逆転大王〜美浜弁護士の逆転〜
第1話 逆転の大王
「はぁ・・・はぁ・・・。くそっ!何であたしがこんな目に・・・」
生徒指導室・・・。
ゆかり「まったく、お話にならないわね。この程度で進級出来ると思ってるの?」
とも「・・・・・」
ゆかり「あんたやる気ねぇんなら辞めちゃえよ、学校・・・」
とも「う・・・う・・・・うわぁぁああああああああああああああああっ!!!」
・
・
・
とも「ち、違う!!あたしじゃない!!そんな人殺しなんて!!」
―4月20日 午前9時45分 地方裁判所 被告人第2控え室―
ちよ(い、いよいよ・・・あたしのデビュー戦が始まる・・・)
???「やぁ、今日の調子はどうだい?ちよちゃん」
ちよ「あ、所長!おはようございます!!」
小岩井「うんうん、調子いいみたいだな。結構結構・・・。初めての法廷で殺人事件を扱うって聞いた時はびっくりしたよ」
ちよ「え・・・えぇ・・・(出来れば、最初はもっとやりやすい事件がよかったんだけど・・・)」
小岩井「君をリクエストしてくれた依頼人も、いい度胸してるよな・・・」
ちよ「あ・・・はは・・・・。一応、高校時代の同級生だったんですよ。だから、友達として助けてあげたいなぁって・・・・」
???「あたしじゃない・・・・あたしやってない・・・」
小岩井「な、なぁ・・・あそこで念仏唱えてるのって、君の例の依頼人じゃないか?」
ちよ「は・・・・はぁ・・・・」
とも「あ、おはよ!ちよちゃん!!今日はよろしくお願いね!!」
ちよ「ともちゃん、被告人なのに元気ですね」
とも「・・・・はぁ・・・・」
ちよ「え?」
とも「・・・ちよちゃん、あたし。ちよちゃんを信じてるから!!絶対、無罪にしてよね!!」
ちよ「・・・えっと、その・・・。それは、ともちゃん次第で・・・・」
とも「ぜぇ〜ったい!!無罪じゃないとやだからね!!死刑とか勘弁してよね!!」
小岩井「え〜っと、君が依頼人の滝野さんだね。安心していいよ、もし何かあったら俺もいるしね」
とも「よろしくお願いします!!」
係官「被告人、弁護人。開廷のお時間です」
小岩井「じゃぁ、行こうか。ちよちゃん・・・」
ちよ(あたしは美浜ちよ、17歳。新米弁護士。今日の被告人、ともちゃんは高校時代の友達。性格はアレだけど、人を殺す様な子じゃない事はあたしが一番よく知っている。彼女を信じるんだ)
―同日 午前10時 地方裁判所第4法廷―
ざわざわざわざわざわ・・・
カツン!
ちよ父「これより、滝野智の法廷を開廷します。検察側、弁護側準備はよろしいですか?」
木村「検察側、準備完了しております」
ちよ「べ、べ、弁護側・・・じゅ、準備完了してます!!」
ちよ父「ぬぅ・・・。弁護人・・・美浜ちよさん。あなたは新人弁護士でしたね。ちょっと、緊張しすぎではないかな?」
ちよ「だ、だ、だ、大丈夫です!!」
木村「やれやれ、私程のベテラン検事がこんな幼い少女の面倒を見なくてはならんとは・・・ククク・・・」
ちよ(む、ムカツク人だなぁ・・・・)
ちよ父「あの、小岩井弁護士?」
小岩井「何でしょう?裁判長」
ちよ父「この事件の担当弁護人はあなただと聞いていたのですが・・・」
小岩井「私も最初はそのつもりでしたが、ちよちゃんは友達を思って自分で弁護をしたいと言ってきたのです。それに応えるのは先輩としての役目ですから・・・」
ちよ父「解りました、それでは木村検事。冒頭弁論をお願いします」
木村「事件は阿須魔高校の生徒指導室内で起こりました。被告人は被害者に呼び出されたようです」
ちよ父「ほぅ、呼び出された・・・。一体その理由は何なのですかな?」
木村「それは、この現場写真を見れば明らかでしょう・・・」
木村検事の取り出した現場写真には、殺害された谷崎ゆかりの死体が写っていた。
木村「この、被害者の手を見て下さい」
ちよ父「これは何かの紙切れの様ですが?」
木村「これは、テストの答案です。どうやら、試験の成績で何かトラブルがあったのでしょう・・・」
ちよ(うぅ・・・、ともちゃん・・・。動機もバッチリじゃないですか・・・・)
ちよ父「それでは、証拠品を受理しましょう」
<証拠品〜現場写真・1を法廷記録にファイルした>
小岩井「ちよちゃん、裁判ではこのように、新たな証拠品が提出されると法廷記録にファイルされます。Rボタンでいつでも見れるから、豆に確認しておくといいね」
ちよ父「ところで、死因は背後からの刃物による刺殺との事ですが、凶器はどのようなものなのですかな?」
木村「凶器はこの何処でも手に入る安物のカッターナイフです。授業の道具として、被告人は常に机の中にしまっていたそうです」
ちよ父「ですが、安物のカッターナイフでしたら、誰でも入手は可能ではないのですかな?」
