風紀37:殺人事件発生、犯人は紅蓮!?
 嘉藤邸・・・。
ここは、風紀委員2年の嘉藤美雪の自宅。かなり豪華な和風の家である・・・。
美雪「お父様、朝食の準備が出来ましたよ」
立派なちょびヒゲを生やした男が居間に入ってくる。
父「おはよう、美雪。いつもすまないな・・・」
美雪「フフ、お気になさらないで。これも娘として当然の仕事よ」
父「ハハハ、まったく・・・。いい子に育ったものだ・・・」
美雪「お母様が亡くなってからは、家事は私がやらないとなりませんからね」
父「母さんを病気で亡くしてからは、家事は全て美雪に任せっぱなしだからな・・・」
美雪「でも、その方が仕事に専念出来るではないですか・・・」
父「フフ・・・、まったくだ・・・」
・・・美雪は小学生の時に母親を亡くし、父親と2人暮らしをしている。
家事は既に得意分野と化しているのだ。
しかし、この後とんでもない事が起ころうとは思いもしないのだった・・・。

風紀37:殺人事件発生、犯人は紅蓮!?

今日も平和な放課後の華水神高校・・・。風紀委員室も退屈になっていた。
紅蓮「最近、平和だねぇ・・・」
リョウ「そんなに平和か?ゴリとあすかが連れ去られたってのに・・・」
紅蓮「う〜ん・・・、そういえばそんな事もあった様な・・・」
あおい「つい1週間前の事なんだけどなぁ・・・」
楓「そういえば、この所あおいさんが何も調べなくなりましたよね?」
リョウ「あ、そういやそうだな・・・。1週間前はパソコンと格闘してたのによぅ・・・」
あおい「気になるの?」
紅蓮「もしかして、この間のあのヤンキーギャルの件じゃないかな?」
リョウ「そうだ、あすかを浚った女を倒してから、何の調査もしなくなったな・・・」
楓「何か意味があるんですか?」
あおい「まぁね・・・。これ以上調べなくても、向こうから出向いて来る気がするんだよね・・・」
楓「まさか・・・、お兄ちゃんは・・・」
あおい「・・・多分、ゴリとあすかを誘拐した連中の一味だと思う・・・。だから、仕掛けてくるのを待ってみようと思うんだよね」
楓「・・・どうして、お兄ちゃんが・・・」
あおい「あとは、あたしの勘で奴らが狙っている人物を常に監視していれば、簡単に捕まえる事が出来るって作戦かな・・・」
紅蓮「おいおい、誰が狙われてるか、解ってるの!?あおい姉」
あおい「まぁ、勘だけどね・・・。それと、その焔豹牙って男・・・。まだ会ってないけど、多分強いだろうね・・・」
リョウ「おいおい、会ってもいないのにそんなの解るのかよ?」
あおい「推測だけど、楓ちゃんと紅蓮の話で想像はつくよ。(それと、左目の反応もね・・・)」
楓「そうですか・・・。どういう結果が出るか解らないけど、ウチはあおいさんに付いて行きます!」
あおい「有難う、楓ちゃん・・・」
紅蓮「楓ちゃん、本当に信頼してるんだな・・・。あおい姉の事・・・」
リョウ「少なくとも、風紀委員であおいを信頼出来ない奴なんていないよ。特にカイと美雪ちゃんは付き合いの関係上な・・・」
紅蓮「へぇ・・・」
あおい「あれ?」
あおいは何かに疑問に思った。
あおい「紅蓮、そういえば美雪ちゃんを今朝から見ないんだけど・・・」
紅蓮「・・・そういえば、休んでたなぁ・・・」
リョウ「風邪でもひいたか?」
紅蓮「美雪ちゃんに限って、川で寒中水泳して風邪を拗らせる真似なんてしないだろうしなぁ・・・」
あおい「何よ、その言いぐさは・・・」
その時だった・・・。
ガラー!!
ジン「あおい君!!」
あおい「げっ!」
ジンが血相抱えて入ってきた。
ジン「「げっ!」とは何だね・・・。失敬な・・・」
あおい「あ・・・ははは・・・」
あおいは笑って誤魔化す。
ジン「そんな事はどうでもいい・・・。それより、大変な事が起こった!私と校長室まで一緒に来てくれないだろうか!?」
あおい「校長室!?それはタダ事じゃないなぁ・・・。解りました、行きましょう!」
あおいはジンと一緒に風紀委員室を出て行き、校長室へ向かった。
紅蓮「あおい姉、何かやらかしたのかな?」
楓「どうだろう・・・、何かやりそうな人じゃないんだけどなぁ・・・」
リョウ「それより・・・。気にならないか?」
楓「え?」
リョウ「あのジンさんが直々にあおいの所に来るなんて・・・」
紅蓮「あ!そういえば・・・。いつもはあの使いの人が来てたよな?」
リョウ「絶対何かあるな・・・」
楓「学校の上層部の人間だけの他言無用と考えるべきなのかな・・・」
リョウ「・・・多分な・・・。無事に済ませてくれよ・・・あおい、ジンさん・・・」

