ばっかやろー!!誰が犯罪行為やらかせと言ったか!?あんた、このあたしの顔に泥を塗る気?」
女子「す、すみません〜!!」
あおい「解ったら、今すぐ返して謝ってきな!!」
あすか「おら!さっさと行け!!」
げしっ!
あすかさんは女子を足蹴りしました。
カイ「え?」
あおい「おや?誰かと思えば、風紀委員長の志村兄弟じゃんか。また、あんたらの用はなかったようだね」
ジン「く・・・」
あおい「そろそろ、標的変えたらどうだい?し・む・ら・く〜ん!」
あすか「ウチの総長に決定的なダメージなんてあんたらには与えられねぇのさ!解ったらとっとと帰りな!クズが!」
ジン「くそ〜!覚えてろよ!!河原あおい〜!!」
結局、あおいさんを裁けず泣きを見る場面が多い僕達でした。
【回想中断】

リョウ「あのあおいがよりにもよって、レディースの総長とはね・・・。しかも、会長が風紀委員長だったのかよ」
カイ「えぇ、今の2人を見ると笑っちゃうと思いますけどね」
さくら「でも、あの頃のあおいちゃんって、あの嘉納さんに似てたよね」
カイ「というか、男子の不良軍団の総長は嘉納さんだった様な・・・」
リョウ「ゴウと同じ中学だったのか?」
カイ「えぇ・・・。彼も有名でしたから」
リョウ「でも、何であのあおいがあんなに大きく性格が変わったんだ?」
カイ「それは、3ヶ月後のプールの授業後に起こりました」

【回想再開】
男子A「やっぱ、いいよなぁ・・・美雪ちゃん」
男子B「綺麗だし、スタイルまぁまぁだし」
男子A「やってみてぇ〜!!」
ジン「お前ら、風紀委員長の目の前でいい度胸だな?」
男子B「じょ・・・冗談っすよ〜!ははははは・・・」

そして、授業が終わった時でした。
美雪「きゃっ!な・・・何ですか?」
男子A「やっぱ、たまんねぇぜ!」
男子B「なぁ、俺達と楽しい事しようぜ・・・」
美雪「いや!やめて下さい!」
そこに、
あおい「よしな!!嫌がってるじゃないか!」
あおいさんが助けに来たのでした。
男子B「げっ!あんたは河原総長!?」
男子A「やべぇ、どうする?」
その時だった・・・。
男子C「別に、男子は2人だけじゃねぇんだぜ。総長さんよ」
あおい「な!」
あおいさんは背後から来た体格のいい男子に羽交い絞めにされた。
あおい「て、てめぇ!何しやがる!!放しやがれ!!」
男子B「丁度いい機会だ、総長から先にやっちまおうぜ!」
男子A「いいねぇ・・・」
あおい「な・・・」
そこに、兄さんが現れた。
ジン「お前ら、何を・・・・・」
あおい「し・・・志村ジン・・・」
男子A「やべっ!風紀委員長だ!」
男子B「どうする?」
ジン「おや?誰かと思えば、河原あおいじゃないか」
あおい「何の用だ?こんな時に?」
ジン「・・・フ・・・。安心しろ、俺はお前達男子の味方だ」
男子A「へ?」
ジン「お前らにいいものをやるよ」
兄さんは妙な瓶を出した。
ジン「この液体を使わせてやるぜ、あの女も大人しくなるさ・・・」
男子A「おぉ、こ・・・これは素晴らしい!!」
男子B「早くやってみようぜ」
2人の男子はベタベタの透明な液体を手に付けあおいさんに近寄った。


あおい「や・・・やめろ!そ・・・そ・・・そんな汚らわしい手であたしに触るな!!」
男子達は汚らわしい手であおいに触れた。
あおい「・・・っく・・・」
美雪「いやぁ!やめてあげて!!」
あおい「し・・・志村ジンっ!これがてめぇのや・・・やり方かよ・・・」
ジン「お前は俺の邪魔ばかりして気に入らんのだ!軽いお仕置きだと思って受け取れ!」
あおい「く・・・、て、てめぇぇえええっ!」
美雪「お願い、やめてあげて!」
男子B「うるせぇ!すっこんでろ!」
げしっ!
美雪「きゃっ!」
男子は美雪を蹴り飛ばした。
あおい「や・・・やめろ・・・そ・・・」