ちよ「そ、そうです!!その程度だったら、あたしでも簡単に手に入れられます!!」
木村「まぁ、この手のカッターナイフならば、誰でも入手は可能でしょう」
ちよ(よかった・・・、これでともちゃんの容疑も・・・)
小岩井「・・・ちよちゃん、安心するのは早いんじゃないかな?」
ちよ「・・・え?」
木村「しかし、このカッターナイフには、はっきりと被告人・滝野智の指紋が残っていたのです!!」
ちよ「な、な、何ですってぇぇぇぇぇええええええええええ!?」
ちよ父「それでは、解剖記録と凶器を受理しましょう」
<証拠品〜解剖記録を法廷記録にファイルした>
<証拠品〜カッターナイフを法廷記録にファイルした>
ちよ「あぁ・・・、もう絶対絶命じゃないですかぁ・・・・」
小岩井「まぁまぁ、まだ落ち込むには早すぎるよ。審理はこれからなんだからね」
ちよ「はぅ・・・、所長は気楽でいいですね・・・・」
ちよ父「それでは、木村検事。証人を入廷させて下さい」
木村「それでは、まず。被告人・滝野智を入廷させましょう・・・」
ちよ父「ひ、被告人自身ですか!?い、いかがですかな、弁護人。被告人が証人になると、何かと不利になりますが?」
ちよ「弁護側には異議はありません。被告人を証人として認めます。(ともちゃんはやっていない!それを信じるだけです!)」
〜証人・滝野智に対する尋問〜
木村「それでは、証人。名前と職業を・・・」
とも「え・・・あ、はい!名前は滝野智です。職業は・・・・一応容疑者やらされています!」
ちよ父「あ、そっちじゃなくて、逮捕される前の職業でお願いします」
とも「あ、阿須魔高校の3年生です。ちなみに、あたし犯人じゃありませんから!!」
木村「ほほぅ、それでは、その理由について証言して頂きましょうか・・・?」
とも「いいですとも!!」
〜証言・無実の理由〜
とも「あたしは、阿須魔高校に通い始めて3年目になりますが・・・」
とも「谷崎先生を知りません!」
とも「犯人はどうせ、あたしの指紋がついたカッターナイフを使って刺したんです」
とも「あたしはそこにただ、居合わせただけなんですから!」
とも「そもそも、あんな英語教師。見た事も聞いた事もないんですから!!」
ちよ父「ほほぅ、被害者を知らない・・・ですか」
ちよ「よかったぁ、ともちゃんはこれで無実ですよね・・・」
小岩井「それはどうかなぁ・・・」
ちよ「・・・・え?」
木村「ククククク・・・、弁護人。忘れてはいませんかな?自分の仕事を・・・」
ちよ「え?え?」
木村「この証言に尋問をして頂きますよ」
ちよ「ど、どういう事ですか!!」
小岩井「弁護人には、証人を尋問する権利があるんだよ・・・」
ちよ「そもそも、尋問って何ですか?」
小岩井「尋問とは、証人の証言と証拠の間で矛盾を見つけて、その証拠を突き付けるんだ。証人がウソを付いていたり、勘違いをしていたりするからね」
ちよ「そ、そんな!!ともちゃんが、ウソを付いたって言うんですか!!」
小岩井「それは尋問してみないと解らないかなぁ・・・・」
ちよ(ともちゃんが、ウソを付いた!?そんなの信じられないですよ!!・・・あれ?でも、確か・・・)
とも「そもそも、あんな英語教師、見た事も聞いた事もないんですから!!」
ちよ(何で知ってるんだろ・・・)
小岩井「ちよちゃん、気になる事があったら、ゆさぶってみるといいよ」
ちよ「ゆさぶる?」
小岩井「細かくチマチマと聞く事によって何か口を滑らすかもしれないからね」
ちよ「解りました!!」
『待った!』
ちよ「ともちゃん、何で知っていたんですか?被害者が英語教師って・・・?」
とも「だ、だって・・・英語の教科書を持っていたじゃん!」
『異議あり!』
ちよ「・・・・・・・・・・・」
とも「・・・・・・・・・・・」
木村「・・・・・・・・・・・」
ちよ父「・・・・・・・・・・」
木村「な、何ですか!?この気まずい間は!!」
小岩井「どうしたんだい?」
ちよ「あ・・・えっと・・・その・・・・異議ありィィィイイイイイイッ!!」
ちよ父「それはもう聞き飽きました!!弁護人、反論があるならはっきりお願いしますぞ!」
ちよ「あ、す、すみません・・・。まだ不慣れなモノで・・・」
ちよ父「慣れて下さいね」
ちよ「は、はぁ・・・。えっと、ともちゃん」
とも「な、何だよ!?顔怖いよ、ちよちゃん」
ちよ「この写真に、英語の教科書なんて写ってないよ?」
とも「え!?だって、いつも英語の教科書持って授業してるじゃん!」
ちよ「・・・ともちゃん、確か被害者・谷崎ゆかりを偶然、殺害された所を目撃して知らない先生だったんだよね?」
とも「え・・・あ・・・えっと・・・」
バンッ!!