という訳で、あおいはジンに連れられ、校長室へ来た。
ジン「失礼致します!」
あおい「失礼します」
校長「おぉ、来たか・・・。待っていたよ」
父「む!誰かと思えば・・・、あおい君じゃないか!」
校長と向き合ってソファーに座っていたのは美雪の父だった。
あおい「あ、貴方は・・・。美雪ちゃんの所のおじさん!!」
校長「おや?2人はお知り合いなのかね?」
ジン「彼女は嘉藤美雪君の中学時代からの先輩だ。顔見知りと思って連れてきてみたが、正解の様だ・・・」
校長「そうだったのか、それなら話が早いな。志村君、河原さん、君達もソファーに座ってくれたまえ」
ジン「うむ」
あおい「あ、はい・・・」
ジンとあおいは校長と美雪の父親に向き合って座った。
父「実は今日の昼に私の元にこんなものが届いたのだ」
美雪の父親はジンとあおいに手紙を見せた。
あおい「『嘉藤警視総監へ 貴様の娘は預かった。返して欲しくば1億用意しろ。他の警官には知らせるな!』・・・ですか・・・」
ジン「妙だな・・・。宛名がない・・・」
あおい「それに、取引現場も書いてない・・・。これじゃあ、お金だけ用意しても何もならない・・・」
父「そうなんだ・・・。これでは、娘を解放する方法がないんだ・・・」
その時!
ピロロロロロ!ピロロロロロロロ!
父「ぬっ!?」
美雪の父親の携帯が鳴り出した。
ピ!
父「私だ!」
誘拐犯『嘉藤警視総監ですか?貴方の1人娘を誘拐した者です』
父「き、貴様ぁ!!美雪に何をするつもりだ!!とっとと開放するんだ!!」
誘拐犯『まぁまぁ、そう慌てないで下さい・・・。貴方にこれから要求を言います。お金は用意出来てますね?』
父「1億ならしっかりと用意してある!それより、要求を早く言え!!」
誘拐犯『それでは、要求を言います。今夜7時、倉田町の大山製薬工場13番倉庫へ1億円を持って、来て下さい』
父「倉田町の大山製薬工場13番倉庫だな!?解った!!要求に従おう!!」
誘拐犯『おやおや、短気はいけませんなぁ・・・』
父「何!?」
誘拐犯『まだ、貴方への要求は終わってませんよ』
父「何だと!?」
誘拐犯『取引の相手は貴方ではありません。今から指定する人物を取引人として用意してもらいたい・・・』
父「誰を指定する気だ!?」
誘拐犯『貴方は今、華水神高校にいらっしゃる・・・』
父「!!」
誘拐犯『そこのこれから指定する生徒1人を取引相手として認めたい・・・』
父「せ、生徒だと!?」
誘拐犯『取引相手は「華水神高校2年、河原紅蓮」!!彼を取引相手として任命したい』
父「2年の河原紅蓮・・・」
誘拐犯『それでは、今夜を楽しみにしていますよ!ククククク・・・』
プッツン!プープープー
校長「嘉藤さん、今のは!?」
父「どうやら、誘拐犯が手紙に足りない部分を要求してきた。取引相手は河原紅蓮という生徒らしい・・・」
あおい「ぐ、紅蓮ですか!?」
あおいは驚いた。
父「ぬ!?あおい君、知り合いなのか!?」
あおい「知り合いも何も・・・。河原紅蓮はあたしの弟です・・・」
父「な、弟だと!?」
ジン「あおい君!大至急、彼を連れてくるのだ!!」
という訳で、あおいは校長室を出て行き、

5分後、あおいは紅蓮を連れて校長室に入った。
紅蓮「何だってぇぇぇええええ!?誘拐ぃぃいいいいっ!?」
あおい「バカ!声が高い!!」
紅蓮「あ、悪い・・・」
父「君があおい君の弟の紅蓮君だね!?」
美雪の父は紅蓮の腕を掴んだ。
父「どうしても、君を取引の相手に指定してきたんだ!私としても子供に行かせるのは大変不本意だが、止むを得ない!宜しく頼む!!」
紅蓮「は、はい・・・。俺にとっても大切な友達を失う訳にはいかない、是非協力します!」
あおい「(微妙に失礼な事言われてるのに、気付いてないし・・・)」
父「現地までは私が車で送る。そこから倉庫の中へは君1人で行く事になるが、大丈夫かね?」
紅蓮「はい!絶対、彼女を助け出してみせます!」
紅蓮もやる気で美雪の父親も信頼しきっていた。
ジン「紅蓮君もやる気だな、これなら安心出来そうだ・・・」
あおい「そっかなぁ・・・。人の話に流されやすい紅蓮だけに、凄く不安なんだけど・・・」
校長「とにかく、この事は他言無用で頼むよ。志村君、河原君」
ジン「うむ、心得た!」
あおい「はい・・・」
あおいは不安だった。
父「あおい君、取引時間まで彼を私が預かっていていいかな?」
あおい「え?あぁ・・・。この事は他言無用ですから、確かに口の軽い紅蓮にはその方がいいと思いますね」
紅蓮「そうだな・・・俺って結構軽いから・・・って、何か嫌味に聞こえた様な・・・」
あおい「嫌味言ったんだよ!反応しなよね!」
父「あおい君・・・、私は少し不安になってきたよ・・・」
美雪の父は暗い声で沈んだ表情で言った。
あおい「あたしは、不安通り越して絶望的な気分ですよ・・・」
こうして、極秘会議は終了した。

それから、風紀委員室に帰った。あおいは表情が暗かった。
あおい「ただいま・・・」
リョウ「どうした?随分、疲れた表情だな?」
カイ「体重が4Kgくらい痩せた様に感じますね」
さくら「歳を4歳取った様にも感じるよ」
あおい「色々とね・・・」
あすか「どうした?困った時は、あたしに相談してみ」
あおい「はぁ・・・、麗亜さん・・・。変装バレてるよ」
麗亜「うっ!一撃でよくぞ!!」
あおいはさり気なく混じっていた麗亜を一撃で見抜いた。
リョウ「あ!お前いつの間に!?」
カイ「僕とした事が気がつきませんでした!」
楓「今、何となく・・・。あおいさんが風紀委員長なのかが解った気がする・・・」
楓は呆れていた。
あおい「でも、ちょうどよかったかな・・・」
麗亜「え?」
あおい「ちょうど、貴女に相談したい事があったんだ・・・。付き合ってくれる?」
さくら「おぉ、禁断の同性デートですか!?」
楓「それは聞き捨てならんですぅ!」
さくらと楓はしっかり誤解していた。
あおい「あたしにそんな趣味はない!!」
あおいは突っ込みを入れ、麗亜と屋上へ行った。

