河原家、あおいの部屋。
あおい「ゲホゲホゲホ・・・」
あおい母「39.8℃・・・。高熱ね」
リョウ「あおいの熱下がらないんですか?」
あおい母「えぇ、寧ろ昨日より上がってる・・・」
あおい「ぬかったなぁ・・・。あたしとした事が風邪なんてひくなんて・・・」
リョウ「とりあえず、そんな高熱じゃ危険だ。今日は大人しく寝てろよ」
あおい「でも、今日は生徒会関連の会議とかあるし・・・」
リョウ「カイには俺から言っておくから大丈夫だ!それに、カイに足りない部分は俺も手助けするからよ」
あおい「・・・そうだね、カイくんがいればとりあえず・・・」
リョウ「ま、そういう事だ。今日はゆっくり休め」
あおい「あ〜あ・・・皆勤賞が・・・」
リョウ「あおい、もっと自分の身体は大事にしろよ・・・」
あおい母「えらい!流石はリョウくん!あおいの大切な人だけはあるわ!」
リョウ「え?」
あおい「か、母さん!?・・・・ゲホゲホゲホ・・・」
リョウ「・・・ま、まぁ・・・無理はするなよ」
風紀33:不安定な風紀委員会
【回想】
それは、昨日の事・・・。学校帰り・・・。柳沢橋を歩いている2人。
リョウ「そういや、大学受かったんだってな?」
あおい「まぁ、普段の積み重ねだよ。推薦で受かる程楽なものはないからね」
リョウ「ちぇ・・・」
あおい「あんた、一般試験で狙うんでしょ?今度勉強見てあげようか?」
リョウ「そうだなぁ・・・。英語とか苦手だからよろしく頼むわ」
あおい「はいよ、引き受けた。ま、後でそれなりの報酬は頂くけどね」
リョウ「金取るのかよ?」
その時だった。
女の子「ユウくん!!誰か、ユウくんを助けてあげて〜!!」
リョウ「おい、あそこ!子供が流されてるぞ!」
あおい「リョウ!カバンと上着をお願い!」
あおいはカバンと上着をリョウに預けた。
リョウ「おい、どうする気だ!?」
あおい「あの子を助けるに決まってるでしょ!」
あおいは咄嗟に橋の上から飛び込んだ。
ドボン!
リョウ「あおい!!」
バシャバシャバシャ!
あおいは泳いで何とか溺れた男の子に追いついた。
あおい「大丈夫?・・・気を失ってるか・・・。ん?」
子犬「く〜ん・・・」
あおい「そっか、捨て犬を助けようと・・・。昨日の雨で氾濫して流されたんだね」
子犬「く〜ん・・・」
あおい「大丈夫、今すぐ助けるから・・・」
あおいは子犬と男の子を共に陸に上げた。
あおい「ふぅ・・・、水は飲んでないみたいだね・・・」
そこに助けを求めていた女の子が駆け寄ってきた。
女の子「ユウくん!」
あおい「大丈夫だよ、気を失ってるだけだから・・・。しばらくしたら、目を覚ますと思うよ」
女の子「ありがとう!お姉ちゃん!」
そこにあおいの荷物を持ったリョウが来た。
リョウ「あおい、無事だったか!?」
あおい「リョウ、あたしのカバンにタオルあったよね?」
リョウ「あ、ああ・・・」
あおい「このままだと、この子が風邪ひいちゃうから出してくれる?」
リョウ「お、おう」
リョウはあおいのカバンからタオルを取り出し、男の子の体に巻きつけた。
リョウ「でもよ、お前はいいのか?」
あおい「大丈夫、帰るウチには乾くよ。空気乾燥してるんだしね」
リョウ「でもよぅ、今11月だぞ?寒くないのか?」
あおい「平気平気!それより、この子を家まで運ぼ。お嬢ちゃん、案内してくれるかな?」
女の子「うん、いいよ」
あおいは男の子をリョウは荷物を女の子は犬を抱えて、男の子の家に向かった。
そして、