ちよ「ともちゃん!!よくも、よくもウソを付きましたね!!」
とも「え・・・え・・・うわぁぁぁああああああああああんっ!!ごめんなさぁぁあああああああい!!」
ざわざわざわざわざわ・・・・
小岩井「ちょ、ちょっとキツく言い過ぎじゃないのか?」
ちよ「いいんです!!これくらい言わないと!!」
木村「ククククク・・・いやぁ、素晴らしいですねぇ。美浜弁護士さん」
ちよ「な、何ですか?木村検事?」
木村「私のすべき仕事までして下さるとは、感謝しますよ」
ちよ父「ど、どういう事ですかな?」
木村「美浜弁護士は見事に立証して下さったのです!谷崎ゆかりと滝野智の関係について!!」
ちよ「げっ!!(や、やばい・・・強く言い過ぎた・・・)」
木村「ククク・・・、さて、それでは・・・。裁判長。現場写真の被害者の左手に紙が握られていますね」
ちよ父「お、本当ですねぇ」
木村「この紙切れはテスト用紙です。それも、被告人・滝野智のね!!」
ちよ「えぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええっ!!!」
木村「恐らく、被害者のダイイングメッセージでしょう。解剖記録にある様に即死ではありませんから・・・」
『異議あり!』
ちよ「ともちゃんは成績はアレだけど、人殺しなんてしない!!」
小岩井「あのね、ちよちゃん。もう少しマシな異議はないのかい?」
ちよ「うぅ・・・・」
木村「それでは、裁判長。テスト用紙を受理します」
<証拠品〜滝野智のテスト答案用紙を法廷記録にファイルした>
ちよ父「ほほぅ・・・。おや?」
木村「如何なさいましたか?裁判長」
ちよ父「94点ですか・・・、思っていたよりいい成績ですね・・・」
木村「恐らく、不正があったという事で谷崎ゆかりに呼び出されたのでしょう!!」
ちよ「きゃぁぁあああああああああああああああっ!!」
ちよ父「それでは、被告人。被害者との関係をもっと詳しく証言していただきましょう」
とも「うぅ・・・・・」
〜証言・谷崎ゆかりについて〜
とも「実は、ゆかり先生はあたしの担任なんです」
とも「ついでに、英語教師も兼任しています」
とも「ゆかり先生はひどいんです」
とも「あたしが成績がいいのはおかしいって・・・」
とも「あたしだってやれば出来るのに・・・」
ちよ父「コラ!被告人!!さっきと言ってる事が全然違うじゃないですか!!」
ちよ「し、しかも・・・被害者の生徒だったなんて・・・」
とも「ごめんなさい・・・、正直に話しても信じて貰えないと思って・・・」
木村「まぁ、この証言自体も怪しいですけどね・・・」
ちよ父「それでは、弁護人。尋問をお願いします」
〜尋問・谷崎ゆかりについて〜
とも「実は、ゆかり先生はあたしの担任なんです」
『待った!』
ちよ「た、担任!?じゃぁ・・・。最初のまったく知らないって言うのはウソだったんですね?」
とも「うぅ・・・、ごめんなさい・・・」
ちよ「ともちゃ〜ん・・・」
とも「ち、ちよちゃん!頼むから、そんな目で睨まないでよ!!」
ちよ父「まま、弁護人。そうカッカしないで下さい」
ちよ「・・・・・・・ギヌロ・・・」