麗亜「それで?相談って?」
あおい「貴女がいた組織って、誘拐して身代金とか取ってたのかなって・・・」
麗亜「は?暁団が?」
あおい「だって、水月さんにゴリにあすかを誘拐したんでしょ?」
麗亜「はぁ・・・、残念だけど・・・。それはないよ・・・」
あおい「え?」
あおいは意外な発言にきょとんとした。
麗亜「暁団が必要なのは貴重な人材。金には困ってないもの・・・」
あおい「そ、そうなんだ・・・」
麗亜「でも、どうしてそれを聞くの?」
あおい「ちょっとね、聞いてみただけ・・・」
あおいは話をはぐらかした。
あおい「だって、貴女がいた組織の狙いって、紅蓮とさくらでしょ?」
麗亜「!!」
麗亜は予想外の発言に驚いた。
あおい「・・・あれ?図星?」
麗亜「な、何故・・・。何故、それが解った!?」
あおい「さくらに関しては貴女がそう仕掛けてきたからだし、紅蓮は焔豹牙に襲われたとか言ってたしね・・・」
麗亜「ひょ、豹牙!?あんた、何処まで知ってるの!?」
あおい「何処までって言われても、今まであった事件をまとめたら、結果がそう出たって感じで・・・ね」
麗亜「まぁいいわ。これだけは忠告しておく・・・。ウチの組織に立ち向かうなら、豹牙には気をつける事だね・・・」
あおい「・・・なるほど・・・、やっぱり・・・」
麗亜「な!?」
あおい「焔豹牙って人、貴女がいた組織のメンバーだったんだね?」
麗亜「うげっ!余計な事言っちゃった!!」
あおい「色々、教えてくれて有難うね・・・。お礼に、面白い推測話を教えるよ・・・」
麗亜「推測?」
あおい「焔豹牙の実の母親について・・・。彼の母親は、元四神流・三種神器「鬼」・・・黒雷虎子。って言う人なんでしょ?」
麗亜「元四神流の三種神器!?何で、あんたがそんな事を・・・」
あおい「あくまで推測に過ぎないから、聞かなかった事にしていいよ」
麗亜「河原あおい・・・、噂通りの食えない小娘だね・・・」
あおい「どういたしまして」
麗亜「誉めとらんわい!!」

という訳で、倉田町の大山製薬工場の倉庫の前までやってきた。
父「ここがその約束の場所の工場だな・・・」
紅蓮「13番倉庫でしたよね?」
父「そうだ。そこへは1人で行く事になるが大丈夫か?」
紅蓮「何とか、取引を成立させてみせるよ」
あおい「不安だなぁ・・・」
紅蓮「それより、何であおい姉まで一緒に車乗ってるんだ?」
あおい「心配なんだよ、あんたも美雪ちゃんも・・・」
紅蓮「姉さんに見守られるならともかく、あおい姉の方じゃなぁ・・・」
あおい「悪かったね、冷血女で・・・」
あおいは少し寂しそうに言った。
紅蓮「ふぅ・・・、まぁいいか・・・。とりあえず、これで交渉成立させてくるよ」
父「頼んだよ、紅蓮君!」
紅蓮は車を出た。

紅蓮「えっと、13番倉庫は・・・っと・・・」
紅蓮は倉庫の番号を数えながら探していた。
紅蓮「おっと、ここだな」
紅蓮は13番倉庫に到着し、
ギー・・・!
扉を開けた。
紅蓮「おい、約束通りに俺1人で来たよ!とっとと取引しようよ!」
その瞬間!
プシュッ!!
紅蓮「うっ!!」
バタッ!!
背後から来た何者かに眠らされてしまった。

その頃、12番倉庫では・・・。
誘拐犯「・・・ふぅ・・・」
美雪「ど、どうかしたんですか!?」
誘拐犯「取引に失敗したらしい・・・。・・・これ以上あんたをここに置く訳にもいかん・・・」
美雪「え!?」
誘拐犯「あんたみたいな別嬪さんを手放すのは好ましくないが、矢も得ん・・・」
美雪「まさか、私を殺す気ですか!?」
誘拐犯「いや・・・。俺達の負けだ、帰りな・・・」
誘拐犯は美雪を縛っていたロープを切り、倉庫の外に開放した。
美雪「・・・何か解せないけど、助かった・・・のかしら?」
そこに、通りすがりの1人の男が声を掛けた。
大林「ん?君は!?美雪お嬢さんじゃないか?」
美雪「あ!貴方は、お父様の部下の大林警部!!何でここに・・・?」
大林「いや、外に警視総監の車があったんで気になって散策していたら、偶然君と会っただけだよ」
美雪「お父様が外に来てるんですか!?」
大林「ところで、さっき隣の倉庫に誰かが入っていったみたいなんで、見に行こうと思ったんだけど、付いてくるかい?」
美雪「(もしかして、紅蓮くんかもしれない・・・。)解りました、一緒に行きます」
美雪と大林は13番倉庫を開けた。
大林「何だ?開けっ放しじゃないか・・・」
紅蓮「・・・・」
美雪「紅蓮くん!ここにい・・・・」
紅蓮「み、美雪ちゃん・・・」
大林「な・・・」
美雪「きゃぁぁぁあああああああああああああっ!!!」
美雪は大声で悲鳴を上げた。

その時、警視総監の車では・・・。
父「!!何だ、今の悲鳴は!?」
あおい「こ、この声は・・・、美雪ちゃん!?」
父「な、何だと!?」
あおい「おじさん、どうします!?」
父「嫌な予感がする・・・。よし、見に行こう・・・」
あおいと美雪の父は車を出た。
あおい「さっきに悲鳴が美雪ちゃんなら、13番倉庫か・・・」
父「間違いない、そこに行くぞ!」
2人は走って13番倉庫を目指した。
父「とはいえ、倉庫が多いな・・・」
あおい「おじさん、あそこ!扉開いてますよ!」
父「行ってみよう!」
2人は13番倉庫に到着した。
あおい「美雪ちゃん、紅蓮?」
美雪「か、河原先輩〜!!」
美雪はあおいに泣きながら抱きついた。
あおい「もう、大丈夫だよ・・・。何があったの?」
美雪「ぐ・・・紅蓮くんが・・・」
あおい「紅蓮?」
紅蓮「ち、違う・・・、俺じゃない・・・」
あおい「ぐ、紅蓮・・・?何が・・・って・・・。・・・こ、これは!?」



