風紀18:柔道家の代理
堀塚「うぅ・・・先輩!」
田村「掘塚・・、俺はもう駄目だ・・・。代理を頼む・・・」
バタッ!
堀塚「せんぱぁぁぁぁぁあああああいっ!!!」

風紀18:柔道家の代理

10月上旬の平穏な風紀委員室・・・。
リョウ「衣替えかぁ・・・」
あおい「一般生徒は青いブレザーで生徒会は赤いブレザーなんだよ」
リョウ「本当に格が違うよな」 
ガラガラガラ・・・
堀塚「失礼しまッス!」
あすか「げっ!柔道部員!」
あおい「何か用?」
堀塚「是非、ウチの柔道部に要員を依頼したくて来ました!」
あすか「嫌よ!あたしは絶対出ないんだからね!」
堀塚「どうかお願いしまッス!田中先輩!!」
あすか「・・・た・・・田中?」
リョウ「そんな奴いたか?」
ゴリ「おいどんの本名でごわすよ!!」
リョウ「あぁ、悪ぃ・・・。ゴリってあだ名に慣れてて本名忘れてた」
ゴリ「失礼な輩でごわすなぁ・・・」
あすか「でも、何で急に要員が足らなくなったのよ?」
堀塚「練習試合の相手に叩きのめされて入院中なんス!」
ゴリ「解ったでごわす!おいどんが付き合うでごわす」
あおい「何か気になるなぁ・・・、あたしも付き合っていいかな?」
堀塚「構わないッス!」
あおい「リョウ、あんたも付き合いってね!」
リョウ「俺も!?」
あおい「カイくん、美雪ちゃん・・・。今日は任せるから、勝手に解散させてね」
カイ「はい、お任せを!」
ゴリ「あっ。お嬢、どうするでごわす?」
葉月「ええわ、ウチは1人で帰れるで」
ゴリ「まぁ、それなら問題ないでごわすな」
あおいとリョウとゴリは堀塚に連れられ闘技場へ向かった。

闘技場・・・。
あおい「部員これしかいないの?」
部員は軟弱そうな1年生3人と副主将の堀塚の4人しかいなかった。
ゴリ「4人じゃ団体戦は出来ないでごわすからなぁ・・・」
リョウ「それで部員の代理としてゴリを借りに来たって訳だな・・・」
堀塚「そういう事になるッスね」
リョウ「でも、練習試合とはいえ勝つには最低3人は勝たないとならないんだろ?」
あおい「ゴリと堀塚君には勝ってもらうとして、あと1人は最低強くなくちゃまずいよね」
堀塚「いや、別に無理に勝たなくても・・・」
あおい「弱腰はいけないよ!勝つ気で挑まなくちゃ!」
リョウ「勝負ってのは、勝ち負けより互いが全力を出し切れる事が大事なんだ。負けてもいいから全力でぶつかるのが大切なのさ・・・」
堀塚「か・・・神崎先輩・・・」
あおい「あんた珍しくいい事言うじゃん!」
リョウ「いや、いい事というか・・・自分の意見を率直に述べただけなんだが・・・」
あおい「という事だから、こいつ投げられ役として練習台に使っていいからね!」
リョウ「おい!」
堀塚「本当に感謝します!神崎先輩!」
リョウ「やられ役にされて感謝されてもなぁ・・・」
あおい「という、訳で早速!」
ガシッ!
リョウ「おい?」
あおい「地獄車ぁ〜!」
リョウ「ぎゃぁぁぁあああっ!」
あおいはリョウに地獄車を仕掛けた。
ドサ!
リョウ「いっててぇ・・・。いきなりソレはないだろ!」
あおい「ほら、この通り丈夫だから安心してね!」
リョウ「人の話聞けコラ!」
あおい「ゴリ相手じゃ重いだろうけど、リョウなら問題ないでしょ」
堀塚「そうですね!心より感謝します、神崎先輩!」
リョウ「人の話を聞けぇ!!」

数時間後・・・。
堀塚「それでは今日はこの辺にしときますか」
ゴリ「そうでごわすね」
堀塚「おい、細野!柔道着洗っておけよ!」
細野「はい!先輩」
あおい「リョウ、帰るよ」
リョウ「あぁ・・・」
闘技場を去った。