それを偶然目撃した僕は急いでプールに向かった。
カイ「何をやっているんだ!?」
ジン「見ての通り、この気に入らん女にお仕置きをしているのさ・・・」
カイ「お前ら、今すぐやめるんだ!そんな事していいと思っているのか?」
男子A「何言ってんだよ、風紀委員長が許したんだぜ。いいに決まってるだろ!」
先生「おい、そこで何をやってる!?」
そこに体育教師が来た。
ジン「せ・・・先生いい所に、僕達が来たらこんなザマだったんですよ」
カイ「な・・・」
男子B「え?」
先生「そこの男子3人!あとで職員室に来い!いいな!!」
男子C「えぇ〜!!」
教師と男子3人は去った。

カイ「兄さん、これはどういうつもりだ!!!」
僕は激怒した。


ジン「折角のチャンスだっただけじゃないか・・・」
カイ「いくら相手があの有名な天敵だからって、こんな事をしていいと思っているのか!?」
ジン「なぁに、この女の怯えた顔が見れただけで俺は十分いい事と思えるぞ」
カイ「貴様ぁ・・・。絶交だ!俺は家出する!!あんたとは暮らさない!」
ジン「・・・けっ!好きにしな!俺もてめぇみたいな弟を持って損したぜ」
兄さんは去った。

カイ「だ・・・大丈夫か?」
あおい「・・・かっこ悪い所、見せたな・・・」
カイ「兄さんがすまない・・・」
あおい「あんたの所為じゃないよ。謝らないでくれ」
あおいさんはそう言ってシャワーを浴びに行った。
カイ「・・・。・・・おっと、大丈夫かい?えっと、嘉藤さんだっけ?」
美雪「い・・・いやぁ・・・近寄らないで・・・」
このショックで美雪さんは男性恐怖症になっていた。一方、あおいさんは・・・
あおい「・・・ちくしょぅ・・・・・」
カイ「・・・泣いてるのか・・・?」
あおい「・・・違うよ、ただのシャワーの水だ」
素直じゃなかった・・・・。
【回想中断】

リョウ「あんの野郎!!美雪ちゃんが男性恐怖症になったのはあいつの所為かよ」
カイ「直接的じゃありませんけど、そうなりますね」
リョウ「いい人だと思ってたのに、気に入らないぜ・・・」
さくら「ついでに、この事件はあおいちゃんにも深く心に深い傷を負ったんだよね?」
カイ「えぇ」
リョウ「あおいが・・・?・・・って、あの汚らわしい手で何処触らせたんだ?」
カイ「僕の口からはちょっと・・・・」
リョウ「・・・・冗談じゃねぇぇぇええっ!!」
カイ「まぁまぁ、まだ話は終わってませんよ」

【回想再開】
翌日。
あおい「志村魁斗くん・・・。昨日は有難うね・・・」
カイ「君は?」
あおい「傷付くなぁ、昨日助けて貰ったじゃん。河原あおいだよ」
カイ「河原あお・・・・って、えぇぇええええっ!?!」
あおい「な・・・何だよ」



あおいさんは髪を短くして、言葉使いも少し大人しくなっていた。
あおい「聞いたよ、お兄さんと別れて、風紀委員も辞めたんだって?」
カイ「君には悪い事をしたからね、罪滅ぼしがしたかったんだ・・・」
あおい「そっか、じゃぁ・・・あたしと友達になってくれる?」
カイ「君と?まさか、あのレディースに入れと?」
あおい「葵組?あれは昨日で解散させたよ。あたしはあんな風に人を怖がらすのに嫌になってね」
カイ「河原さん・・・」
あおい「これからは誰かを守って行こうと思うんだ」
カイ「え?」
あおい「昨日、一緒に居たあの子。美雪ちゃんって言ったっけ?あの子を守ってあげようと思う」
カイ「・・・いいと・・・思いますよ」
あおい「彼女の事、協力してくれる?」
カイ「えぇ、喜んで」
あおい「そうだ、折角だしさ、名前で呼び合わない?あたしはカイくんって呼ぶよ」
カイ「じゃぁ、僕はあおいさんと呼びますね」
あおい「じゃ、宜しくね。カイくん」

