嘉藤邸・・・。
ここは、風紀委員2年の嘉藤美雪の自宅。かなり豪華な和風の家である・・・。
美雪「お父様、朝食の準備が出来ましたよ」
立派なちょびヒゲを生やした男が居間に入ってくる。
父「おはよう、美雪。いつもすまないな・・・」
美雪「フフ、お気になさらないで。これも娘として当然の仕事よ」
父「ハハハ、まったく・・・。いい子に育ったものだ・・・」
美雪「お母様が亡くなってからは、家事は私がやらないとなりませんからね」
父「母さんを病気で亡くしてからは、家事は全て美雪に任せっぱなしだからな・・・」
美雪「でも、その方が仕事に専念出来るではないですか・・・」
父「フフ・・・、まったくだ・・・」
・・・美雪は小学生の時に母親を亡くし、父親と2人暮らしをしている。
家事は既に得意分野と化しているのだ。
しかし、この後とんでもない事が起ころうとは思いもしないのだった・・・。
風紀37:殺人事件発生、犯人は紅蓮!?
今日も平和な放課後の華水神高校・・・。風紀委員室も退屈になっていた。
紅蓮「最近、平和だねぇ・・・」
リョウ「そんなに平和か?ゴリとあすかが連れ去られたってのに・・・」
紅蓮「う〜ん・・・、そういえばそんな事もあった様な・・・」
あおい「つい1週間前の事なんだけどなぁ・・・」
楓「そういえば、この所あおいさんが何も調べなくなりましたよね?」
リョウ「あ、そういやそうだな・・・。1週間前はパソコンと格闘してたのによぅ・・・」
あおい「気になるの?」
紅蓮「もしかして、この間のあのヤンキーギャルの件じゃないかな?」
リョウ「そうだ、あすかを浚った女を倒してから、何の調査もしなくなったな・・・」
楓「何か意味があるんですか?」
あおい「まぁね・・・。これ以上調べなくても、向こうから出向いて来る気がするんだよね・・・」
楓「まさか・・・、お兄ちゃんは・・・」
あおい「・・・多分、ゴリとあすかを誘拐した連中の一味だと思う・・・。だから、仕掛けてくるのを待ってみようと思うんだよね」
楓「・・・どうして、お兄ちゃんが・・・」
あおい「あとは、あたしの勘で奴らが狙っている人物を常に監視していれば、簡単に捕まえる事が出来るって作戦かな・・・」
紅蓮「おいおい、誰が狙われてるか、解ってるの!?あおい姉」
あおい「まぁ、勘だけどね・・・。それと、その焔豹牙って男・・・。まだ会ってないけど、多分強いだろうね・・・」
リョウ「おいおい、会ってもいないのにそんなの解るのかよ?」
あおい「推測だけど、楓ちゃんと紅蓮の話で想像はつくよ。(それと、左目の反応もね・・・)」
楓「そうですか・・・。どういう結果が出るか解らないけど、ウチはあおいさんに付いて行きます!」
あおい「有難う、楓ちゃん・・・」
紅蓮「楓ちゃん、本当に信頼してるんだな・・・。あおい姉の事・・・」
リョウ「少なくとも、風紀委員であおいを信頼出来ない奴なんていないよ。特にカイと美雪ちゃんは付き合いの関係上な・・・」
紅蓮「へぇ・・・」
あおい「あれ?」
あおいは何かに疑問に思った。
あおい「紅蓮、そういえば美雪ちゃんを今朝から見ないんだけど・・・」
紅蓮「・・・そういえば、休んでたなぁ・・・」
リョウ「風邪でもひいたか?」
紅蓮「美雪ちゃんに限って、川で寒中水泳して風邪を拗らせる真似なんてしないだろうしなぁ・・・」
あおい「何よ、その言いぐさは・・・」
その時だった・・・。
ガラー!!