帰り道・・・。


リョウ「いててぇ・・・。やられ役なんかで俺を呼ぶんじゃねぇよ!」
あおい「いいじゃん!丈夫なんだから!」
リョウ「ったく・・・」
あおい「リョウ、あんたあの1年生達どうだった?」
リョウ「そうだなぁ・・・、いい意味で力がない・・・ってトコかな」
あおい「あたしの前なんだから、遠慮はいいって」
リョウ「特に、あの細野とかいう奴はイカンだろな・・・」
あおい「あぁ・・・体系も細くて柔道向きじゃないからね」
リョウ「何か顔色悪いし、やつれてる・・・」
あおい「そういや、彼だけだったよね?あんたを持ち上げる事すら出来なかったの」
リョウ「そうだな」
あおい「よし!決めた!!あたし達であの子を鍛えよう!」
リョウ「マジかよ・・・」
あおい「あたしは全体的に不利そうな人こそ頑張らせたいんだよ!」
リョウ「本当に苦労人だよなぁ・・・」
あおい「ところで、ゴリは?」
リョウ「堀塚に頼まれて、柔道の特訓に付き合ってるんだとよ」
あおい「まぁ、柔道の投げのスペシャリストだけはあるよね」

そんな会話をしているウチに家に着いた。
ガチャ!
あおい「ただいま〜」
あおいは居候の部屋を開けた。



葉月「なるほど〜・・・」
豪醐「そして、この意味はだなぁ・・・」
リョウ「何してんだ?」
葉月「あぁ〜、帰ってたんかいな」
あおい「勉強?」
葉月「そうやで、豪醐兄ちゃんって意外と古文・現国が得意らしくてな。教えてもろうてたんや」
あおい「いいんじゃないの。あたしもリョウも理系だし・・・」
リョウ「物理で悩んだらカイに聞けよな」
あおい「あんたは何も出来ないんだねぇ・・・」
リョウ「微分積分とか得意だぜ・・・」
あおい「葉月ちゃんはまだ1年生なんだけどなぁ・・・」
リョウ「ぬぅ・・・」
あおい「あんた、数列とか苦手だとか言ってなかった?」
リョウ「ごめんなさい・・・俺には何も教えられません・・・」
葉月「リョウはん黙ってもうたなぁ・・・」
あおい「いいんじゃないの。静かに勉強出来るでしょ」
葉月「そいや、ゴリはどないしたん?」
リョウ「もう少し、練習に付き合うってさ」
葉月「・・・・そか。まぁ、人員が少ないんやからしゃぁないわな」
リョウ「珍しく、控えめなセリフだな・・・」
葉月「ウチは別にゴリがいなくても豪醐兄ちゃんがいるから問題あらへんからな」
豪醐「・・・・フ・・・・」

翌日、放課後。
風紀委員室。
リョウ「ところでよぅ、他の2人のやられ役どうするんだ?」
あおい「ほえ?」
リョウ「誤魔化してるんじゃねぇ!俺が1人に付くならもう1人必要だろが」
あおい「あぁ・・・。・・・・どうしよっかぁ・・・」
リョウ「気付け!」
あおい「まいったなぁ・・・」
ガラガラガラ・・・
カイとさくらが入ってきた。
カイ「あ、あおいさん。ちょうどいい所に」
あおい「どうしたの?」
さくら「何かピンクのYシャツ着てて、偉そうで弱い男捕まえた」
零「弱いは余計だ!」
カイ「こういう生徒には何をするんでしたっけ・・・?」
あおい「えっと、服装違反だからなぁ・・・。とりあえず、校内全ての廊下ワックス掛けだったよね?」
零「出来るか!んな事・・・」
リョウ「・・・・なぁ、あおい」
あおい「ん?」
リョウ「こいつ使えないか?」
あおい「へ?・・・・あぁぁっ!いいじゃん!」
零「んだ?」
あおい「今日の所は許してあげるから、代わりにちょっと付き合ってもらえる?」

あおいとリョウはピンクの男を連れて闘技場にやってきた。
あおい「やっほ、調子はどう?」



ゴリ「あおいどん!堀塚どんとやると楽しくて仕方ないでごわすよ」
堀塚「でも、田中先輩の強さには叶いませんよ」
あおい「へぇ、調子いいんだ!」
ゴリ「ところで、そこのピンクな男は誰でごわす?」
あおい「あぁ、あたしとリョウが細野くんにワンツーマンやろうかと思ってね」
ゴリ「細野どんでごわすか?あのパシリの」
あおい「パシリって言わないの!今の状況だと非力な1年生だって充分の戦力でしょ!」
ゴリ「あおいどんらしい考えでごわすな」
リョウ「それで、こいつの出番って訳だ」
零「俺様の華麗な出番か?」
リョウ「あぁ、華麗な投げられ役な」
零「あぁ?」
あおいとリョウは至近距離でピンクの男を怖い顔で睨んだ。



