平和な7月初旬・・・。
テニス部長「お願いします!今度の試合に出て下さい!」
バレー部長「いや、是非ともバレー部の助っ人で来て下さい!」
野球部長「何を抜かすか!彼女は男装してオレ達を優勝に導いてくれるのさ!」
空手部長「貴様ら、怪我したくなければ、彼女をオレに譲れ!」
相撲部長「何を言うでごわすか!彼女にはさらしをして相撲部の大会に出る権利が」
さくら「お姉ちゃん、また来たよ」
あすか「まったく・・・。あたしは何処の部にも入る気も手伝う気もないっての!」
部長達「そんなぁ・・・」
風紀6:吹き荒れる嫌な風。神崎姉妹と神崎亮。
生徒玄関近くを巡回しているあおいとまなみ。
あおい「いやぁ、平和になったねぇ」
まなみ「リョウちんもカイちゃんも仲直りして1週間経ったしね」
あおい「あの暴走が薬になったみたいで逆にそういう騒動が減ったんだね」
まなみ「特に、あおいちゃんの警戒心に裏でも悪さが出来ないって評判だよ」
あすか「ん?あおい?」
あおい「あぁ、あすかじゃん」
さくら「あおいちゃん、また巡回?いつもご苦労様ですねぇ」
あおい「まぁ、こないだみたいになる訳にはいかないからね」
彼女達はあおいの中学からの親友で、
ポニーテルの方は神崎あすか、スポーツ万能の女子。でも、筋金入りの不器用で家事は一切駄目。
ボブカットの方は神崎さくら、あすかとは正反対で家事全般が出来る。おっとりした女子。
この2人は正反対の性格をしているのに、何故か双子だとか・・・。
あすか「いやぁ、また今年もアレだよ」
あおい「アレかぁ・・・。あんたはこういうのだけには人気あるからなぁ・・・」
あすか「あんたも風紀委員じゃなければ狙われたかもよ。運動神経いいんだし」
あおい「だろうね・・・」
リョウ「お?委員長じゃん!」
そこに、リョウとカイがやってきた。
あおい「あ、カイくんにリョウ。物理の補修終わったんだ」
カイ「えぇ、遅くなってしまってすみません」
リョウ「ん?ところで、そこの2人は知り合い?」
あすか「・・・・神崎亮・・・」
リョウ「ん?」
あすか「あ・・・あたし用事思い出しちゃった、先に帰るね」
さくら「お・・・・お姉ちゃん!?」
あすか「いくよ、さくら」
あすかとさくらは帰っていった。用事なんてある訳ないのに・・・。
リョウ「・・・何だ?さっき俺の名前言われた様な・・・」
あおい「あんた、あすかと何かあったの?」
リョウ「へ?あすか?」
カイ「そういえば、君と彼女、面影が似てますね」
リョウ「ちょっと待てよ。何の事だ?」
あおい「え?知らないの?」
リョウ「いや、初対面だぜ、あの2人とは」
カイ「あの2人、あおいさんの中学時代の親友だったんですよね?」
あおい「うん。幼馴染ってやつかなぁ・・・」
リョウ「そいつと俺が似てるのか・・・」
カイ「そういえば、彼女達と苗字同じじゃないですか?」
あおい「あぁ、あの2人も神崎って苗字だったなぁ・・・。あんたの生き別れの姉とか?」
リョウ「う〜ん・・・。俺、小さい頃から家族と離れて生活してたからなぁ・・・」
あおい「そうだ、後でアルバム見せてあげようか?」
リョウ「お、いいねぇ。居候は家で簡単にそういう事出来るから便利だな」
という訳で家に帰った、あおいとリョウ。
あおい「あ・・・、そういえば・・・」
リョウ「ん?」
あおい「あんたが来てたら一度も部屋に入れてなかったよね」
リョウ「そういや、入った覚えないけど。女の子の部屋ってのは花とかの香水の匂いがキツイんだろうなぁ・・・」
あおい「う〜ん・・・。あたしはちょっと違うかな」
リョウはあおいの案内であおいの部屋に入る。
リョウ「な・・・何だ?」
リョウはあおいの部屋が女の子らしさの欠片もなかったのに驚いた。
あおい「あはは・・・。あたしってそういう香水のキツイ匂いってあんまり好きじゃないんだよね」
リョウ「というか、何か変わった匂いがするぞ?」
あおい「あぁ、コーヒーだよ」