紅蓮の目の前に胸にナイフの刺さった死体が仰向けに倒れていた。
父「さ、殺人だと!?」
大林「け、警視総監!」
父「お、大林!?何でお前が・・・」
大林「いえ、偶然総監の車があったので、気になって散策していたら・・・」
父「お前が入った時からこんな状態だったのか・・・」
大林「えぇ、間違いありません・・・」
父「美雪を守ってくれるのは嬉しいが、殺人を犯すとはな・・・」
紅蓮「ち、違う!俺は何もしてないんだ!!」
父「大林!部下に連絡だ!!」
大林「はっ!!」
という訳で、誘拐された美雪は助かり、身代金も1円たりとも取られずに済んだが・・・。
紅蓮が殺人罪として、警察に捕まってしまった・・・。

留置所面会室・・・。あおいとさくらと美雪が面会に来た。



あおい「紅蓮、元気・・・・な訳ないか・・・。流石に・・・」
紅蓮「うぅ・・・。俺は何もしてないのに・・・」
さくら「うぅっ・・・、紅蓮ちゃんが殺人をするなんて・・・姉さん、悲しい・・・」
紅蓮「ね、姉さん!?誤解だよ!!俺は何もしてないんだ!!信じてよ!!」
美雪「私、信じるわ!昨日の晩の事は色々矛盾だらけで解せないと思ってるくらいだから・・・」
紅蓮「美雪ちゃん・・・」
あおい「ったく、少なくともあたし達はあんたが犯人じゃないって、信じてるから心配しなさんな・・・」
さくら「はぁ〜、やっぱり殺人は重罪だから、死刑なのかなぁ・・・。あ〜、でも、まだ少年って事で少年院かな・・・」
紅蓮「ね、姉さん?」
あおい「さくら!縁起でもない事言わないでよ!!」
さくら「で、でも・・・。やっぱり、無理だよ・・・」
あおい「あたしは絶対紅蓮を無罪にして真犯人も見つけ出してみせる!・・・紅蓮の事信じてるから・・・」
美雪「私も!紅蓮くんの完全無罪を信じます!河原先輩、私に出来る事があったら何でも手伝います!」
あおい「有難う、美雪ちゃん・・・」
さくら「でも、そんな事出来るのかな・・・」
あおい「・・・さくら、君は紅蓮が殺人を犯せる奴に見える?」
さくら「どうだろう・・・・?」
紅蓮「ね、姉さん!?冗談だよね?冗談って言って〜ん!!」
さくら「あはは・・・、決まってるでしょ・・・。たった1人の大切な弟がそんな事するなんて、思ってないよ・・・」
あおい「ったく、さくらの毒吐きは本当に容赦ないんだから・・・」
さくら「そんなに酷いかなぁ・・・・」
あおい「・・・ふぅ・・・。それじゃ、あたし達はちょっと調査してくるから・・・。行くよ、美雪ちゃん・・・」
あおいと美雪は留置所の面会室を去った。
さくら「って、こんな所にあたしを置いてかないでよ!!」
さくらも後を追った。

高崎警察署刑事課・・・、あおいと美雪は証拠品や状況を聞きに来た。
桃子「あら、あおいちゃんと美雪ちゃんじゃないの!」
あおい「桃子刑事も相変わらず元気ですね・・・」
あおいは昔の先輩の桐谷桃子巡査部長に話掛けた。
桃子「まぁ、まだまだ巡査部長になったばかりなんだけどね」
あおい「ところで、証拠品について情報が欲しいんですけど・・・」
桃子「いいよ、こっちにおいで」
あおいと美雪は証拠品を撮影した写真を見せてもらった。
桃子「まず、この凶器のナイフね」
美雪「確か、発見した時はまだ胸に刺さってましたよね・・・」
桃子「えぇ、このナイフはとりあえず、決定的な証拠の1つとしてあげられてるわ」
あおい「決定的!?」
桃子「このナイフの柄に河原紅蓮の指紋がしっかり残っていたわ・・・」
あおい「うぁ・・・、そりゃぁ・・・決定的だ・・・」
美雪「1つって事はまだ何かあるんですか?」
桃子「えぇ、まだあるわ」
桃子は別の写真を取り出した。
桃子「このボタン、被害者の服のボタンの1つで、紅蓮くんのコートの袖の中に入っていたのよ・・・」
あおい「何か、血が付いてますね・・・」
桃子「えぇ、この血痕は検査の結果、被害者のモノと判明したわ」
あおい「うぅっ!・・・」
桃子「ん?どうかしたの、あおいちゃん・・・」
あおい「あたし達、この完全不利な証拠品があるのに紅蓮の無罪を信頼しなくちゃならないと考えたら眩暈が・・・」
美雪「河原先輩!それでも、何かオチがある筈です。どんな小さな穴でも見つけないと!」
あおい「・・・そう、だよね・・・。あたしがしっかりしなきゃ!!」
あおいは自分の顔にダブルビンタを入れ、気合を入れなおした。
桃子「ついでに、コレは殺害現場の写真よ」
あおい「死因は・・・やっぱり、胸のナイフですか?」
桃子「まだ、解剖記録は貰ってないから解らないけど、それで間違いわね・・・」
あおい「桃子刑事、これから現場調べたいんですけど・・・」
桃子「仕方ないわね、許可書書いておくから、見張りの警備の人に渡せば入れるわよ」
あおい「すみません、助かります」
あおいと美雪は警察署を出た。
桃子「本当、あの子には部下になって欲しいくらいだわ・・・」
刑事「桐谷刑事!」
桃子「何ですか!?」
刑事「解剖記録が完成したんですけど・・・」
桃子「あ〜、どうも。後で目を通しておきますね」
桃子は解剖記録のコピーに目を通した。
桃子「な、何ですって!?・・・こんな事が・・・」