リョウ「この学校全部の廊下の水拭きしたいのか?綺麗好きだなぁ・・・」
あおい「監視しながら、遅かったら竹刀で引っ叩こうと思ってたんだけどなぁ・・・」
零「や・・・やります。喜んでやります。是非ともやらせて下さい!」
あおい「よしっ!」
リョウ「(あおいの言い方はちょっと怖いぞ・・・)」

という訳で、あおいとリョウの細野強化が始まった。
細野「何でおれなんですか?他の2人の方が使えるのに・・・」
リョウ「あぁ、こいつ逆に他人から使えないと思われてる奴を使える奴に見える様にやるってのが好きでさ」
細野「え?」
リョウ「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギスだったかな・・・」
あおい「あたしは豊臣秀吉ですか!」
リョウ「まぁ、いいさ。とりあえず、投げてみなよ」
細野「はいっ!」
ガシッ!
細野「うぉぉぉおおおおおおおおおっ!!!」
細野は顔を真っ赤にしているがリョウが持ち上がらない。
ベチャ!
細野はリョウに押し倒された。
細野「くぅぅ・・・」
リョウ「おいおい、大丈夫か?」
細野「何でおれだけ出来ないんだ・・・」
リョウ「筋力がないんじゃないか?」
細野「う・・・。確かに握力も腕力も部員で一番下です・・・」
リョウ「でも、今から体力作りしても間に合わないよなぁ・・・」
あおい「だったら、寝技に挑戦したら?」
細野「寝技ですか?ウチの部員みんな使わない技なんですよね・・・」
リョウ「ゴリも『掴んで投げる!シンプル且つ最高の戦術でごわすっ!』とか言ってたっけな」
あおい「そういや、葉月ちゃんもゴリは寝技仕掛けるのはあまり得意じゃないとか言ってたよ」
リョウ「どうすっか・・・」
あおい「仕方ない・・・、リョウには引き続きやられ役になって貰って、あたしが指導するよ」
こうして、あおいの指導の元、細野の特訓は始まったのである。

リョウが軽い寝技を仕掛けている。
あおい「そして、ここで左足でここを押してみて」
細野「こうですか?」
ぐいっ!
リョウ「あいでででででででっ!」
あおい「ついでに、この部分を空いてる右手で軽く引っ張ってみて」
細野「こう・・・ですか?」
ぐいっ!
リョウ「ぐぉぉおおおおっ!」
あおい「あとは勢いを付けてひっくり返せば・・・」
細野「こんな感じですか?」
くるっ!
リョウ「ぬおっ!?」
あおい「あと、トドメにここを押さえておけば、そう簡単には身動き出来ないよ」
細野「ここですか?」
リョウ「は・・・外せない・・・」
あおい「はい、そこまで」
細野「ふぅ・・・」
細野はリョウの上を退いた。
あおい「どう?寝技は?」
細野「これならそんなに力が無くてもそこそこはイケますね」
リョウ「そ・・・そうだな・・・。かなり、痛かったぜ」
細野「大丈夫ですか?神崎先輩」
あおい「丈夫だから、気にしないでバンバンやろうね」
細野「はいっ!」
リョウ「ぬぅ・・・」

こうして、本番がやってきた。
鬼石大自然高校闘技場。あおいとリョウも応援で駆け付けていた。
審判「これより、鬼石大自然高校と華水神高校の練習試合を始めます!それでは、先鋒両者前へ」
そして、細野の戦いは始まった。
審判「始めっ!」
男A「こんな細い奴なんか、相手にならねぇぜ!3秒で片付けてやらぁ」
細野「・・・・・」
あおい「(それはどうかな?)」
細野「うぉぉぉぉおおおおおっ!!」
男A「何っ!?」
細野はいきなり突っ込んでいき、自分のペースで寝技を仕掛け押さえ込んだ。
男A「しゃらくせぇ!こんな奴なんか一振りで・・・何!?」
男は身動きが取れなかった。
男A「何でだ?何で解けない!?」
そして、時間が経過し、
審判「一本!そこまで!!」
細野「や・・・やったぁ!!おれやれたんだぁ!!!」
細野は勝利を収めた。