ジン「あおい君!!」
あおい「げっ!」
ジンが血相抱えて入ってきた。
ジン「「げっ!」とは何だね・・・。失敬な・・・」
あおい「あ・・・ははは・・・」
あおいは笑って誤魔化す。
ジン「そんな事はどうでもいい・・・。それより、大変な事が起こった!私と校長室まで一緒に来てくれないだろうか!?」
あおい「校長室!?それはタダ事じゃないなぁ・・・。解りました、行きましょう!」
あおいはジンと一緒に風紀委員室を出て行き、校長室へ向かった。
紅蓮「あおい姉、何かやらかしたのかな?」
楓「どうだろう・・・、何かやりそうな人じゃないんだけどなぁ・・・」
リョウ「それより・・・。気にならないか?」
楓「え?」
リョウ「あのジンさんが直々にあおいの所に来るなんて・・・」
紅蓮「あ!そういえば・・・。いつもはあの使いの人が来てたよな?」
リョウ「絶対何かあるな・・・」
楓「学校の上層部の人間だけの他言無用と考えるべきなのかな・・・」
リョウ「・・・多分な・・・。無事に済ませてくれよ・・・あおい、ジンさん・・・」
という訳で、あおいはジンに連れられ、校長室へ来た。
ジン「失礼致します!」
あおい「失礼します」
校長「おぉ、来たか・・・。待っていたよ」
父「む!誰かと思えば・・・、あおい君じゃないか!」
校長と向き合ってソファーに座っていたのは美雪の父だった。
あおい「あ、貴方は・・・。美雪ちゃんの所のおじさん!!」
校長「おや?2人はお知り合いなのかね?」
ジン「彼女は嘉藤美雪君の中学時代からの先輩だ。顔見知りと思って連れてきてみたが、正解の様だ・・・」
校長「そうだったのか、それなら話が早いな。志村君、河原さん、君達もソファーに座ってくれたまえ」
ジン「うむ」
あおい「あ、はい・・・」
ジンとあおいは校長と美雪の父親に向き合って座った。
父「実は今日の昼に私の元にこんなものが届いたのだ」
美雪の父親はジンとあおいに手紙を見せた。
あおい「『嘉藤警視総監へ 貴様の娘は預かった。返して欲しくば1億用意しろ。他の警官には知らせるな!』・・・ですか・・・」
ジン「妙だな・・・。宛名がない・・・」
あおい「それに、取引現場も書いてない・・・。これじゃあ、お金だけ用意しても何もならない・・・」
父「そうなんだ・・・。これでは、娘を解放する方法がないんだ・・・」
その時!
ピロロロロロ!ピロロロロロロロ!
父「ぬっ!?」
美雪の父親の携帯が鳴り出した。
ピ!
父「私だ!」
誘拐犯『嘉藤警視総監ですか?貴方の1人娘を誘拐した者です』
父「き、貴様ぁ!!美雪に何をするつもりだ!!とっとと開放するんだ!!」
誘拐犯『まぁまぁ、そう慌てないで下さい・・・。貴方にこれから要求を言います。お金は用意出来てますね?』
父「1億ならしっかりと用意してある!それより、要求を早く言え!!」
誘拐犯『それでは、要求を言います。今夜7時、倉田町の大山製薬工場13番倉庫へ1億円を持って、来て下さい』
父「倉田町の大山製薬工場13番倉庫だな!?解った!!要求に従おう!!」
誘拐犯『おやおや、短気はいけませんなぁ・・・』
父「何!?」
誘拐犯『まだ、貴方への要求は終わってませんよ』
父「何だと!?」
誘拐犯『取引の相手は貴方ではありません。今から指定する人物を取引人として用意してもらいたい・・・』
父「誰を指定する気だ!?」
誘拐犯『貴方は今、華水神高校にいらっしゃる・・・』
父「!!」
誘拐犯『そこのこれから指定する生徒1人を取引相手として認めたい・・・』
父「せ、生徒だと!?」
誘拐犯『取引相手は「華水神高校2年、河原紅蓮」!!彼を取引相手として任命したい』
父「2年の河原紅蓮・・・」
誘拐犯『それでは、今夜を楽しみにしていますよ!ククククク・・・』
プッツン!プープープー
校長「嘉藤さん、今のは!?」
父「どうやら、誘拐犯が手紙に足りない部分を要求してきた。取引相手は河原紅蓮という生徒らしい・・・」
あおい「ぐ、紅蓮ですか!?」
あおいは驚いた。
父「ぬ!?あおい君、知り合いなのか!?」