ちよ父「わ、解りました!被告人、証言を続けて下さい」
とも「ついでに、英語教師も兼任しています」
『待った!』
ちよ「英語教師・・・ですか・・・」
とも「まぁ、性格はアレだけど、一応先生だからね・・・」
ちよ父「被告人、口を慎みたまえ!!」
とも「ひっ!す、すみません!!」
ちよ「やれやれ」
とも「ゆかり先生はひどいんです」
『待った!』
ちよ「そんな言い方しないで下さい!」
とも「だってだってぇ〜!!」
ちよ「だだっ子じゃないんだから、そういう甘え方しないで下さい!」
とも「あたしが成績がいいのはおかしいって・・・」
『待った!』
ちよ「・・・・」
ちよ父「どうしましたか?弁護人」
ちよ「いえ、矛盾しすぎていて突っ込み所が多すぎて、手に負えません」
ちよ父「では、次行ってみましょう!」
ちよ(クイズ番組じゃないんだから・・・)
とも「あたしだってやれば出来るのに・・・」
『待った!』
ちよ「やれば出来る?本当にそうなんですか?」
とも「し、失礼な!!あたしだってまじめにやれば94点くらい取れるんだよ!!」
木村「しかし、普段は赤点ギリギリだそうですね」
とも「うぐっ!」
ちよ(うぅ・・・黙っちゃっいましたよ・・・・)
カツン!
ちよ父「もう十分でしょう・・・」
木村「いかがですかな?裁判長」
ちよ父「被告人。はっきり言いましょう。あなたの証言は全く信用出来ません!!」
とも「えぇぇええええっ!!そ、そんなぁ・・・・」
ちよ父「偽りが多い上、動機もしっかりしている・・・」
とも「うぅ・・・・」
木村「さて、それでは前座はこの程度にしておきますかな・・・」
ちよ「ど、どういう事ですか!?」
木村「裁判長、検察側は決定的な証人を召喚したいと思います」
ちよ父「ほう、それは興味深いですね」
木村「その証人は、被告人が被害者と一緒に殺人現場にいる所を目撃しているのです!」
ちよ「な、何ですってぇぇぇぇぇえええええ!?」
ざわざわざわざわざわ・・・・
ちよ父「では、早速その証人を呼んで下さい」
木村「解りました。法廷係官、黒沢みなもさんを証人台へ・・・」
木村「それでは、証人。名前と職業を・・・」
にゃも「はい。黒沢みなもです。阿須魔高校で体育教師をしています」
ちよ父「ほう、被害者と同じ高校の教師ですか・・・」
にゃも「ちなみに、被害者の谷崎先生とは同期で、友人です」
木村「それで、にゃもさん。あなたは殺人現場を目撃したそうですね」
ちよ「な、何ですってぇぇ!!」
にゃも「はい・・・。今でも信じられません・・・。あんな酷い事が・・・」
木村「それでは、目撃した事を証言して頂けますかな?」
にゃも「解りました・・・」
〜証言・目撃したこと〜
にゃも「ちょうど、授業が終わって帰ろうとした時でした」
にゃも「偶然、私は生徒指導室の前を通りがかったんです」
にゃも「そこには倒れたゆかりと滝野がいました」
にゃも「そして、滝野はゆかりにナイフをそのまま刺したんです!」
にゃも「その瞬間を見て、私は急いで警察に知らせました」
ちよ父「ほぅ、それは随分と酷い有様だったんですなぁ」
ちよ(ともちゃん・・・、証拠だけでも怪しいっていうのに・・・。何でこんなにはっきり見られてるの!?)