倉田町、大山製薬工場13番倉庫・・・。捜査の為故に警官隊が動いている。
あおい「ここが殺害現場か・・・。普通に倉庫って感じだね・・・」
美雪「えぇ、確かに・・・。化学薬品が色々ありますね・・・」
そこに・・・。
凪「あら、あおいちゃんじゃない?」
あおい「あ、凪刑事!」
美雪「お久し振りです、凪さん」
凪「2人とも、あの事件の調査をしに来たの?」
あおい「まぁ、そんな所ですね・・・」
美雪「凪さん!紅蓮くんは犯人じゃありませんよね?」
美雪は悲しそうに尋ねる。
凪「・・・さぁ・・・。今はまだ情報が足りないのよ・・・。だから、何とも言えないな」
美雪「そう・・・・ですか・・・」
あおい「ま、そのウチ何か手がかりが出てくるって!前向きに考えようよ・・・」
美雪「そう・・・ですよね・・・」
あおいは必死に美雪を励ます。
凪「そっか・・・、容疑者があおいちゃんの学校の生徒なんだっけ・・・」
あおい「且つ、実の弟なんですよね〜、これが・・・」
凪「な、何ぃぃぃいいいっ!?」
凪刑事は魂消てしまった。
凪「・・・に、似てない弟ね・・・」
あおい「よ、よく言われます・・・」
美雪「あの、凪さん・・・。私も何か調査していいですか?」
凪「それは構わないけど・・・、下手にいじらないでね・・・」
あおい「美雪ちゃん・・・」
あおいはポケットから白い薄手の手袋を差し出した。
美雪「河原先輩、手袋ですか?」
あおい「手袋しないと余計な指紋を残して現場を荒らす事になるからね・・・」
凪「あらあら、あおいちゃんってば、結構詳しいのね・・・」
あおい「基本ですよ、凪刑事」
という訳で、2人は調査を始めた。その時だった・・・。
ピロロロロ!
凪「はい、こちら凪!あぁ、桃子?・・・解ったすぐ戻る」
あおい「どうかしたんですか?」
凪「解剖記録が完成したのだろう・・・、捜査会議だ。行ってくる」
美雪「結果を楽しみにしています」
凪は去り、あおいと美雪は捜査を開始する。

あおい「う〜ん・・・、コレと言って目立つ違和感はないんだよなぁ・・・」
美雪「・・・」
あおい「あ!青酸カリだ。もしかしたら、毒殺だったりしてね・・・」
美雪「いえ、違うと思いますよ・・・」
あおい「そう?」
美雪「その薬品、減ってませんし・・・」
あおい「あぁ・・・言われてみれば・・・」
美雪「それにしても、製薬工場の倉庫だけに甘い匂いが漂ってません?」
あおい「ここで何かの薬品を使ったのか・・・。・・・甘い匂い・・・?」
あおいは何かに気付いたかの様に薬品を探し出した。
あおい「・・・・やっぱり・・・」
美雪「どうかしたんですか?」
あおい「クロロホルムだよ・・・。密閉された部屋でコレを開放すると、甘い匂いが残るんだ・・・」
美雪「もしかしたら、紅蓮くんは眠らされたのかも・・・」
あおい「あの騙されやすい紅蓮ならありえるよね・・・」
美雪「それと、もう1つ不可解な事があるんです・・・」
あおい「何?」
美雪「私が倉庫に閉じ込められた時、甘い匂いはしなかったんですよ・・・」
あおい「でも、紅蓮が入ってきてから使用はされている・・・」
美雪「それと、この倉庫・・・。私が入れられた倉庫とちょっと違う様な・・・」
あおい「13番倉庫が?」
美雪「えぇ・・・・。・・・13!?」
美雪は何かを思い出したかの様に急いで倉庫を出た。
あおい「ま、待ってよ!美雪ちゃん!!」
美雪「やっぱり・・・」
あおい「え?どうかしたの!?」
美雪「外を出た所の風景も微妙に違う・・・」
あおい「・・・どういう事?」
美雪「河原先輩・・・、私・・・。捕まえられた倉庫はここじゃないと思います・・・」
あおい「え!?」

その頃、警察では・・・。
凪「・・・何で・・・」
桃子「・・・凪先輩・・・」
凪「被害者が田沼警部だなんて・・・」
桃子「凶器はやっぱり、胸に刺さった河原紅蓮の指紋が付いていたナイフみたいですし・・・。やっぱり、彼が・・・」
凪「・・・桃子、留守よろしく。私はもう1度現場に行く!」
桃子「かしこまりっ!」
凪は現場へ向かった。
桃子「さてと、私も課長にお茶入れてこないと・・・」
桃子は給湯室へ行った。桃子と入れ違いで誠也とまなみが入ってきた。



誠也「ちわ〜っす!」
まなみ「あれ?凪刑事いないよ」
誠也「無駄足だったのかな・・・」
まなみ「ん?あれ、何だろ?」
まなみは1通の封筒を発見した。
誠也「あ、これ・・・。解剖記録のコピーじゃないかな!?」
まなみ「あ〜、そうだよ!」
誠也「1つくらい貰っていってもいいよね?」
まなみ「コピーだもんね!」
誠也「じゃぁ、現場にいる河原先輩に持っていこうか・・・」
まなみ「うん!」
誠也とまなみは出て行った。