あおい「知り合いも何も・・・。河原紅蓮はあたしの弟です・・・」
父「な、弟だと!?」
ジン「あおい君!大至急、彼を連れてくるのだ!!」
という訳で、あおいは校長室を出て行き、
5分後、あおいは紅蓮を連れて校長室に入った。
紅蓮「何だってぇぇぇええええ!?誘拐ぃぃいいいいっ!?」
あおい「バカ!声が高い!!」
紅蓮「あ、悪い・・・」
父「君があおい君の弟の紅蓮君だね!?」
美雪の父は紅蓮の腕を掴んだ。
父「どうしても、君を取引の相手に指定してきたんだ!私としても子供に行かせるのは大変不本意だが、止むを得ない!宜しく頼む!!」
紅蓮「は、はい・・・。俺にとっても大切な友達を失う訳にはいかない、是非協力します!」
あおい「(微妙に失礼な事言われてるのに、気付いてないし・・・)」
父「現地までは私が車で送る。そこから倉庫の中へは君1人で行く事になるが、大丈夫かね?」
紅蓮「はい!絶対、彼女を助け出してみせます!」
紅蓮もやる気で美雪の父親も信頼しきっていた。
ジン「紅蓮君もやる気だな、これなら安心出来そうだ・・・」
あおい「そっかなぁ・・・。人の話に流されやすい紅蓮だけに、凄く不安なんだけど・・・」
校長「とにかく、この事は他言無用で頼むよ。志村君、河原君」
ジン「うむ、心得た!」
あおい「はい・・・」
あおいは不安だった。
父「あおい君、取引時間まで彼を私が預かっていていいかな?」
あおい「え?あぁ・・・。この事は他言無用ですから、確かに口の軽い紅蓮にはその方がいいと思いますね」
紅蓮「そうだな・・・俺って結構軽いから・・・って、何か嫌味に聞こえた様な・・・」
あおい「嫌味言ったんだよ!反応しなよね!」
父「あおい君・・・、私は少し不安になってきたよ・・・」
美雪の父は暗い声で沈んだ表情で言った。
あおい「あたしは、不安通り越して絶望的な気分ですよ・・・」
こうして、極秘会議は終了した。
それから、風紀委員室に帰った。あおいは表情が暗かった。
あおい「ただいま・・・」
リョウ「どうした?随分、疲れた表情だな?」
カイ「体重が4Kgくらい痩せた様に感じますね」
さくら「歳を4歳取った様にも感じるよ」
あおい「色々とね・・・」
あすか「どうした?困った時は、あたしに相談してみ」
あおい「はぁ・・・、麗亜さん・・・。変装バレてるよ」
麗亜「うっ!一撃でよくぞ!!」
あおいはさり気なく混じっていた麗亜を一撃で見抜いた。
リョウ「あ!お前いつの間に!?」
カイ「僕とした事が気がつきませんでした!」
楓「今、何となく・・・。あおいさんが風紀委員長なのかが解った気がする・・・」
楓は呆れていた。
あおい「でも、ちょうどよかったかな・・・」
麗亜「え?」
あおい「ちょうど、貴女に相談したい事があったんだ・・・。付き合ってくれる?」
さくら「おぉ、禁断の同性デートですか!?」
楓「それは聞き捨てならんですぅ!」
さくらと楓はしっかり誤解していた。
あおい「あたしにそんな趣味はない!!」
あおいは突っ込みを入れ、麗亜と屋上へ行った。
麗亜「それで?相談って?」
あおい「貴女がいた組織って、誘拐して身代金とか取ってたのかなって・・・」
麗亜「は?暁団が?」
あおい「だって、水月さんにゴリにあすかを誘拐したんでしょ?」
麗亜「はぁ・・・、残念だけど・・・。それはないよ・・・」
あおい「え?」
あおいは意外な発言にきょとんとした。
麗亜「暁団が必要なのは貴重な人材。金には困ってないもの・・・」
あおい「そ、そうなんだ・・・」
麗亜「でも、どうしてそれを聞くの?」
あおい「ちょっとね、聞いてみただけ・・・」
あおいは話をはぐらかした。
あおい「だって、貴女がいた組織の狙いって、紅蓮とさくらでしょ?」
麗亜「!!」
麗亜は予想外の発言に驚いた。
あおい「・・・あれ?図星?」
麗亜「な、何故・・・。何故、それが解った!?」
あおい「さくらに関しては貴女がそう仕掛けてきたからだし、紅蓮は焔豹牙に襲われたとか言ってたしね・・・」
麗亜「ひょ、豹牙!?あんた、何処まで知ってるの!?」