ちよ父「それでは、弁護人。尋問をお願いします」
ちよ「は・・・はぁ・・・」
〜尋問・目撃したこと〜
にゃも「ちょうど授業が終わって帰ろうとした時でした」
『待った!』
ちよ「確か、犯行時刻は16時30分頃でしたね」
にゃも「間違いないわ・・・」
ちよ「随分と遅い授業だったんですね」
にゃも「ちょうど、マラソンの授業で1人足が遅いのが居てね。授業時間をオーバーしちゃったのよ」
ちよ「なるほど・・・」
木村「恐らく、弁護人の様に運動神経が悪そうだったんですね」
ちよ「な、何ですか、ソレ!?」
ちよ父「ふむぅ、それでは続けてください」
にゃも「私は生徒指導室の前を通りがかったんです」
『待った!』
ちよ「確か、授業はグラウンドでしたね?職員室とは反対側にありますが。何で、そちら側から」
『異議あり!』
木村「弁護人。別にどちらから入ろうが証人の勝手ではないのですかな?」
ちよ「それはどうでしょう?普通、人間は近い入り口から入るものです。何か理由がない限りは反対側から入らないでしょう」
ちよ父「それでは、弁護人はその理由が解るのですか!?」
ちよ「・・・・・・・・・・・・」
ちよ父「・・・・・・・・・・・」
木村「・・・・・・・・・・・・」
にゃも「・・・・・・・・・・・」
ちよ父「何ですか!?弁護人、根拠もなく空白の時間を作らないでください!」
ちよ「す、すみません!」
小岩井「ちよちゃん、もう少し情報を集めてみてはどうかな?」
ちよ(よし、もう少し情報を集めたらもう1度ゆさぶってみよう)
にゃも「そこには倒れたゆかりと滝野がいました」
『待った!』
ちよ「倒れたゆかり先生?証人、あなたが発見した時は既に倒れていたんですか?」
にゃも「間違いないわ。ゆかりが仰向けになって倒れていたの・・・」
ちよ「そうですか・・・」
小岩井「ちよちゃん、今の証言何か気にならないかい?」
ちよ「う〜ん、ちょっと気になりますね」
小岩井「証人、さっきの証言を修正してもらえますか?」
にゃも「いいですよ」
にゃも「そこにはゆかりが仰向けに倒れていて、滝野が立ちすくんでいました」
『待った!』
ちよ「仰向け・・・ですか?」
にゃも「えぇ・・・。どうやらナイフを刺す前に何か口論にでもなって滝野が押し倒したみたいね」
ちよ「そうですか・・・(うぅ・・・大して手がかりがないな・・・)」
小岩井「ちよちゃん、あまり俺に恥をかかせないでくれるかな?」
ちよ「え?(まさか、これが大きなヒント!?)」
にゃも「そして、滝野はゆかりにナイフをそのまま刺したんです!」
『異議あり!』
ちよ「ちょっと待って下さい!」
にゃも「な、何よ!?」
ちよ「黒沢先生は、仰向けに倒れた被害者を目撃したんですよね?」
にゃも「間違いないわ」
ちよ「そして、その後そのままナイフを刺したともちゃんを見たんですね?」
にゃも「それが何か?」
ちよ「何か?どころじゃありません!とんでもない見間違いですよ」
にゃも「え!?」
ちよ「この現場写真を見て下さい。被害者はうつ伏せに倒れていて、背中にナイフが刺さっています!」
にゃも「な、な、何ですって!?」
ちよ「さぁ、黒沢先生。この矛盾、どう説明するつもりですか?」
にゃも「うぐぐ・・・」
『異議あり!』
木村「そ、そんなの不当な言いがかりだ!」
ちよ父「私にはそうは聞こえませんが・・・」
木村「仰向けに倒れた状態でナイフを刺した後、再びうつ伏せに直して更にナイフを刺したと考えればよいのです!」
『異議あり!』
ちよ「それはありえません」
木村「な、何だと!?」
ちよ「弁護側には、それを示す決定的な証拠があります!」
ちよ父「ほう、それでは提出して頂きましょう。検察側の意見を覆す決定的な証拠とは?」
『くらえ!』(解剖記録)
ちよ「証拠はこの解剖記録です。背後から1箇所刺されて死亡・・・。傷口は背中の1箇所しかないんです!」
木村「う・・・・うきょぉぉおおおおおおおおおおおっ!!!」
ちよ「さぁ、どうですか!?証人!!」
にゃも「え、え!?ど、どういう事!?」
ちよ「被害者の死体には背中に1ヶ所しか傷口がないんです。何で仰向け倒れていたなんて言ったんですか!?」
にゃも「だって、それは・・・」
ちよ父「その理由を証言に付け足して頂きましょう」
にゃも「滝野は生徒指導室でゆかりと口論になってゆかりを突き飛ばしたんです」
『待った!』
ちよ「突き飛ばしたって事は、その時被害者は・・・?」
にゃも「そうね。確かに倒れてはいなかったわ」
ちよ「でも、何でさっきはそう証言しなかったんですか?」
にゃも「ごめんごめん、ただ忘れてただけよ」