その頃、河原家では・・・。
葉月「しっかし、ゴリもいなければ豪醐兄ちゃんもリョウはんもあおい姉ちゃんもおらん・・・静かやなぁ」
葉月は豪醐のアルバムを発見する。
葉月「豪醐兄ちゃんのアルバムかぁ・・・。そうや、折角やから妹さんの顔でも見てみるか」
葉月はアルバムを捲った。
葉月「ほうほう・・・似てないくらいやなぁ・・・。・・・・ん?」
葉月はある物を発見した。
葉月「こ・・・こいつは!?銀髪!?・・・・下に名前が書いてある・・・。な・・・何やて!?」
葉月は意外にも朱雀の正体を知ったのだった。



葉月「そうか、こいつだったんや・・・。全ての謎が解けた・・・」
???「そうか・・・遂に解いてしまったんだな?」
葉月「!?だ・・・誰や!?」
朱雀「よぅ、貴様がまさかこの俺の正体を暴くとはな・・・」
葉月「あ・・・あんた!?何処から入ってきたんや!?河原の両親は!?」
朱雀「あの2人には少し眠って貰った・・・」
葉月「でも、何でや!?何でウチの事が・・・」
朱雀「貴様は知らんだろうがな、この部屋に俺が監視カメラを設置したのだ」
葉月「カメラやて?そんなもん何処にもあらへんやん!」
朱雀「盗撮用の小型だ、何処にでも隠せる代物だ」
葉月「つまり、ウチの行動はお見通しだったつー訳やな?」
朱雀「勿論。貴様が来た時から目を付けていた」
葉月「何て事や・・・」
朱雀「こんな時に護衛が鬼石で柔道の試合をやってちゃ、丸腰だよな?」
葉月「フン、ゴリなんかいなくてもウチ1人で充分や!あんたごとき相手にならへんわ!」
朱雀「それは、どうかな?」
葉月「な!?」
びしっ!
朱雀は葉月にサマーソルトを喰らわした。
葉月「くっ!」
げしっ!パリィ〜ン!
朱雀は更に裏拳で追い討ちを仕掛け、葉月の身体で窓ガラスを突き破り下に落とした。
葉月「ちぃっ!!幽霊召喚っ!」
葉月はとっさに出した適当な霊を使い、地面に無事着地した。
朱雀「そうだ、そうでなくては面白くない!」
朱雀も外に出た。
葉月「ふ・・・、引っかかったな!今や!!」
葉月は周りの霊を朱雀に仕向けた。
朱雀「な・・・何っ!?」
ドゴ〜ン!
葉月「陰陽師を舐めんなや!」
朱雀「フ・・・フフフフフ・・・」
葉月「な・・何やて!?」
朱雀は傷一つすら負っていなかった。
葉月「何でや!?」
朱雀「ふ・・・、これが何だか解るかな?」
葉月「何や!?その刀は?」
朱雀の持っていた刀から炎が湧き出していた。
朱雀「朱雀刀、古来より受け継がれし炎の刀・・・」
葉月「恐ろしい相手や・・・」
朱雀「どうだ?諦めたか?」
葉月「人間には仕掛けたないが、しゃぁない!」
葉月はポケットから数珠を出した。
葉月「禁断奥義!風穴ぁっ!!」
ぎゅぉぉぉおおおおっ!!!
葉月の数珠の輪から強力な引力が働いた。
朱雀「な・・・何て吸引力だ!?」
葉月「どうや?これで勝ち目はないやろ?」
朱雀「ふ・・・バカが・・・」
葉月「な!?」
朱雀は吸引力を利用して葉月に突っ込んでいった。
ザシュ!
葉月「うぁっ!」
葉月は左足の太ももを斬られた。
葉月「ぐっ・・・」
朱雀「意外と頭もいいんだな・・・、とっさにあの勢いの攻撃をかわすとはな・・・」
葉月「・・・・」
朱雀「致命傷は免れたが、それではまともに歩けまい・・・」



葉月「う・・・」
朱雀「貴様はこれで終わりだ・・・死ねぇぇぇぇぇいっ!!」
葉月「いややぁぁぁぁぁあああああああああああっ!!!」