13番倉庫では・・・。
凪「あれ!?あおいちゃんは!?」
警官「さっき、外へ出て行きましたよ?」
凪「え?」

そんな時、12番倉庫では・・・。
美雪「間違いない、ここですよ・・・」
あおい「何で12番倉庫なんだろ・・・」
美雪「私に本当の犯行を目撃させない為・・・なのか・・・」
そこに、
凪「あおいちゃん!ここに居たの!?」
あおい「あ、あぁ・・・。凪刑事・・・」
凪「こんな所になんの手掛かりもある訳でもあるまいに・・・」
あおい「それより、解剖記録出来たんですか?」
凪「あぁ、出来たよ。見る?」
あおい「はい、見ます見ます!」
あおいが凪から解剖記録の封筒を見ようとした時だった。
誠也「河原先輩、解剖記録のコピーが手に入りました!!」
あおい「誠也?」
凪「それなら、今私が見せようと思った所よ」
誠也「・・・用なしか・・・。はぁ・・・・」
あおいは凪から解剖記録を受け取り、目を通す・・・。
あおい「被害者は現役警察官、死因はナイフで刺殺・・・」
美雪「警察官なんですか!?」
あおい「じゃ、じゃぁ、美雪ちゃんを誘拐した犯人って・・・」
美雪「警察官だったのね・・・」
あおい「そっか、美雪ちゃんの父親が警視総監だから、ありえない話じゃないかもしれないよね・・・」
美雪「お父さんに敵意がある警察官って事ですか・・・」
あおい「うん・・・。・・・警察官!?」
あおいは何かにひらめいた。
あおい「誠也!!誠也は!?」
美雪「え?外で黄昏てますけど・・・?」
あおいは外へ出た。
あおい「誠也!!」
誠也「ん?河原先輩?」
あおい「さっきの解剖記録見せて!」
誠也「え?それはいいですけど、さっき刑事さんに見せてもらったんじゃ・・・?」
あおい「何となく!その解剖記録も見てみたいんだよ!」
誠也「見ても内容は同じだと思いますけど・・・?」
あおい「・・・!!こ、これは・・・」
誠也「ん?どうかしたんですか?」
あおい「誠也!!この解剖記録は何処にあったもの!?」
誠也「えっと・・・」
まなみ「あぁ、それは・・・・」
あおいはまなみからある情報を得た。
あおい「!!そうか・・・、そういう事か!!」
誠也「河原先輩?」
あおい「謎が全て解けた!!」
誠也「ほ、本当に!?」
凪「あおいちゃん、さっきからどうしたの!?」
凪はあおいの元に来た。
あおい「凪刑事、今回の犯人と犯行のトリック・・・。全てが解けました・・・」
凪「え!?河原紅蓮じゃないの!?」
あおい「凪刑事、事件の関係者を集めて下さい・・・」
凪「わ、解ったわ!」
まなみ「あおちゃん、探偵みたい!」
凪は事件関係者を集めに行った。

13倉庫前・・・。
紅蓮「あおい姉!俺に罪を擦り付けた犯人が解ったっていうのか!?」
警官「まさか、こんな小娘が・・・」
あおい「はい、お静かに!」
紅蓮「・・・(あおい姉・・・)」
あおい「まず、今回の殺人についてですが、紅蓮の指紋の付いていたこの凶器のナイフ・・・。これは偽の証拠という事が解りました・・・」
大林「な、何だって!?それは死体に刺さっていたもので、解剖記録にも載っていた筈では!?」
美雪「そうですよ!私もそれは見ました!確かにナイフは刺さってたし、血も流れていましたよ!?」
あおい「まぁ、捜査会議に出た警察官ならそう言うでしょうね。偽の解剖記録にそう書いてあったんですから・・・」
凪「偽の解剖記録!?」
あおい「はい・・・。本当の解剖記録は誠也が勘違いして持ってきちゃったんですよ」
凪「えぇ!?」
あおい「本当の殺害は、ネクタイで絞殺でした」
凪「こ、絞殺!?」
あおい「あたしは、初めから刺殺というのに違和感を感じていたんです」
凪「ど、どういう事!?」
あおい「この紅蓮のコートの袖の中に発見された血痕の付着した被害者の服のボタンですよ」
紅蓮「でも、そのボタンが決定的な証拠になって、俺は・・・」
あおい「だけど、このボタンは引きちぎった後があるから、確かに争って引きちぎったと見れるかもしれない・・・」
美雪「そうか、血痕!」
あおい「そう・・・。犯人は血痕の付いたボタンが決定的な証拠になると思ってしまった・・・。だけど、逆だったんだよ」
美雪「血が付いているという事は刺された後、つまり死体から引きちぎられたという事・・・」
あおい「そういう事・・・。もし、紅蓮が犯人なら死体から血の付いたボタンを自分のコートの中に入れるなんて事はしない・・・」
凪「じゃ、じゃぁ・・・。この指紋のついたナイフは!?」
あおい「凪刑事、先程証明しましたよね?ナイフは偽の証拠だと・・・」
凪「でも、彼の指紋が・・・」
あおい「だが、それは簡単に付けられたんですよ。この13倉庫でね・・・」
凪「え!?」
あおい「この13番倉庫は薬品の保管場所でした。ここにクロロホルムも当然あります・・・」
紅蓮「じゃ、じゃぁ・・・俺は眠らされていたのか・・・」
あおい「そう・・・。ここで犯人は大きなミスをし、クロロホルムを使用した証拠を残してしまったんです・・・」
凪「!!そういえば、甘い匂いが倉庫に・・・」
あおい「そうです。犯人は喚起を怠ってしまった・・・。だから、甘い匂いが今でも残っていた・・・」
美雪「なるほど・・・。予め、被害者を絞殺した犯人は、誘拐の取引で来た紅蓮くんを眠らせて、その隙に指紋を付け、血の付いたボタンをコートに・・・」
あおい「そう、それとこの犯行のもう1つポイントがあった・・・」
父「もう1つのポイントだと!?」
あおい「嘉藤警視総監・・・、貴方は知っている筈です」
父「な!?わ、わ、私は、犯人じゃない!!犯人じゃないぞ!!」
警視総監はうろたえた。
あおい「誰もそんな事言ってませんよ・・・」
父「ふぅ・・・」
あおい「嘉藤警視総監、誘拐犯は貴方に取引場所を何処に指定してきましたか?」
父「それは・・・、ここだ。この13番倉庫!」
あおい「それじゃぁ、美雪ちゃん・・・。君が取引現場の時刻、甘い匂いはしたかな?」
美雪「そんな匂いはしませんでしたよ・・・?」
あおい「そう、美雪ちゃんが捕獲されていた倉庫は13番倉庫じゃないから・・・」
父「な、何だと!?」
あおい「美雪ちゃんが監禁されていた倉庫は隣りの12番倉庫だったんです・・・」
父「じゃ、じゃぁ、あの取引は何の為に!?犯人は金も奪わずに何で・・・?」
あおい「犯人の目的は金じゃなかったんですよ・・・」
父「金じゃなかった!?」
あおい「犯人は紅蓮が騙されやすい性格を調べていて、遭えて紅蓮を取引の相手に指定してきたんです・・・」
父「何だと!?」
美雪「じゃぁ、まさか!犯人はそれを簡単に検索出来る上、動機も有り得そうな警察官の誰か・・・」
父「ば、バカな・・・」
あおい「そう・・・。真犯人は・・・大林警部、貴方です!!」