そして、僕とあおいさんと兄さんは同じ高校に進み、兄さんは生徒会に入った。
生徒会室。
ジン「・・・と、いう事で貴方の賄賂はこの通り私がマスコミに公表しておきましたので・・・」
会長「志村!貴様ぁ、1年坊の癖に・・・・」
ジン「残念でしたね、会長。それに、校長も・・・」
兄さんは当時の生徒会長と校長の賄賂をマスコミに公表し、一気にポイントを稼ぎ、3ヶ月で生徒会長になった。

あおい「ジンさん、1年で生徒会長になったんだって?」
カイ「えぇ、僕も聞いただけなんですけどね」
あおい「流石は、元風紀委員長だよね」
そこに、兄さんが来た。
ジン「やぁ、あおい君に魁斗じゃないか」
あおい「ジンさん、聞いたよ。生徒会長就任おめでとさん」
ジン「有難う!」
カイ「兄さん、見直しましたよ」
ジン「いやぁ・・・ははははは。折角だ、君達も生徒会に来るかい?」
あおい「いえ、結構です」
カイ「僕らは自由主義者ですから」
兄さんは残念そうに


ジン「そうか、残念だ。あおい君には2年前の罪滅ぼしがしたかったのに」
兄さんも人が変わったが、遅すぎたのだった。

教師「きゃぁあああっ!!!」
不良A「いいじゃねぇか、先生よぅ!俺達と遊ぼうぜ」
あおい「ちょっと!何してるの!?」
あおいさんと僕はそこに駆け付けた。
不良A「てめぇは、河原あおい・・・」
不良B「丸くなったってのは本当らしいな」
あおい「!!!」
あおいさんは一瞬強烈な眼光で睨んだ。


不良A「ぎゃぁあああ!!」
不良B「怖ぇぇよぅ!!許してくれぇ!!」
不良達は去った。
あおい「大丈夫ですか?」
教師「ごめんなさいね、迷惑かけて」
カイ「いいんですよ。ところで、この学校はこんなに不良がいるのに風紀委員はないんですか?」
教師「ないわよ。そんな委員会」
あおいさんは身を乗り上げた。
あおい「だったら、あたしとカイくんで結成して、先生に顧問してもらわない?」
カイ「いいんですか?」
あおい「あたしは凶悪犯罪とか許せないんだよねぇ。校内にいると解ると余計に」
教師「いいわ、私この間廃部になった部の顧問で空いてる所だったの」
こうして、風紀委員会は結成されたのでした。
あおい「でも、いいの?カイくんが委員長じゃなくて」
カイ「いいんですよ。僕は君の下で動きたいので」
あおい「・・・う〜ん、いいのかなぁ・・・」
【回想終了】

カイ「そして、1年後に美雪さんが入って、今年の4月にまなみさんが入って、6月にリョウが来たという訳です」
リョウ「奥が深い話だなぁ・・・」
さくら「風紀委員会の成り立ちなんて初めて知ったよ」
リョウは立ち上がった。
リョウ「じゃ、俺はこれで・・・。仲良くな、お二人さん」
さくら「お兄ちゃん!もぅ・・・」
リョウは出て行った。
さくら「あ、もうこんな時間だ」
時計は午後5時を回っていた。
さくら「何か作ってあげよっか?」
カイ「いいんですか?じゃぁ、お言葉に甘えて・・・って、材料がなかったような・・・」
さくらは冷蔵庫を開けた。
さくら「あれ?冷蔵庫が空っぽ」
カイ「一昨日で全部使い果たしちゃったんですよ。それに、今はお金もわずかしか・・・」
さくら「何に使ったの?」
カイ「この間、兄さんに付き合って韓国旅行に・・・」
さくら「よく海外旅行する人だねぇ」
カイ「どうしましょう・・・」
さくら「う〜ん・・・」
そこでさくらはある作戦を思いついた。
さくら「よしっ!あたしが1000円で1週間分の食材を手に入れてあげよう!」
カイ「1000円で1週間分ですか!?」
さくら「んじゃ、行くよ」
カイ「はい。(どういう値切りするんでしょう・・)」
さくらとカイは部屋を出た。

