第1話:逆転の大王 1回目法廷・後編
 
―同日 午後1時32分 地方裁判所被告人第2控え室―

ちよ「あ・・・あぶなかったぁ・・・」
小岩井「何の真似だ?大阪。あのまま君が来なければ、被告人は無罪になれたんだぞ」
大阪「そういう訳にも行かないやろ。小岩井先生」
小岩井「やはり、君は俺のやり方にいささか不満があるようだな・・・」
大阪「にゃもさんの偽証を隠したまま無罪というのは後味が悪いもんやしね」
小岩井「まぁ、いいだろう。後は君に任せるよ。俺は傍聴席に行って待機していよう」
ガチャン!
小岩井、退出。
ちよ「こ、小岩井さん、怒ってませんでしたか?」
大阪「あの人は無罪判決重視やからなぁ・・・」
ちよ「大阪さんは違うんですか?」
大阪「あたしは、大切なのは無罪判決よりも真実だと思うんや」
とも「ち、ちよちゃん・・・大阪・・・。あたしは、大丈夫だよね?」
ちよ「だ、大丈夫です!!」
大阪「それよりも、ともちゃん。何か隠してる事あるやろ?」
とも「え!?え!?」
ちよ「大阪さん?」
とも「う・・・、バレたか・・・」
ちよ「何ですって!?」
とも「実は、あの事件の日・・・」

ゆかり『お話にならないわね。カンニングなんてしていいと思ってるの!?』
とも『うわぁぁぁあああああああっ!!』
ドン!
ゆかり『きゃっ!』

とも「実はあたし、ゆかりちゃんを突き飛ばして、その時ゆかりちゃんは仰向けに倒れたんだ・・・」
ちよ「そうだったのですか・・・」
大阪「それをさっきの証人に見られたんやね?」
とも「多分、そうだと思う・・・。あ、あの、ちよちゃん」
ちよ「何ですか?」
とも「あたし、大丈夫だよね・・・?」
ちよ(うぅ・・・本当に突き飛ばしてたなんて・・・)
大阪「大丈夫や。その為に、大山君を連れてきたんやから・・・」
ちよ「ど、どういう事ですか!?」
大阪「ちよちゃん、これを受け取ってもらえるやろか」
<〜証拠品・大山のテスト用紙を法廷記録にファイルした〜>
ちよ「これが、ともちゃんがカンニングしたテスト用紙・・・・あ!」
大阪「意味が解った様やなぁ・・・」
ちよ「この端の血痕まさか!!」
大阪「・・・・ちよちゃん、この証拠品がこの法廷を結果に導く切り札や」
ちよ「大阪さん・・・」
法廷係官「被告人、弁護人。そろそろ時間です。入廷してください」
ちよ(これは重要な切り札ですね・・・)

―同日 午後2時2分 地方裁判所第4法廷―

ちよ父「それでは、これより審理を再開します。木村検事、証人の方は?」
木村「はっ、いつでも入廷の準備が出来ています」
ちよ父「それでは、入廷させて下さい」

木村「証人、名前と職業をお願いします」
大山「はい。大山秀一、阿須魔高校3年。被告の同級生です」
ちよ父「ところで、大山君。あなたは被告にカンニングされていたというのは本当なのですか?」
大山「僕自身は知らなかったのですが、どうやらそのようですね」
ちよ父「それでは、まずカンニングをされたことについて証言していただきましょう」
大山「了解しました」

〜証言・カンニングについて〜
大山「あの試験の日、僕自身も嫌な気配はしていました」
大山「しかし、試験中だったのでそれを確認出来ませんでした」
大山「下手に振り向けば、僕がカンニング犯になってしまいますから」
大山「採点後、谷崎先生よりカンニングをされていたことを聞かされました」

ちよ父「ほぅ、やはりカンニングをされていたようですね」
木村「しかも、被害者もそれに気付いていたとは・・・」
大山「谷崎先生の話では、答案内容が同じだったそうです」
ちよ「では、あなたの試験の点数も、被告人と同じく94点だったんですね」
大山「間違いありません」
ちよ父「それでは、弁護人。尋問をお願いします」

〜尋問・カンニングについて〜
大山「あの試験の日、僕自身も嫌な気配はしていました」
『待った!』
ちよ「嫌な気配というのは?」
大山「妙な視線を感じた気がしただけで、特に意味はありません」

大山「しかし、試験中だったのでそれを確認出来ませんでした」
『待った!』
ちよ「試験中ですか・・・」
大山「えぇ、背後の視線を気にして振り向く訳にはいきませんからね」