父「なっ!?」
凪「えぇ!?」
紅蓮「なんだと!?」
美雪「何で!?」
大林「な、何を言っているんだ!?私は・・・」
あおい「じゃぁ、逆に聞きましょうか・・・。何故、捜査会議に出席しなかった貴方が偽造された解剖記録の内容を知っているんですか?」
大林「な!?」
凪「そういえば、大林警部は捜査会議にいなかったわね・・・」
大林「私は用事があったから、解剖記録は机の上に置いてもらっただけだ・・・」
あおい「でも、見る事は出来なかったんですよね?」
大林「え!?」
あおい「だって、貴方の机の上にあった解剖記録は誠也が先に持ち出してしまったんですから・・・」
大林「!!」
あおい「その解剖記録がこの本物の解剖記録。コピーが存在しない1つだけの解剖記録で、後で目を通して処分するつもりでいた・・・」
大林「何をバカな・・・」
あおい「そりゃそうですよ、共犯者が鑑識課に混じっているんですから・・・」
大林「だったら、その男に聞いてみろよ!私が犯人かどうか・・・」
あおい「解る訳ない・・・。そういう事ですよね?共犯者も自殺に見せかけて殺したんですから・・・」
大林「な!?」
あおい「さっき、所轄内をうろついていたさくらから電話で、コメカミを銃殺された鑑識課の人を発見したという話を聞きました・・・」
美雪「でも、この人は釈放された私を助けてくれたんですよ!?」
あおい「そりゃそうだよね。嘉藤美雪という完璧なアリバイを作る為に誘拐したんですから・・・」
父「美雪がアリバイだと!?」
あおい「確か貴方は嘉藤警視総監の車を発見して気になって倉庫の周りを散策していたと言っていたけど・・・」
大林「それがどうした!?」
あおい「それでは、何故紅蓮が13番倉庫にいるのが解ったんです?」
大林「何!?」
あおい「それに、警視総監の車を見つけたら、あたしと総監に気付かれている筈なのに、どうやって入ったんですか!?」
大林「そ、それは・・・」
あおい「貴方は自分のアリバイと紅蓮の犯行を美雪ちゃんにさせる為にあの時間、紅蓮が目を覚ますのを待ってそこをうろうろしていたんです」
父「なるほど、そういう事か・・・」
大林「ちょっと待てよ・・・。俺が田沼警部を殺害出来たかもというのは解ったが、動機は何だ!?」
凪「確かに、大林警部と田沼警部は同期の親友と聞くわ!その警部が何で!?」
あおい「それも既に、学校にいる志村兄弟に調べてもらいましたよ・・・」
大林「何!?」
あおい「貴方の妻は田沼と不倫関係にあったそうですね?」
大林「!!」
あおい「そして、弄ばれた妻の自殺・・・。それが貴方の動機です・・・」
大林「何でそこまで調べられているんだ!?」
あおい「志村兄弟の得意分野ですから・・・。さぁ、観念して捕まったらどうですか!?」
大林「お前如きにこの俺が・・・この俺が・・・」
大林はナイフを取り出した。
大林「俺は捕まらねぇぞ!!てめぇみたいなガキに犯行見破られた程度でな!!」
父「やめろ!大林!!」
大林「うぉぉおおおおっ!!」
大林はあおいに向かって切りかかった。
あおい「・・・」
美雪「河原先輩ぃぃいいいいいっ!!!」
その瞬間!!
あおい「でぁぁああっ!!」
あおいは大林の攻撃を避け、背負い投げを食らわした。
大林「うぐ・・・」
あおい「警察官が民間人に凶器を振るうなんてねぇ・・・。見下げた根性だなぁ・・・」
父「今だ!捕獲しろ!!」
凪「はっ!!」
結局、大林は捕まり、紅蓮は完全無罪で釈放され、事件は無事解決した・・・。

その頃、倉庫の影では・・・。1人の警官が携帯で電話していた。
警官「総帥、どうやら無事河原紅蓮は釈放された様です」
総帥「御苦労、真之介!」
真之介「それにしても、豹牙の言い分も解りますよ・・・」
総帥「何かあったのか?」
真之介「河原あおいが名探偵かの様に華麗に推理を解き、犯人を逮捕させたんです」
総帥「ほぅ・・・。確かに面白い小娘だな・・・」
真之介「どうします?」
総帥「とりあえず、今回は無事解決したんだ。帰ってこい・・・、次の指令を豹牙に渡してある」
真之介「はっ!」
真之介は制服を脱ぎ、その場を去った。