女の子「ここだよ」
リョウ「何だ、ウチの近所じゃねぇか」
あおい「ん?隣の家と結構距離が近いんだね?」
女の子「あ〜、隣はあたしの家なの。あたしでもベランダから行き来出来るんだよ」
リョウ「それよかさ、その子をウチの人に受け渡した方がいいんじゃねぇ?」
あおい「あ、そうだったね」
女の子は呼び鈴を鳴らした。
ピンポ〜ン
男の子の母「は〜い」
女の子「おばさん!」
男の子の母「あら、美香ちゃんじゃない。どうしたの?」
女の子「ユウくんが・・・」
男の子の母「あら?貴方達は?」
あおい「この子のお母さんですね?」
男の子の母「まぁ、裕太!いったい何があったの!?」
あおい「そこの烏丸川で流された捨てられたこの子犬を助けようとして、溺れていたんです」
女の子「それをこのお姉ちゃんが助けてくれたの」
男の子の母「まぁ、それはそれは・・・。どうも有難う・・・。・・・あら?ところで貴女?」
あおい「はい?」
男の子の母「確か何処かで見た様な・・・」
あおい「あぁ、あたし近所の河原です」
男の子の母「あ〜、近所の子だったの。道理で見た事がある訳ね」
あおい「じゃ、あたし達は帰りますね」
男の子の母「河原さん、今度何かお礼させて下さいね」
あおい「いえいえ、そんな大した事はしてませんから・・・、あはははは・・・」
男の子を母親に預けて、あおいとリョウと女の子は家を出た。
あおい「えっと、君の家は隣だったよね?」
女の子「うん!」
あおい「じゃ、あたし帰るから、元気でね」
女の子「お姉ちゃん!」
あおい「ん?どうしたの?」
女の子「あたしもお姉ちゃんみたいになれるかな?」
あおい「あ、あたしみたいに?」
リョウ「あおいなんかよりもっといい女なら一杯いるだろ?」
あおい「リョウ?喧嘩売ってる?」
あおいはリョウを軽く睨んだ。
リョウ「いやいやいや・・・」
あおい「でも、君なら大きくなったら、あたしよりもずっと綺麗になれると思うよ」
女の子「そっかな・・・?」
あおい「大きくなったら、また会えるといいね」
女の子「うん!」
あおい「じゃ、あの男の子によろしく」
リョウ「犬の世話頑張れよ」
女の子「うん!ばいばい!」
あおいとリョウは女の子と別れた。
角を曲がった辺りだった。
あおい「ふぅ・・・」
リョウ「おい、どうかしたか?」
あおい「ん?何で・・・もない・・・」
あおいはリョウの胸元に倒れこんだ。
リョウ「おい!しっかりしろ!」
リョウはあおいの額を触れた。
リョウ「げっ!凄い熱じゃねぇか!」
あおい「そ、そんな・・・・事ない・・・よ」
リョウ「いいから、俺に捕まれ!ったく、11月だってのに川に飛び込むから・・・」
そこに、
豪醐「む!?リョウ、どうした?」
リョウ「ゴウか!丁度よかった、手を貸してくれ!あおいが高熱で倒れたんだ!」
豪醐「何だと!?」
あおい「こらぁ・・・あたしは・・・生きてるよ」
豪醐「よし、あおい義姉さんは俺に任せろ!お前は荷物を頼む!」
リョウ「おう!」
リョウと豪醐はあおいを中へ運んだ。
豪醐「ただいま戻りました!」
あおい母「あら、おかえりなさい。・・・?あおい、どうかしたの?」
あおい「あ、母さん・・・。何でも・・・」
リョウ「おばさん!こいつの着替えお願いします!」
あおい母「リョウくん?何があったの?」
リョウ「こいつ、11月だってのに、川に飛び込んで、熱に魘されて・・・」
あおい「こらぁ、勝手に省略すんな〜」
リョウと豪醐はあおいを部屋まで運び、着替えは母親に任せた。