大山「下手に振り向けば、僕がカンニング犯になってしまいますから」
『待った!』
ちよ「カンニング犯?」
大山「下手に見回せば、周りの答案が見えてしまいますから、誤解を受けてしまうと思います」
ちよ「それもそうですよね・・・(さっきから、あたしは何を聞いているんだろ)」

大山「採点後、谷崎先生よりカンニングをされていたことを聞かされました」
『待った!』
ちよ「被害者と会話をしたのですね?」
大山「えぇ、谷崎先生本人から聞かされました」
ちよ「その時、何かもめごととかありましたか?」
『異議あり!』
木村「これは誘導尋問だ!!」
ちよ「そうでしょうか?これには簡単に答えられます。違うなら「ちがう」と言えばいいだけですから」
木村「ぐむむ・・・・」
大山「・・・そうですね。特に揉め事はありませんでしたよ」

カン!
ちよ父「もう結構です。カンニングをされていた状況は解りました」
ちよ「大山さん、1つ質問していいですか?」
大山「何でしょう?」
ちよ「あなたは事件が起きた時、何処で何をしていましたか?」
『異議あり!』
木村「弁護人!あなたは先ほどの黒沢みなもの証言を聞いていたのですか!?」
にゃも『生徒指導室にはゆかりと滝野がいました』
大山「確かに、僕はあの時教室にいましたね。ちょうど忘れ物があったので」
ちよ父「ふむぅ、特に問題はないようですね」
『異議あり!』
大阪「裁判長、弁護側は大山秀一に新たな証言を要求します」
ちよ「お、大阪さん!?」
大阪「これからはあたしが助手席に立つで、ちよちゃん」
ちよ父「何を聞くのですか?春日弁護士」
大阪「谷崎ゆかりと会話した時の事を証言してもらいます」
ちよ父「解りました、よろしいですね?証人」
大山「仰せのままにいたしましょう」

〜証言・谷崎ゆかりとの会話〜
大山「谷崎先生に呼ばれた僕は、生徒指導室へ行きました」
大山「そして、カンニングをされたことについて言われました」
大山「そのカンニング犯が滝野さんだと聞かされただけでした」
大山「ただ話しただけですから、これと言ってトラブルはありませんでした」

ちよ父「なんと、あなたも殺人現場に行ったのですか!?」
大山「行ったと言っても、滝野さんが呼ばれる前ですので、もちろん生きてました」
ちよ(この証言、何か矛盾はないのでしょうか・・・?)
大阪「ちよちゃん、あたし達は知ってる。あの証拠品の意味する理由を・・・」
ちよ「大阪さん?」
大阪「彼は頭がよくて冷静な人や。だから、予想もしない矛盾をつついてみるといいで」
ちよ父「それでは弁護人、尋問をお願いします」