その後の風紀委員室。
紅蓮「あおい姉!俺、誤解してたよ・・・。あおい姉は冷血で俺の事なんて考えてくれてないなんて想ってた・・・」
あおい「酷い思い込みだなぁ・・・。あんたを見捨てたりしないよ・・・。大切な弟だからね・・・」
誠也「赤先輩、惚れ直したんじゃないですか?」
紅蓮「バカ言うなよ、実の姉弟だぞ」
あおい「そういう意味で言ったのとちゃうんじゃない?・・・まったく・・・」
リョウ「・・・どうせ・・・」
あおい「だいたいねぇ・・・」
リョウ「・・・どうせ・・・」
あおい「・・・リョ、リョウ?」
リョウ「どうせ、俺なんてこれっぽっちも活躍出来なかったよ・・・」
リョウは部屋の隅でいじけていた。
あおい「うっ!・・・そういや、こいつ使うの忘れてた・・・」
リョウ「ま、まぁいいのさ・・・。俺なんて所詮その程度の人間なんだから・・・」
あおい「女々しいよ、リョウ!そんな事でいじけるんじゃない!」
リョウ「うぅ・・・」
カイ「まぁまぁ、美雪さんも無事だったし、犯人も捕まったし、一件落着でいいじゃないですか・・・」
リョウ「そ、そうだな・・・」
あおい「ふぅ・・・、カイくんナイスフォロー!」
リョウ「・・・それはそうと・・・、美雪ちゃんはどうしたんだ?さっきから見ないけど・・・」
紅蓮「あ!そういや、いない!!まさか・・・、また誘拐されたんじゃぁ・・・」
あおい「大丈夫だよ、美雪ちゃんはちょっと用事があるだけみたいだから・・・。美雪ちゃん1人に任せよう・・・」
紅蓮「なら・・・問題ないけどなぁ・・・」
リョウ「ま、まぁ・・・。事件解決したんだ、パーっとやろうぜ!」
あおい「リョウのオゴリね」
リョウ「え?」
紅蓮「リョウさん、ゴチになります!」
リョウ「え?え?」
カイ「紅蓮、君は相当お腹空かせているでしょうから、遠慮しなくていいですよ」
リョウ「え?え?え?」
紅蓮「よ〜しっ!リョウさんのオゴリなんだから、バンバン食うぞぉ!!」
リョウ「え?え?え?え?」
あおい「いやぁ、モテモテだねぇ・・・リョウ」
リョウ「・・・な、なぁ・・・。俺の存在価値って結局この程度なのか?」
あおい「今、気がついたの?」
リョウ「うぉぉおおおっ!!あんまりだぁあああっ!!!」



哀れなリョウは吼えたのだった・・・。

高崎警察署、刑事課・・・。
桃子「ふぅ〜、終わった終わった・・・」
凪「お疲れ、今日はもう帰っていいよ」
桃子「凪先輩もお疲れ様です。では、お言葉に甘えてお先に〜」
桃子は勤務を終え、警察署を出た。そこに、
美雪「お疲れ様です、桃子さん・・・」
桃子「あら、どうしたの?美雪ちゃんじゃない・・・」
美雪「桃子さんにお話があるんです。ちょっと、付き合って貰えますか?」
桃子「私にお話?」

美雪は桃子を近くの公園に連れ出した。
美雪「そうです・・・。桃子さん・・・、いえ・・・今回のもう1人の共犯者と言うべきでしょうか・・・」
桃子「!!」
美雪「河原先輩はワザと貴女を見逃して、上手くまとめていましたけど、やっぱり不自然な点があったんですよ・・・」
桃子「ど、どういう事かな?美雪ちゃん・・・」
美雪「まず、誰が偽造の解剖記録を作ったか・・・。それと、私を誘拐して釈放したあの誘拐犯は誰か・・・」
桃子「それは、大林さんと殺害された鑑識課の人が・・・」
美雪「いえ、鑑識課に共犯者はいません・・・。そう見せかける為に殺されただけなんです・・・」
桃子「で、でも・・・私は・・・」
美雪「貴女は大林警部も含めて、他の調査員に解剖記録を配っていましたよね?」
桃子「だから、共犯だって言うの!?動機は何?私に動機はない筈よ!」
美雪「動機ならありますよ。大林警部と同じ動機です・・・」
桃子「え!?」
美雪「貴女の事を調べさせてもらいました。本名、桐谷桃子・・・。結婚前の旧姓は大林桃子!!」
桃子「!!」
美雪「貴女は本当は大林警部の娘さんだったんですね?」
桃子「・・・そうよ・・・。私の母はあの男の所為で自殺したの・・・」
美雪「貴女達の目的は初めからお金ではなかったんですね・・・?」
桃子「えぇ、お金なんて親バカの警視総監相手ならいくらでも脅迫出来るからね・・・」
美雪「とりあえず、あの田沼警部を殺害し、その罪を最も掛けやすい紅蓮くんを選択した・・・」
桃子「・・・まさか、私の事は気付いてないと信じてたんだけどなぁ・・・。ぬかったわ・・・」
美雪「まぁ、大林警部の自供でも貴女の名前は出て来ませんでしたからね・・・」
桃子「もういいでしょ、周りの隠れている警官に捕まえさせれば?」
美雪「いえ、警官は誰も隠れてませんよ」
桃子「え?」
美雪「ここにいるのは私達2人だけです。気になるなら、調べてもいいんですよ」
桃子「どういう事!?」
美雪「はい?」
桃子「殺人犯の共犯者を告発した癖に周りに警官がいないですって!?どういうつもり?私は逃げる事もまた、貴女を誘拐する事も出来るのよ」
美雪「私は警官に捕まって欲しくないんです・・・。桃子さん、自首して下さい・・・」
桃子「じ、自首!?じょ、冗談じゃない!!」
美雪「どんな理由であろうと犯罪を犯したんですよ。貴女には自首して欲しい・・・。河原先輩が相手でもそうさせたかもしれません・・・」
桃子「ふざけないで!私は自首はしないわ!」
美雪「それでも、警察官なんですか!?貴女は!!」
バチン!!
美雪は桃子にビンタした。
桃子「!!」



美雪「民間の代表と言える人物でしょ、だからちゃんとして下さい!!民間人を裏切る真似はしないで下さい!!貴女は何の為に警察官になったんですか!?」
桃子「う・・・。そ、それは・・・」
美雪「復讐なんて考えないで・・・、もっと楽しく生きればいいじゃないですか・・・」
桃子「う・・・う・・・、うわぁぁああああああっ!!」
桃子は泣き叫んだ。そして、その後・・・。共犯者、桐谷桃子は自首し、この事件は完全に幕を閉じたのだった・・・。

完