ちよ「ご、ごめんですまされると思わないで下さい!」
にゃも「私、あの時。嫌な予感がしたからつい・・・」
ちよ「嫌な予感?折角ですから、証言に付け足してもらえますか?」
にゃも「いいわよ」
にゃも「ゆかりが滝野をこの間のテストの件で呼び出して、気になって見に行ったのよ」
『待った!』
ちよ「・・・・・」
ちよ父「どうしました?弁護人」
ちよ(どうやら、捕まえましたね・・・)
小岩井「どうやら、見えてきたようだね」
ちよ(この証言が真実なら、さっきの証言が穴ですね)
にゃも「私は生徒指導室の前を通りがかったんです」
『待った!』
ちよ「確か、授業はグラウンドでしたね?職員室とは反対側にありますが。何で、そちら側から」
『異議あり!』
木村「弁護人。別にどちらから入ろうが証人の勝手ではないのですかな?」
ちよ「それはどうでしょう?普通、人間は近い入り口から入るものです。何か理由がない限りは反対側から入らないでしょう」
ちよ父「それでは、弁護人はその理由が解るのですか!?」
ちよ「もちろんです。それは、さきほどの証言です」
にゃも『ゆかりが滝野をこの間のテストの件で呼び出して、気になって見に行ったのよ』
にゃも「・・・・あぁぁぁあああああっ!!」
ちよ「黒沢みなもは谷崎ゆかりが被告人を呼び出した事が気になって見に行ったのです。これは偶然ではありません!!」
にゃも「きゃぁぁぁぁああああああああああっ!!!」
ちよ父「黒沢みなもさん、あなたは思っていた程、決定的な証人とは呼べないようですな」
にゃも「な・・・何ですって・・・!?」
ちよ父「それでは、目撃したことについてもっと詳しくお願いしましょう」
〜証言・目撃したこと・2〜
にゃも「成績で口論になったのは本当よ」
にゃも「滝野が突き飛ばした後、ゆかりはポケットの財布を落としたの」
にゃも「あの財布は間違いなくゆかりのモノだわ」
にゃも「私がこの間お金を貸した時に取り出したんだから」
にゃも「あとは、うつぶせに倒れたゆかりに滝野がナイフを刺したの」
ちよ父「財布ですか・・・」
木村「現場写真にも写っています。この赤い財布でしょうね」
ちよ父「木村検事、この財布を提出して下さい」
木村「解りました・・・」
<証拠品〜ゆかりの財布(中身空っぽ)を法廷記録にファイルした>
ちよ父「それでは、弁護人。尋問をお願いします」
ちよ「はい」
〜尋問・目撃したこと・2〜
にゃも「成績で口論になったのは本当よ」
『待った!』
ちよ「何で、それが断言出来るんですか!?」
にゃも「だって、滝野の成績の悪さは有名だもの・・・」
ちよ「うぅ・・・」
にゃも「滝野が突き飛ばした後、ゆかりはポケットの財布を落としたの」
『待った!』
ちよ「財布ですか・・・」
にゃも「えぇ、間違えなくゆかりの財布だったわ。落とした時、小銭の音もしたし」
ちよ「小銭ですか・・・」
にゃも「まぁ、ゆかりは金貸したら返さないので有名だから・・・」
ちよ「はぁ・・・」
小岩井「裁判長、今の証言を修正してもらえませんか?」
ちよ父「いいでしょう、証言を修正して下さい」
にゃも「ゆかりが財布を落とした時、小銭の音がしたわ」
『異議あり!』
ちよ「あの・・・、あなたが言う財布はコレですよね」
にゃも「えぇ・・・」
ちよ「間違いありませんか?」
にゃも「それを間違える方がどうかしてるわ」
ちよ「そうですか!」
にゃも「な、何よ!?その不適な笑いは!?」
ちよ「裁判長、この財布の中身を見てください」
ちよ父「中身?この中身は空ですよ?それが何か?」
ちよ「それが既におかしいのです」
にゃも「な、何が言いたいのよ・・・」
ちよ「確か、被害者が財布を落とした時、小銭の音がしたと言いましたね?」
にゃも「えぇ・・・」
ちよ「しかし、この財布の中にはお金は1円も入っていないんですよ・・・」
にゃも「え・・・・?」
ちよ「小銭の音なんかする訳がないじゃないですか!!」
にゃも「きゃぁぁあああああああっ!!!」
ちよ「そういえば、証人・・・。あなたは、被害者はお金を貸して返さない事で有名でしたね?」
にゃも「そ、それが・・・それが何よ!!」
ちよ「そして、あなたもお金を貸した事があるそうですね・・・」
ちよ父「ま、まさか・・・弁護人あなたは・・・?」
ちよ「裁判長、弁護側はこの際告発します!」
ちよ父「こ、告発ですって!?誰を!?」
ちよ「黒沢みなも!!弁護側はあなたを谷崎ゆかり殺害の容疑で告発します!!」
にゃも「い・・・いやぁぁぁぁあああああああああああああああああっ!!!」
ざわざわざわざわざわ・・・・
カン!カン!カン!