〜尋問・谷崎ゆかりとの会話〜
大山「谷崎先生に呼ばれた僕は、生徒指導室へ行きました」
大山「そして、カンニングをされたことについて言われました」
大山「そのカンニング犯が滝野さんだと聞かされただけでした」
大山「ただ話しただけですから、これと言ってトラブルはありませんでした」
『異議あり!』<つきつけ・大山のテスト用紙>
ちよ「・・・大山さん、おかしいと思いませんか?」
大山「何がです?」
ちよ「カンニングの被害者という理由だけで、法廷に呼ばれたか」
大山「何か理由でも、あるのですか?」
ちよ「もちろんです!裁判長、このテスト用紙を見て下さい」
ちよ父「これは、証人・大山君の答案用紙ですか・・・・」
木村「証人の答案用紙が何だと言うのだ?」
ちよ父「ちょっと、コレ!!何か付着していますぞ!!」
木村「何ですと?」
ちよ父「これは・・・答案用紙の端に血痕が付着しています!!」
大山「な、何だと!!バ・・・バカな・・・!!何故、何故キミがそんなものを持っているのだ!!」
ちよ(な、何?表情が変わった?)
大山「ありえぬ!こんな証拠など!!・・・その証拠はニセモノだ!!」
大阪「・・・何でニセモノだと?」
大山「だって・・・その・・・。答案ならぼくが保管しているからだ!」
大阪「・・・だったら、今この場で提出してみて下さい・・・」
大山「こ、これは・・・プライバシーの侵害だ!!そもそも、それが僕の名前があって同じ答えなだけでねつ造されたものかもしれぬ!!」
『異議あり!』
大阪「それは、もう通らんで。大山くん」
大山「な、何だと!?」
大阪「この答案用紙は既に鑑識官による調査が済んでいるんや」
ちよ父「な、何ですって!?」
大阪「これがそのデータです。筆跡鑑定の結果、大山秀一本人で間違いないし、血痕は谷崎ゆかりのものなのです!」
ちよ父「な、何ですってぇぇぇぇええええええええっ!!」
ざわざわざわざわ・・・
カン!カン!カン!
ちよ父「静粛に!静粛に!静粛に!従えない者には退廷を命じます!」
『異議あり!!』
大山「そもそも、その紙切れが何だと言うのだ!!」
大阪「どういう意味や?」
大山「たとえば、谷崎ゆかりが添削中に怪我をして血痕が付着したとか、いくらでも考えは付く!」
ちよ(無茶苦茶な発想ですねぇ・・・)
『異議あり!』
大阪「それはどうやろか。あたし達弁護士は、たった1枚のこの紙きれだけで真相に近付ける事が出来るんやで!」
ちよ「ど、どういう意味ですか?」
大阪「ちよちゃん、この答案用紙と現場写真を見比べてみるとええで」
ちよ「・・・あ!」
ちよ父「どうしたのですか!?弁護人!!」
ちよ「答案用紙の矛盾がこの現場写真に隠れています!」
ちよ父「何ですって!?」
大山「バカな!!解る訳がない!!」
ちよ父「それでは、示していただきましょう。この答案用紙が示す答えとは?」
『くらえ!』<現場写真の途切れた血痕>
ちよ父「こ、これは!?」
ちよ「見ての通りです。不自然に切り取れていていますね」
ちよ父「あ・・・・あああああああっ!!ま、まさか・・・・」
ちよ「そう、その場にこの答案用紙が落ちていて床のその部分に血痕が付かなかったのです!!」
大山「ば、バカな!!ありえぬ!!そんな・・・そんな事が・・・」
ちよ「では、どう言い訳するのですか?」
大山「その場所に棚とかあったとしたら、棚に遮られて血痕が床に付かないという事もありえるだろ!!」
『異議あり!!』
ちよ「そもそも、そんなものがあったら、警察の捜査ですぐに割れている筈です!!」
大山「うぐぐ・・・・」
ちよ「裁判長!!この状況を考えれば、明らかです!!」
『異議あり!』
木村「こ、これは・・・その・・・ふ、不当な言いがかりです!」
ちよ父「検察側の異議は却下します。弁護人、まさかあなたは・・・」
ちよ「弁護側はこの証人、大山秀一を谷崎ゆかり殺害の容疑で告発します!!」
大山「な、何だとぉぉおおおおおおっ!!」
ざわざわざわざわ・・・
『異議あり!』
木村「な、何を言うのだ!!彼が殺人なんてする生徒には見えない!!」
『異議あり!』
ちよ「人は見かけによりませんよ、木村検事」
ちよ父「検察側の異議は却下します。続けなさい、美浜くん」
ちよ「はい。あなたは、被害者を殺害後、焦った筈です。何せ、自分の答案に血が付着してしまったのですから!」
ちよ「そして、慌てたあなたは、自分の答案用紙を捨てたのです!」
木村「な、何ですとぉぉ!?」
大阪「この答案用紙はあたしが、廃止になった焼却炉の中で見つけたものや。あんたは、焼却炉が使えないのを知らなかった・・・。不運やね」
『異議あり!』
大山「ちょっと待て!確か凶器は滝野智のモノだ!それを僕が持ち出したとでもいうのか!?」
『異議あり!』
ちよ「確かに、凶器は滝野智のものです。しかし、これは安物のカッターナイフ。誰でも手に入れられます」
『異議あり!』
大山「それはありえん!凶器には滝野智の指紋が付着していたんだぞ!!彼女から奪って使ったというのか!?」
ちよ「え・・・・?」
大山「どうやら、自分の無茶な推理の穴が出たようだな・・・」
ちよ父「どういう事ですかな?」
大山「簡単な事だ、こいつには滝野智が所有するものだ。それを無断で借りるなんて行為はシロートに出来る筈がない!」
ちよ「う・・・・きゃぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!!!」
ちよ(せっかく、ここまで・・・ここまで、こぎつけたというのに・・・。こんなところで逆転されちゃうのですか!?)
『異議あり!』