あおい「何処までって言われても、今まであった事件をまとめたら、結果がそう出たって感じで・・・ね」
麗亜「まぁいいわ。これだけは忠告しておく・・・。ウチの組織に立ち向かうなら、豹牙には気をつける事だね・・・」
あおい「・・・なるほど・・・、やっぱり・・・」
麗亜「な!?」
あおい「焔豹牙って人、貴女がいた組織のメンバーだったんだね?」
麗亜「うげっ!余計な事言っちゃった!!」
あおい「色々、教えてくれて有難うね・・・。お礼に、面白い推測話を教えるよ・・・」
麗亜「推測?」
あおい「焔豹牙の実の母親について・・・。彼の母親は、元四神流・三種神器「鬼」・・・黒雷虎子。って言う人なんでしょ?」
麗亜「元四神流の三種神器!?何で、あんたがそんな事を・・・」
あおい「あくまで推測に過ぎないから、聞かなかった事にしていいよ」
麗亜「河原あおい・・・、噂通りの食えない小娘だね・・・」
あおい「どういたしまして」
麗亜「誉めとらんわい!!」
という訳で、倉田町の大山製薬工場の倉庫の前までやってきた。
父「ここがその約束の場所の工場だな・・・」
紅蓮「13番倉庫でしたよね?」
父「そうだ。そこへは1人で行く事になるが大丈夫か?」
紅蓮「何とか、取引を成立させてみせるよ」
あおい「不安だなぁ・・・」
紅蓮「それより、何であおい姉まで一緒に車乗ってるんだ?」
あおい「心配なんだよ、あんたも美雪ちゃんも・・・」
紅蓮「姉さんに見守られるならともかく、あおい姉の方じゃなぁ・・・」
あおい「悪かったね、冷血女で・・・」
あおいは少し寂しそうに言った。
紅蓮「ふぅ・・・、まぁいいか・・・。とりあえず、これで交渉成立させてくるよ」
父「頼んだよ、紅蓮君!」
紅蓮は車を出た。
紅蓮「えっと、13番倉庫は・・・っと・・・」
紅蓮は倉庫の番号を数えながら探していた。
紅蓮「おっと、ここだな」
紅蓮は13番倉庫に到着し、
ギー・・・!
扉を開けた。
紅蓮「おい、約束通りに俺1人で来たよ!とっとと取引しようよ!」
その瞬間!
プシュッ!!
紅蓮「うっ!!」
バタッ!!
背後から来た何者かに眠らされてしまった。
その頃、12番倉庫では・・・。
誘拐犯「・・・ふぅ・・・」
美雪「ど、どうかしたんですか!?」
誘拐犯「取引に失敗したらしい・・・。・・・これ以上あんたをここに置く訳にもいかん・・・」
美雪「え!?」
誘拐犯「あんたみたいな別嬪さんを手放すのは好ましくないが、矢も得ん・・・」
美雪「まさか、私を殺す気ですか!?」
誘拐犯「いや・・・。俺達の負けだ、帰りな・・・」
誘拐犯は美雪を縛っていたロープを切り、倉庫の外に開放した。
美雪「・・・何か解せないけど、助かった・・・のかしら?」
そこに、通りすがりの1人の男が声を掛けた。
大林「ん?君は!?美雪お嬢さんじゃないか?」
美雪「あ!貴方は、お父様の部下の大林警部!!何でここに・・・?」
大林「いや、外に警視総監の車があったんで気になって散策していたら、偶然君と会っただけだよ」
美雪「お父様が外に来てるんですか!?」
大林「ところで、さっき隣の倉庫に誰かが入っていったみたいなんで、見に行こうと思ったんだけど、付いてくるかい?」
美雪「(もしかして、紅蓮くんかもしれない・・・。)解りました、一緒に行きます」
美雪と大林は13番倉庫を開けた。
大林「何だ?開けっ放しじゃないか・・・」
紅蓮「・・・・」
美雪「紅蓮くん!ここにい・・・・」
紅蓮「み、美雪ちゃん・・・」
大林「な・・・」
美雪「きゃぁぁぁあああああああああああああっ!!!」
美雪は大声で悲鳴を上げた。
その時、警視総監の車では・・・。
父「!!何だ、今の悲鳴は!?」
あおい「こ、この声は・・・、美雪ちゃん!?」
父「な、何だと!?」
あおい「おじさん、どうします!?」
父「嫌な予感がする・・・。よし、見に行こう・・・」
あおいと美雪の父は車を出た。
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