2人がやってきたのは商店街。
さくら「まずは、野菜と果物が必要だよね」
カイ「えぇ、ビタミンは重要ですからね」
まずは八百屋に寄った。
カイ「へぇ、スーパーやコンビニより安いですね」
さくら「でも、1000円で1週間分には満たないよね」
カイ「流石に無理でしょうね」
さくら「んじゃ、見ててね。おじさ〜ん!」
八百屋「へい!お、さくらちゃん今日は彼氏連れかい?」
さくら「うん!そうだよ。折角彼氏の前なんだしマケてくれない?」
八百屋「しょうがないなぁ・・・。じゃぁ、半額でいいよ」
カイ「お?本当ですか?」
さくら「まだまだ甘いっ!もう一声!」
八百屋「えぇ?んじゃぁ・・・、1籠100円でどうだ!」
カイ「や、安いですね・・・」
さくら「う〜ん・・・。もう一声!!」
八百屋「これ以上安くしたら、破綻しちゃうよ」
さくら「ねぇ、おじさん・・・。確かこないだ援助交際やってなかった?」
八百屋「う・・・」
さくら「あたしの友達の知り合いが盗撮が趣味でさぁ・・・、偶然撮っちゃったらしいんだよね」
カイ「あぁ・・・彼ですか・・・」
さくら「確か、コレだったよね」
さくらは写真を出した。
さくら「1籠5円にしてくれたら、この写真はネガごと捨てといてあげるよ」
八百屋「5円は流石に・・・・」
さくら「いいんだね?じゃぁ、奥さんに見せちゃお!」



八百屋「ひぃぃっ!」
さくら「おっくさ〜ん!」
八百屋「わ・・・解った解った!1籠2円でいいから、女房には黙っててくれ・・・」
さくら「はい、買ったぁ〜!!」
カイ「(す・・・凄い・・・)」
2人は50円で野菜果物を山程買い、八百屋を後にした。

カイ「まさか、たったの50円でこれだけの野菜と果物が手に入るとは・・・・」
さくら「この調子でお肉にお魚にお米を買っていけば、1000円で1週間は食べられるでしょ」
そして、1000円でもの凄い量の食材を手に入れた2人だった。
さくら「こんなにあるんなら、お兄ちゃんも連れてくればよかったね」
カイ「流石に2人では大変でしたからね」
さくら「どう?この値切り作戦は?」
カイ「以後、困った時は使わせて頂きます」
時間は午後6時半を回っていた。
さくら「もうこんな時間だ・・・。あ、そうだ!何か作ってあげよっか」
カイ「悪いですね、ここまでさせちゃって」
さくら「気にしない気にしない!困った時はお互い様でしょ」
カイ「あすかさんはいいんですか?」
さくら「ちょっと、電話してくるね」

さくらはあすかの携帯に電話を掛けた。
プププーププ〜プルルル〜
あすか『もしもし、さくら?どうかしたの?』
さくら「今日、このまま魁斗くん宅で夕飯食べていくから、今日は1人で宜しく」
あすか『うん、判った。早く帰ってきなよ』
さくら「は〜い」
ピッ!
さくらは電話を切った。
さくら「OKだってさ」
カイ「それはよかったですね」
さくら「んじゃ、とりあえず今日は暑かったし、さっぱり味の雑炊と魚の塩焼きに軽い煮物とサラダと味噌汁でいいかな」
カイ「お?丁度今食べたかったメニューですねぇ」
さくら「んじゃ、今作るから待っててね」