大阪「それはどうやろか、滝野智の証言を思い出して下さい」
とも『カッターナイフなら、いつも机の引き出しにしまってあるから、無断で持ち出すくらいなら誰でも出来ると思う』
ちよ「机の引き出し・・・・。あぁぁあああああああああああっ!!」
ちよ父「どうしました?弁護人」
ちよ「大山秀一さん、お礼を言わせてもらいますよ」
大山「どういう意味だ?」
ちよ「答えは単純です。あなたの証言の中に隠れていた!」
ちよ『あなたは事件が起きた時、何処で何をしていましたか?』
大山『確かに、僕はあの時教室にいましたね。ちょうど忘れ物があったので』
ちよ「そう、あなたは滝野智と谷崎ゆかりが生徒指導室にいる間を狙って、カッターナイフを盗みだしたのです!」
ちよ父「弁護人、あなたには全て解ったのですか!?」
ちよ「勿論です。大山秀一は谷崎ゆかりと会話し、彼女に何らかの殺意を抱いたのでしょう」
ちよ「滝野智が呼び出されている隙に、彼女の机からカッターナイフを盗み出し」
ちよ「滝野智が谷崎ゆかりを突き飛ばして逃げていった後、起き上がった彼女の背後からナイフで刺したのです!」
ちよ「そして、自分の致命的な証拠になりそうなものは焼却炉に放り込んだ!如何ですか!?大山秀一!」
大山「ふっ、やりますね。美浜ちよ・・・」
ちよ「・・・・・・」
木村「・・・・・・」
ちよ父「・・・・・」
大山「・・・・・・」
ちよ「・・・・あの、それで?」
大山「?」
ちよ「「?」じゃないですよ、つまりあなたは認めるのですね!谷崎ゆかりをカッターナイフで刺した事を・・・」
大山「・・・さぁな・・・。それがどうかしたか?」
ちよ「な、何ですって!?」
大山「確かにアンタは、長い物語を語った・・・。しかし、裁判長。あなたも既に解っているんじゃないですか?弁護士の主張に何の意味がない事が」
『異議あり!』
ちよ「な、何を言ってるんですか!!こんな状況、誰が聞いたって明らかでしょう!!」
ちよ父「弁護人、「誰が聞いても明らか」というのは、この法廷では無力なのですよ」
ちよ「な、なんですって!?」
大山「弁護士さんよ。アンタが提出した証拠は全て、状況証拠だけだ」
ちよ「じょ、状況証拠!?」
大山「この僕が谷崎ゆかりを殺害した決定的な証拠なんて1つもないじゃないか!!」
ちよ「ぐ・・・・・・きゃぁぁぁああああああああああああああああああああああっ!!!」
ざわざわざ・・・・
カン!
大山「やれやれ・・・善意の証人を犯人呼ばわりする弁護士か・・・。困ったお嬢さんだね」
ちよ父「弁護人、決定的な証拠を提出出来る用意はありますか・・・」
ちよ「うぐ・・・。あ、ありません・・・」
ちよ父「それでは、この証人の尋問はここで終わりという事になりますな」
ちよ(そんな、あたしの推理に間違いはない筈・・・。なのに、真犯人に逃げられちゃうなんて・・・)
ちよ父「それでは、この証人に対する尋問はこれにて終了したいと思います」
ちよ(ごめんなさい・・・ともちゃん・・・)
『待った!』
ちよ「!!」
大山「!!」
木村「!!」
ちよ父「!!」
大阪「弁護側には、この証人が犯人であるという決定的な証拠を提出する用意があります!」
ちよ父「な・・・」
木村「な・・・」
ちよ「何ですってぇぇぇぇぇええええええええええっ!!!」
『異議あり!』
大山「隣の君さ、下らないハッタリはやめて欲しいな」
大阪「おや?何でハッタリって解るん?」
大山「そこの弁護士が一番アタフタしていれば誰でも解るわ!!」
ちよ「え・・・?(そりゃ、あたふたしますよ!)」
大阪「ちよちゃん、今はピンチじゃないんやで。これは勝負時なんや、それにあたし達は既に全ての証拠を手にしている・・・」
ちよ「で、でも、この中に決定的な証拠なんて・・・」
大阪「先入観は捨てるんや。発想を逆転してみればいいんや。何で証拠が出たかではなく、事件が起きた事で出来た証拠を探してみるって事や・・・」
ちよ「・・・・逆転・・・・」
ちよ父「時間切れです。弁護人、その決定的証拠を提出して下さい」
ちよ「うぅ・・・。(やるしか、ないのですね・・・)」
『くらえ!』(突きつけ:カッターナイフ)
ちよ「これが決定的な証拠です!」
ちよ父「弁護人、それは被告のナイフじゃないですか!」
大山「これの何処が決定的なんだよ?僕と何の関係があるんだ?」
ちよ「もう1度、被告人・滝野智の証言を思い出して下さい」
とも『安物のカッターナイフだから、どこでも手に入ると思いますよ』
ちよ「”どこでも手に入る”これが重要だったのです」
大山「ど、どういう事だ!?」
ちよ「このナイフの柄を見て下さい!」
ちよ父「被告の指紋以外、何もありませんが?」
ちよ「それが既に異常なんです。刃を見れば奥までしっかり刺さっています」
ちよ父「あ・・・あああ」
ちよ「つまり、このカッターナイフの刃と柄は別のものだったのです!!」
大山「な・・・何だと!?ば、バカな・・・どういう意味だ!!」
ちよ「これだけ深く刺さったのです。柄にも返り血が付いている筈ですよね。しかし、この柄には何もついていない!!」
大山「うぅっ!!」
ちよ「つまり、谷崎ゆかりが殺害された後、柄を付け替えられたのです!!」
ちよ父「な、何と!!」
ちよ「それが可能だったのは、ただ1人!!大山秀一、あなた以外ありえないのです!!」
大山「うぐぐ・・・・うぅぅぅぅぅぉぉぉおおおおおおおおおっ!!谷崎ゆかりィィイイイイイイイイッ!!ォォォォオオオオオオオオオオオオヲヲヲヲヲヲヲヲッ!!」
ちよ「以上です・・・」
ざわざわざわ・・・・・
大山「認めぬ!!あんなクズ教師など!!断じてあってはならないッ!!」