【回想終了】
学校、教室にて・・・。
カイ「リョウ!さくらさんから聞きましたよ!?あおいさん大丈夫なんですか!?」
リョウ「ただの風邪だ、大した事はないさ」
カイ「昨日、1人で寒中水泳をしてたら風邪ひいたと聞いたので・・・」
リョウ「そうそう、こんな寒い中によくもまぁ・・・って、おい!」
カイ「あれ?違うのですか?」
リョウ「どう間違ってそう伝わったんだ?」
カイ「え?」
リョウ「溺れたガキ助ける為に飛び込んだんだよ」
カイ「何だ、そうでしたか。それは名誉な事ですね」
リョウ「それより、今日はあおいがいないんだから、風紀委員長の仕事は頼むぞ、カイ」
カイ「はぁ〜・・・」
リョウ「おい、ため息つくなよ。不安になるだろ」
カイ「いえ、もう先行き不安ですよ」
リョウ「おいおい、1ヶ月前は何とかやったんだろ?」
カイ「それでもね、あおいさんがいないのは色々と痛手なんですよ」
リョウ「そんなに痛手か?」
カイ「最悪、あおいさんは存在しているだけで仕事がこなせている様な方ですから・・・」
リョウ「存在だけでか!?」
カイ「えぇ、彼女がいるからこそ、風紀が安定していると言ってもいいくらいですから・・・」
リョウ「そんなに凄かったんだ・・・」
カイ「あのあおいさんがいない2週間は影で何があったか想像するだけで恐ろしい・・・」
リョウ「大袈裟だなぁ・・・。まぁ、いいや。昼休み、風紀委員室で落ち合おうぜ」
カイ「えぇ」
そう言って、リョウは席に着いた。
昼休み・・・。風紀委員室、リョウとカイが昼食をとっている。
美雪「神崎先輩!」
リョウ「ん?どうした、美雪ちゃん」
美雪「河原先輩、川で溺れて風邪ひいて寝込んでるって本当ですか!?」
リョウ「そうそう、溺れちゃって・・・って、おい!」
美雪「え?違うんですか?」
リョウ「溺れてないから!あおいは溺れた子供を助けに飛び込んだの!」
美雪「あら、そうだったんですか・・・。紅蓮くんがそう言っていたのでつい・・・」
カイ「やれやれ、随分と面白い伝言ゲームになってますね、リョウ」
リョウ「いや、笑い事じゃねぇから!訂正していく身になれよ」
カイ「今度、まなみさんとかあすかさんが来たら何て言うか楽しみですね・・・」
リョウ「いや、逆にどう間違って伝わってるか、想像するだけで怖いから!」
そこに、
ガラー!
誠也「か、河原先輩!!」
まなみ「うわ〜ん!あおいちゃ〜ん!」
誠也とまなみが入ってきた。
リョウ「あおいならいないぞ」
誠也「あ〜、やっぱりだぁ・・・」
まなみ「あたし、ウソだと思ってたのに・・・」
美雪「どうしたの?2人とも」
誠也「いや、はづの奴が河原先輩が川から落ちて死んだって言うから・・・・」
まなみ「リョウちん、お通夜いつなの?」
リョウ「えっと、確か・・・って、待て待て待てぇ!!」
まなみ「ほえ?」
リョウ「どう間違ったら、風邪が死まで発展するんだよ!」
カイ「流石にそこまで行くと笑えませんね・・・」
美雪「えぇ・・・」
リョウ「ったく、はづ坊の所為で顔向けしずらくなったぜ」
カイ「いえいえ、問題はそっちじゃないでしょう」
リョウ「あぁ、そうだったな・・・」
美雪「河原先輩が死んだなんて誤解受けてたら、不良生徒達がどう動くか・・・」
まなみ「あ〜、手に負えなくなっちゃうね〜」
誠也「ひぇぇ・・・どうしましょう・・・」
リョウ「そうだなぁ・・・、とりあえず誠也」
誠也「何ですか?暴力事件は勘弁ですよ〜」