ちよ父「静粛に!静粛に!静粛に!!弁護人、何か根拠でもあるのですか!?」
ちよ「もちろん、ありますよ!」
にゃも「う、ウソよ!!こんなのハッタリだわ!!」
ちよ「この財布です!」
木村「財布だと!?」
ちよ「この財布の中身はカラでした。しかし、あなたが事件を目撃した時は中身があった。つまり、あなたは被害者を殺害した後、財布から中身を奪い取ったのです!!」
『異議あり!』
木村「そ、そんなの不当な言いがかりだ!!財布が外から出たら、誰だって中身を盗みたくなる!!」
『異議あり!』
ちよ「検事さんがそんな事言わないで下さい!とにかく、動機もはっきりしています!金を返さない被害者を恨んで、ナイフを刺した!」
ちよ「そして、その罪を滝野智に着せる行為です!その日、滝野智は谷崎ゆかりに呼び出されました!そして、口論になって彼女を突き飛ばした」
ちよ「その一部終始を見届けていたあなたは、この関係は使えると思い彼女に罪を着せたのです!!そして、つい金を返さない被害者から財布の中身を奪った!!」
ちよ「そんな犯行が可能なのは、黒沢みなも!!あなたしかいない!!」
にゃも「やめてぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええっ!!」
ちよ父「!!」
木村「!!」
ちよ「・・・以上です」
ざわざわざわざわ・・・・・
カツン!
ちよ父「これで、すべてはっきりしました。滝野智の無実も・・・」
木村「そんな・・・この私が・・・新米に負けるなんて・・・」
にゃも「そんなの・・・ありえない・・・私じゃない・・・」
ちよ父「それでは、被告人・滝野智に判決を言い渡しましょう・・・」
『異議あり!』
ちよ「!!」
にゃも「!!」
木村「!!」
ちよ父「!!」
???「早過ぎる木槌・・・。カッコつきませんよ。裁判長・・・」
ちよ父「あ、あなたは・・・!?」
ちよ「あれ?あなたは何処かで・・・」
小岩井「おやおや、何しに来たんだ?大阪」
ちよ「お、大阪さん!?」
大阪「あ、小岩井先生。ちょっと、ごたついていたみたいなんで乱入したで」
ちよ父「何しに来たのですか!?春日弁護士!?」
大阪「にゃも先生、まだ解らないんですか?このまま自分の罪を告白しないと、あなたが殺人罪で告発されちゃうんやで?」
にゃも「え・・・・」
大阪「裁判長、その空の財布やけどなぁ・・・。さっき、鑑識から報告があったんやで。検事さんは黙っていたみたいやけど・・・」
木村「な、何なんだ!?」
大阪「その財布、皮製やな?」
ちよ父「確かに、そうですね」
大阪「皮には指紋が残るんやで」
ちよ父「あ!!」
木村「そ、そういえば!!」
大阪「鑑識からの調べでな・・・、その財布から2人分の指紋が出たんや」
ちよ「2人分?」
大阪「せや。1つは当然、谷崎ゆかりのやけど・・・。もう1つは証人、黒沢みなもの指紋がはっきり残っていたんや!」
ちよ父「な、な、何ですってぇぇぇええええ!?」
ざわざわざわざわざわ・・・・
カン!カン!カン!