リョウ「そういや、いっつもカフェオレ飲んでたなぁ・・・」
あおい「中学の時にカイくんが誕生日にくれたコーヒーメーカー。これで色んな味のコーヒー作ってたらハマっちゃってね」
リョウ「カイがねぇ・・・。ところで委員長ってカイの事・・・」
あおい「あぁ、あんたに一杯作ってあげるね〜」
リョウ「(誤魔化された・・・)」
あおい「あんたって、結構甘党だからこの”あおいブレンド32号”なんて飲みやすくていいんじゃない?」
リョウ「・・・(まぁ、いっか)。って32号っていくつあるんだ?」
あおい「とりあえず、76種類くらい組み合わせてみたよ。32号はゴウくんも好きだからあんたでも飲めるでしょ」
リョウ「ゴウの奴、見た目のワリに隠れ甘党だからなぁ・・・。そういや、委員長のお気に入りってどんなの?」
あおい「あんたには一口で駄目だと思うよ。苦いし」
リョウ「32号でいいです」
あおいはコーヒーを入れ、アルバムを出した。
あおい「ほい、コーヒー」
リョウ「あぁ」
ゴク・・・
リョウ「う、旨い」
あおい「甘党の為に作った奴だからね」
リョウ「それで?それが例のアルバムだな」
あおい「あぁ、一番古いの見る?中学1年春のあすかだけど」
リョウ「おぉ・・・」
リョウはあすかの写真を見て止まった。
あおい「どうしたの?」
リョウ「こ・・・こいつは・・・」
あおい「リョウ?」
リョウ「玄武・・・」
あおい「げ、玄武?」
リョウ「いや、俺小学校の頃妙な道場に住まされてさ。4人の小学生の門下生しかいない道場で、4人がそれぞれ四神獣の名前で呼んでたんだ」
あおい「四神獣って、確か・・・。玄武・白虎・朱雀・青龍だっけ?」
リョウ「あぁ・・・。それで、俺が青龍で、こいつは玄武って名が与えられたんだ」
あおい「じゃぁ、白虎と朱雀は?」
リョウ「白虎は今は知らんが、昔よく喧嘩したなぁ・・・。龍と虎は仲悪いし」
あおい「朱雀は?」
リョウ「・・・朱雀は3年で破門された・・・。あいつは暗い性格で小学生のガキでありながら人殺しをしちまってな。それを師匠にバレて破門だ」
あおい「じゃぁ、その玄武があすかだって事?」
リョウ「多分な・・・」
あおい「朱雀さん、今何やってるんだろうね・・・」
リョウ「さぁな。殺し屋でもやってるんじゃねぇの?あいつの事だけは考えたくないな・・・暗い過去を思い出すから・・・」
あおい「そっか・・・」
その頃、先に家に向かったあすかとさくらは。
不良生徒J「よぅ、綺麗なお嬢さん達、オレ達とお茶しねぇ?」
不良生徒K「帰りに美味しいモン御馳走するぜ」
さくら「本当?」
あすか「・・・・残念だけど、消えてくれない?」
不良生徒J「んだと?このアマ」
あすか「今、機嫌悪いの。怪我したくなかったら消えな」
不良生徒J「ふざけんなよ!えぇ?」
10秒後
不良生徒J「ぐふぅ・・・」
不良生徒K「ひでぶぅ〜」
ドザ
あすか「話にならないね、今度来る時はボスでも呼ぶんだね」
不良をあっさり片付け神崎姉妹は家に戻る。
さくら「ところで、お姉ちゃん・・・。さっきはどうしたの?」
あすか「・・・さくら・・・。あたし、父さんに口止めさせられた事があるの・・・」
さくら「そ・・・そうなの?」
あすか「あたし達は双子じゃなかったの・・・」
さくら「えぇ・・・!?まさか、あたし拾われっ子!?道理で性格が・・・」
あすか「違うわよ。あたしとあんたは姉妹だよ。でも、双子じゃないの・・・」
さくら「それはどういう・・・?」
あすか「三つ子よ」
さくら「三つ子!?・・・って事は3人目がいるの?」
あすか「それも男の子でね。さっき、あおいとメガネくんと一緒に男の子が1人いたでしょ?」
さくら「あぁ、居たね」
あすか「そいつがあたしの弟であんたの兄よ」
さくら「何で寄りにも寄って男の子が真ん中なの?」
あすか「それはただの偶然だけど・・・。父さんは小学校卒業時にあいつだけを疎外させたわ」
さくら「あいつって・・・」