リョウ「そんなんじゃないよ、多分。お前はとにかく、はづ坊の奴を止めろ」
誠也「何ではづなんですか?他はいいんですか?」
リョウ「理由はどうあれ、風邪になってるから1024歩譲ってよしとしてもだ、流石に死んだと間違って言いふらされたら・・・」
誠也「そ、そうですね」
リョウ「カイ!放課後臨時召集掛けるぞ!あおいの分を他の連中で補わなくちゃならないからな!」
カイ「そうですね、僕もそれに賛成です」
リョウ「いいか!あおいがいないからって、風紀委員を舐められない様にするぞ!」
美雪「そうですよ、河原先輩だけのワンマン委員会じゃないって所を見せないと!」
誠也「1人1人の力は小さくても河原先輩1人分には匹敵するでしょうし!」
リョウ「よし、決まりだな!」
美雪「何だか、今の神崎先輩・・・、まるで河原先輩の魂が乗り移った様ですね」
リョウ「え?そ、そっかなぁ・・・?」
カイ「何なら、君が委員長代理やりますか?」
リョウ「おいおい、冗談はよしてくれよ、カイ。委員長代理は副委員長の役目だろ〜」
気づいていれば、リョウが仕切っている風紀委員会であった。
その頃のあおいは・・・。
あおい「はぁ〜・・・、このあたしともあろう者が風邪でダウンしちゃうなんてなぁ・・・」
あおい母「あおい、お粥持ってきたよ」
あおい「あ〜、そこに置いておいて」
あおいは昼食の粥を受け取った。
あおい「ふぅ・・・、1人ってこんなに静かな物だったんだなぁ・・・。それに何か退屈だし・・・」
あおいは寂しそうに粥を食べていた。
放課後、中庭。
不良生徒C「へへへ、今日はあの女がいねぇんだ。好き勝手やってやるぜ!」
不良生徒D「そういう事なんでな!オラ、金出せや!」
男子生徒A「ひぃぃっ!」
リョウ「やめろ!」
不良生徒C「お、お前は!?風紀委員会の・・・?」
リョウ「河原あおいがいないからって、恐喝したい放題だなんてなぁ、大間違いだぜ!」
不良生徒D「んだとコラ!!」
リョウ「やろうってのか?俺が相手になるぜ、来な」
不良生徒C「しゃらくせぇぇっ!!」
バキ!ドカ!
結局この不良はリョウに秒殺されてしまった。
風紀委員室では・・・、
楓「それにしても、神崎さん頑張ってますね」
紅蓮「何か、あおい姉がいないからって、舐められない様に必死らしいよ」
楓「そういえば、風邪で寝込んでるんですよね?」
紅蓮「らしくないけどね、何とかは風邪をひかないというか・・・」
楓「ひどい言い方やなぁ・・・。ウチ、河原さんをいじめる人許せないです!」
楓は短刀を突き付けた。
紅蓮「お、おいおい・・・・。ん?」
楓「何ですか?」
紅蓮「君のその短刀の構え方、前に見た事ある様な・・・」
楓「え?兄に教わった持ち方ですけど?素早さが磨けるんですよね」
紅蓮「兄?そういえば、京都で会ったあの男もこの構え方だったなぁ・・・」
楓「可笑しくはないと思いますね。こういう持ち方の人は忍者なら結構いますし・・・」
紅蓮「へぇ、確かにあいつは素早かったなぁ・・・。逃げるのでやっとだった・・・」
楓「あいつって?」
紅蓮「あぁ、言わなかったっけ?確か焔豹牙っていうアサシンで・・・」
楓「へぇ・・・、焔豹・・・・ってちょっと!?」
紅蓮「ん?どうしたんだい?楓ちゃん」
楓「ぐ、紅蓮さん!!お兄ちゃんに会ったんですか!?」
紅蓮「お、お兄ちゃん!?」
楓「ウチの兄、焔豹牙ですよ!」
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