ちよ父「静粛に!静粛に!静粛に!」
大阪「黒沢みなも!今、ここであんたが隠してる事を告白せぇへんと、あんたの罪は重なるで?」
にゃも「う・・・」
ちよ父「しょ、証人?」
にゃも「は、話します・・・。だから、私を信じて下さい・・・」
大阪「ほな、あたしは傍聴席に行ってますね」
〜証言・にゃもの自供〜
にゃも「実は、学校側から口止めされていた事があるんです」
にゃも「ゆかりが滝野を呼んだのは成績が悪いからじゃないんです」
にゃも「実は、滝野はこの間の試験で94点を出したのですが」
にゃも「滝野はある生徒の答案をカンニングしたらしいです」
にゃも「それが発覚して、ゆかりは滝野を呼び付けたのです」
にゃも「ついでに、ゆかりの財布からお金を全額取ったのは私です」
にゃも「でも、ただお金を返してもらっただけですから」
ちよ父「ほぅ、そういえば被告も言ってましたな。成績がいいのに呼ばれたと」
木村「やれやれ、被告はカンニングで高得点を取ったようですね」
ちよ父「それでは、弁護人。尋問をお願いしましょうか」
ちよ「は、はい・・・(くそぅ・・・、この証言。ウソがなさそう・・・)」
〜尋問・にゃもの自供〜
にゃも「実は、学校側から口止めされていた事があるんです」
『待った!』
ちよ「口止めですか・・・」
にゃも「学校の上層部から絶対に話すなと言われまして・・・」
ちよ父「それは何なのですかな?」
にゃも「ゆかりが滝野を呼んだのは成績が悪いからじゃないんです」
『待った!』
ちよ「あれ?でも、ともちゃんは赤点ギリギリの常習犯だったのでは?」
にゃも「そうだったんですけど、この間の英語の試験では違ったみたいです」
木村「まぁ、時には珍しい事もありますよ。ちなみに、私の妻はラブワイフ弁当を作り忘れた事はありませんぞ!」
ちよ(聞いてませんから、ソレ・・・)
にゃも「実は、滝野はこの間の試験で94点を出したのですが」
『待った!』
ちよ「94点って、結構高得点ですね」
にゃも「まぁ、そのお陰で不正が発見されたんですけどね」
ちよ父「ふ、不正ですと!?」
にゃも「滝野はある生徒の答案をカンニングしたらしいです」
『待った!』
ちよ「か、カンニングですって!?だ、誰の!?」
にゃも「それが、ゆかり以外は誰も知らないんです・・・」
木村「被告もその件に関しては一切口を閉じたままですね」
ちよ「うぅ・・・(何か証拠があればいいんですけど・・・)」
にゃも「それが発覚して、ゆかりは滝野を呼び付けたのです」
『待った!』
ちよ「理由はやっぱりカンニングですか?」
にゃも「はい。試験をやる上でカンニングは重罪ですから」
木村「試験はカンニングするわ、殺人はやるわ。最低な人間ですなぁ、滝野智は」
『異議あり!』
ちよ「ともちゃんは、悪い子じゃありません!!」
小岩井「ちよちゃん、もうちょっと弁護士らしい異議はないのかい?」
にゃも「ついでに、ゆかりの財布からお金を全額取ったのは私です」
『待った!』
ちよ「やっぱり、あなたが・・・」
にゃも「べ、別に窃盗じゃないわよ!だって・・・」
にゃも「でも、ただお金を返してもらっただけですから」
『待った!』
ちよ「だからって、勝手に取るのはどうかと思いますよ?」
にゃも「じゃぁ、一生返されないままってのを許していられるの?」
ちよ「そ、それはその・・・・」
にゃも「何よ!!はっきりしなさいよ!!」
カン!
ちよ父「そこまで、証人の罪ははっきりしました。殺人はやっていないようですね」
ちよ(う〜ん・・・、これでよかったのかなぁ・・・・)
木村「カンニングがあった事をはっきり言ってもらえれば、余計な罪を着る必要もなかったのに」
にゃも「すみませんでした。学校側から止められていたもので・・・」
ちよ父「すると、やはり・・・・」
木村「犯行が可能だったのは、被告人・滝野智以外ありえないという事ですな!」
『異議あり!』
ちよ「し、しかし!!ともちゃんは・・・」
『異議あり!』
木村「他に目撃者がいた訳ではないんですよ」
ちよ「うぐ・・・」
木村「裁判長、滝野智に有罪判決を!」
ちよ父「解りました!それでは、被告人・滝野智に判決を言い渡します!」
『異議あり!』
ちよ父「!!」
ちよ「!!」
木村「!!」
大阪「裁判長・・・、気が早いんやないですか?」
ちよ父「か、春日弁護士!?」
大阪「まだ1人、犯行が可能だった人物がおるで・・・」
ちよ父「な・・・」
木村「な・・・」
ちよ「何ですってぇぇぇええええええええええええええええっ!!!」
『異議あり!』
木村「何故、あなたが一番驚いているのですか!!」
小岩井「大阪、もしかして決定的な証拠でも見つけてきたのか?」
大阪「当然や!見つけて来たのは証人やけどな」
ちよ父「い、一体、誰ですか!?」
大阪「大山秀一。滝野智にカンニングされた被害者や!」
ざわざわざわざわざ・・・
ちよ「裁判長!大山秀一を証人として入廷させて下さい!」
ちよ父「カンニングの被害者ですか・・・。いかがしますか?木村検事」
木村「まぁ、いいでしょう」
カン!
ちよ父「解りました。それでは、これより30分の休憩に入ります。木村検事、証人の準備をお願いします」
木村「わ、解りました!!」
カン!
つづく
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