あすか「神崎亮よ。あの時、道場で青龍って名が与えられた。あんたがお兄ちゃんとか呼んでた子よ」
さくら「って事は・・・あの人はあたしの本当のお兄ちゃんだったの?」
あすか「でも、修行だとか言ってあいつを京都の中学に通わせたの」
さくら「でも、何で今になってこっちに来たんだろうね」
あすか「・・・そもそも、父さんは・・・・」
さくら「お姉ちゃん・・・」
あすか「くよくよしたってしょうがないよね。あたし、心に決めたよ。あいつにあたし達の事を告白する」
という訳で翌昼休み。
あすか「おっす、あおい〜」
あおい「あぁ、あすか・・・。来ると思っていたよ・・・」
リョウ「・・・俺に用なんだな・・・」
あすか「えっと・・・」
さくら「そうだよ!あなたに告白したい事があるんだって」
リョウ「こ・・・告白!?」
美雪「!!」
あすか「誤解招く言い方しないでよ」
さくら「ごめん」
あすか「一緒に体育館裏まで来てくれる?」
リョウ「いいよ。俺も話が聞きたいと思っていた所だ」
あすか「ってな訳で彼借りてくよ」
あおい「了承〜」
あすかはリョウを連れて体育館裏へ行った。
美雪「神崎先輩、いつの間にあんな女性を・・・」
あおい「美雪ちゃん、告白ってのは全て恋って訳じゃないでしょ」
美雪「じゃぁ、あの人は何者なんですか?」
あおい「あたしの中学時代の親友だけど・・・」
美雪「それは知ってますけど・・・」
あおい「んじゃ、ちょっと覗きに行ってみる?」
美雪「河原先輩?」
あおい「正直、あたしもあの姉妹とリョウの関係が気になってたんだよね」
美雪「じゃぁ・・・」
あおい「カイくんいるし、こっちは何とかなるしね。行こうか」
美雪「志村先輩宜しくお願いしますね」
カイ「いってらっしゃい」
つー訳で気になる3人を尾行するあおいと美雪。
あすかに連れられて体育館裏に来たリョウ。
リョウ「それで、君は俺に何の用なんだ?」
あすか「先に自己紹介するわね。あたしは神崎あすか、この子は妹のさくらよ」
さくら「ども〜」
あすか「神崎亮、あんた小学校の頃にある道場で暮らしていたよね?」
リョウ「あぁ・・・。すると、やっぱり・・・」
あすか「そう、その時の青龍があんた、玄武があたしよ」
リョウ「やっぱり、玄武だったか・・・。委員長いや河原に協力してもらって昔の写真見てもしやとは思っていたんだ」
あすか「でも・・・、それだけじゃなかったの・・・」
リョウ「どういう事だ?」
あすか「その道場であたし達4人が妹の様に可愛がっていた、家事役のおばさんのお手伝いの子覚えてる?」
リョウ「・・・あぁ・・・。確か・・・「むーちゃん」って呼んでたっけ?」
あすか「その「無」が、この子なの・・・」
さくら「ど・・・ども・・・」
リョウ「それで・・・?俺をここに呼んでそれで終わるつもりか?」
あすか「訳ないでしょ。これからが本題よ。あなたはあたしの・・・」
リョウ「・・・・・」
あすか「姉弟なのよ・・・。しかも3つ子・・・」
リョウ「3つ子だと?」
あすか「詳しく言うと、あたしが一番上であんたが2番目、そしてこの子が一番下よ」
リョウ「それで、俺が納得すると思ってるのか?」
あすか「当然、証拠はこの戸籍名簿。それから保険書」
リョウ「・・・ち。見事に真ん中だな・・・」
あすか「あなたは小学校卒業後京都に置かれ、あたし達は群馬で生活したわ。父さんの指示でね」
リョウ「わざわざ、実の兄妹をそんなに離れて生活させて何の意味があるんだよ」
あすか「詳しくは知らないよ。でも、あんたとあたし達を孤立させて修行させる為って言ってたわ」
リョウ「・・・ちょっと待て。さっきから聞いていれば親父の事を知ってる様に話してないか?」
あすか「まぁね。今は両親は両方ともいないけどね」
リョウ「そうか・・・。・・・・・!おい・・・」
あすか「やっと気がついた?」
リョウ「どういう事だ?俺は親父に呼ばれてここに来たというのに、親父は死んでる?」
あすか「3年前に京都で暴走した弟子に殺されたのよ・・・」