トントントントントン・・・
さくらは台所で料理を始めた。カイはそれを近くで見守っている。
カイ「お?随分と慣れた手つきですね」
さくら「あたし、お姉ちゃんと2人で暮らしてるでしょ」
カイ「えぇ、そういえば言ってましたね」
さくら「お姉ちゃんって筋金入りの不器用でさ、料理とかさっぱり駄目なんだよね」
カイ「なるほど、だから普段からやり込んでいるという訳ですか」
さくら「ま、そういう事かなぁ・・・」
カイはさくらの手際の良さに関心を持っていた。
カイ「いやぁ、勉強になりますね」
さくら「そう?」
カイ「僕も普段は自炊ですけど、ここでこう来るとは・・・」
さくら「まぁ、料理は手際の良さだからね」
カイ「そうだ、何か手伝いますよ」
さくら「本当?助かるよ。んじゃぁお醤油取ってくれる?」
カイ「はい」
カイとさくらはまるで仲良く料理を楽しむ新婚夫婦の様に見える感じだった。

そして、見栄え良く料理が完成した。
さくら「はい、完成です!」
カイ「これは美味しそうですねぇ」
2人「いただきま〜す!」
ズズッ・・・。
カイは味噌汁を軽く啜った。
カイ「お!素晴らしいです。あの場面で鰹節を入れる事でこの様な味が出せるんですね」
さくら「有難う。魁斗くんって結構勉強家だよね」
カイ「そして、この魚の焼き具合もいい感じに香ばしく出来ていて、魚の旨味をしっかり引き出してますね」
さくら「気温に応じて焼き時間を変える事により、その日その日に丁度いい焼き具合を調節してるんだ」
カイ「そして、この雑炊!暑い夏の食欲をそそります」
さくら「暑い時はさっぱりとした物食べたいからね」
2人は食事を満喫していた。

その頃の河原家。
リョウ「よぅ・・・」
あおい「・・・リョウ・・・。あたしの事、聞いちゃったんだね」
リョウ「あぁ・・・。あおいが総長で、会長が風紀委員長だったんだってな」
あおい「う・・・うん・・・。これがその時の写真」
あおいは写真を差し出した。
リョウ「こ、これがあおいか?」
写真のあおいは髪が肩より少し下まで伸びていた。
リョウ「昔はこんなに長かったんだ・・・」
あおい「そうなんだ・・・。本当はね、髪伸ばさないのは鬱陶しいからだっての嘘なんだよね」
リョウ「この時の自分を消去したかったから・・・か」
あおい「そういう事・・・。カイくんがいなかったら、今のあたしはなかっただろうなぁ・・・」
リョウが話題を変える。
リョウ「ところでよぅ・・・、気になってた事があるんだ・・・」
あおい「何かあまり聞きたくない事に思えるんだけど・・・」
リョウ「カイがあの事件で美雪ちゃんとあおいにトラウマが出来たって言ってたじゃんか」
あおい「あぁ、その事ね・・・」
リョウ「美雪ちゃんは男性恐怖症の事だと解るんだけど、お前のトラウマって何?」
あおいは腕を組んで、数歩引いた。


あおい「う・・・。絶対教えないっ!あたしの弱みになるから!」
リョウ「・・・そうか、嫌なら言わなくていいよ。聞いた話だと相当な目に遭ったみたいだしな」
あおい「ほえ?聞きたくないの?聞かなくていいの?」
リョウ「聞かせたいのかよ!!」
結局、あおいの弱点はリョウには完全にバレる事はなかった。

そして、カイの部屋。
カイ「ごちそうさまでした」
さくら「お粗末さまでした」
カイ「いやぁ、久々に美味しい物を頂きましたよ」
さくら「ふふ・・・。ありがと〜」
カイ「じゃ、片付けますか」
さくら「うん!2人でね」
食器を置き、カイはさくらを見つめて、
カイ「さくらさん・・・」
さくら「はい」
カイ「また、作りに来てくれますか?」
さくらはもじもじしながら、
さくら「・・・・はい、喜んで。寧ろ、あたしからお願いしようと思ってたくらいだよ」
カイ「・・・有難う御座います」
2人は接吻を交わしたのだった・・・。



・・・・数時間後・・・。
あすか「あ〜!!おっそ〜いっ!!」
朝帰りをする事になるとはあすかも思ってはいなかった・・・。


[PR]bVヤ震炸賞歡:KIIPGET