リョウ「じゃぁ、この手紙は誰が・・・・。って待て、弟子だと?」
あすか「あんたに黙っていたけど、あたし達の師匠の「神」が父親・神崎鬼五郎、そして家事役のおばさんは母親・神崎棗だったのよ」
リョウ「って事は小さい頃からずっと家族と離れて暮らしていたと思っていたが、6年も身近に生活してたんだな・・・」
あすか「ショックだった?」
リョウ「まぁな・・・。でも、俺の事を見捨てていなかっただけよかったと思ってる」
あすか「あたしも驚いたよ。絶対に会う事なかった弟に会う事になるんだから・・・」
リョウ「じゃぁ、俺を呼んだのは・・・」
あすか「多分・・・白虎だった男か、破門にされた朱雀のどっちかね」
リョウ「白虎と朱雀は知り合いじゃないのか?」
あすか「あの2人だけはあたし達の血縁じゃなかったからね・・・。本名も知らないわ」
リョウ「・・・で、どうしたいっていうんだ?弟と出会って一緒に暮らすっていうのか?」
あおい(・・・・)
あすか「残念だけど、ウチは女子寮でね、男子禁制なのよ。一緒には暮らせない・・・」
リョウ「そうか・・・。でも、俺は河原の家に居候してるし、会いたければいつでも会えるよな・・・」
リョウはあすかに自分の知らない現実を知り、ショックを隠せない様子だった・・・。
美雪(実の姉弟なら問題ないわよね)
あおい(・・・・)
リョウ「って、いつまで盗み聞きしてるんだ?」
リョウは最初から気配に気付いていた。
あすか「ん?」
あおい(やばっ!?)
リョウ「・・・委員長、美雪ちゃん・・・。聞いてたのか・・・」
あおい「よかったじゃん・・・。実の肉親に会えただけでも・・・」
リョウ「・・・あぁ・・・。委員長とあすかが親友じゃなければ知る事も出来なかったよ」
あすか「もう・・・、あおいあんたねぇ・・・。あたしがどれだけ秘密にしようとしてたか、意味ないじゃない!」
さくら「まぁまぁ・・・。ねぇ、リョウくん」
リョウ「何?」
さくら「あなたの事、『お兄ちゃん』って呼んでいいよね?」
リョウ「実の兄妹なんだ、構わないよ」
さくら「んじゃ、よろしくねお兄ちゃん」
あおい「それじゃ、あたし達はこの関係をちょっと知りたかっただけだし、もう用はないから戻るね」
美雪「姉弟水入らずで仲良くして下さいね」
リョウ「すまないな・・・気ぃ使わせて」
さくら「お兄ちゃんと食べようと思ってお弁当作ってきたんだよ」
リョウ「お!いいねぇ。そういやメシまだだったな・・・。折角だし頂くかな・・・」
リョウは生まれて初めて家族というのに関心を持つのだった・・・。
しかし、そんな平和も長くも続く保障はなかった。
その放課後の事・・・。
男子生徒C「さて、帰って塾行かなければ」
不良生徒L「うらぁ!」
男子生徒C「な・・・何をするんだ!?」
不良生徒L「邪魔なんだよクソメガネ」
男子生徒C「うわぁ〜んママァ〜ん」
あすか「!?」
さくら「お・・・お姉ちゃん、ベランダが不良っぽい男子に埋め尽くされてるよ」
あすか「出入り口を全て不良に塞がれちゃってるわね」
不良生徒J「神崎あすかはこのクラスだな?」
あすか「あれ〜?誰かと思えば昨日の・・・ザコじゃん」
不良生徒J「ボスあいつですぜ!」
ボスA「小娘じゃねぇか!」
あすか「うわ、デカ!」
そこに縦横2m近くの大男が入ってきた。
あすか「あんたがボス?ただのウドの大木だね」
ボスA「減らず口もそこまでだぜ、お嬢ちゃんよぅ」
あすか「ボス叩けば、他のも逃げるよねぇ〜であぁぁ!!」
ゴス
あすかはボスの顔面に蹴りを入れた。
ボスA「今何かしたか?」
あすか「へぇ、いいじゃん!タフな所気に入ったわ!」
そんな暢気なあすかにもピンチが訪れた。
さくら「いやぁぁぁああ!!お姉ちゃん〜!!」
不良生徒B「ひひひひひ!いい悲鳴が聞けそうだぜ」
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