大山「ど、どういう事ですか!?」
ゆかり「まぁ、カンニングしたともが一番悪いのは確かだけど、隙だらけのあんたにも問題があるって事よ」
大山「な、何だと!?」
ゆかり「あんたにともを訴える権利はねぇっつーこと。つーか、面倒ごと持ち込んでくるなよ。処理面倒なんだから・・・」
大山「・・・・っ!」
ゆかり「面倒だし、ともの奴も反省してるみたいだから、そのままあの点で採点していいかな〜っと」
大山「ふ、ふざけるなぁぁぁああああっ!!うぉぉおおおおおっ!!!」

大山「・・・世の中、犯罪者が救われて、被害者が救われない事が多いなんて不公平だな・・・」
ちよ「あなたがやったことも犯罪だったのです」
大山「美浜ちよ!」
ちよ「え?」
大山「僕は、今日君と対決出来て楽しかったよ・・・。暇があったら、面会に来てくれよな・・・」
ちよ「大山くん・・・」

カン!
ちよ父「そこまで、木村検事。大山秀一は?」
木村「は・・・はっ、緊急逮捕しました。谷崎ゆかりの殺害容疑です。本人も認めています」
ちよ父「よろしい!美浜ちよさん。君は新米でありながらよく頑張りましたね」
ちよ「あ、ありがとうございます」
ちよ父「それでは、被告人・滝野智に判決を言い渡します!」

無罪!

ヒュー!ヒューヒューヒュー!ヒューッ!!
カン!
ちよ父「それでは、本日はこれにて閉廷します!」

―同日 午後4時27分 被告人第2控え室―
とも「ありがとう!!ちよちゃん!!心の友よ!!」
ちよ「いえいえ、たまたま運がよかったんですよ!それに大阪さんのお陰で大山さんを逮捕出来たし」
大阪「あたしはちょっと助言をしただけで、本当に頑張ったのはちよちゃんやで。よぅ、頑張ったな」
ガチャ!
小岩井「おめでとう、ちよちゃん。これで合格だな・・・」
ちよ「しょ、所長!!」
小岩井「それと、大阪。君もよく、ちよちゃんをフォローしてくれた」
大阪「大切なのは真実ですから〜」
小岩井「それじゃぁ、俺とはもう会う事はないな・・・」
ちよ「え!?」
小岩井「俺は今日で弁護士を辞める事になったんだ・・・」
ちよ「な、何で所長が!!」
大阪「これは、ちよちゃんの卒業試験でもあったんや・・・」
ちよ「え?え?所長がいなかったら、あたしは・・・」
大阪「実はな、ちよちゃん。小岩井さんの弁護士バッチ剥奪は既に2ヶ月前に決定していたんや」
ちよ「な、何ですってぇぇえええっ!?」
大阪「今、付けているバッチはボール紙で作ったニセバッチなんや・・・」
ちよ「なんで、所長がそんな目に!?」
小岩井「ま、お楽しみはとっておく事さ。俺も翻訳家として再就職する事になってるしね」
ちよ「所長・・・」
小岩井「もう所長じゃないよ。明日からは、君が所長だ、ちよちゃん」
ちよ「え!?」
大阪「美浜法律事務所。もう準備は出来ているんやで!」
ちよ「あ、あたしが所長!?」
大阪「所長の美浜ちよに、副所長の春日歩。2人で経営する事になったんや。よろしゅうな」
ちよ「は、はいっ!よろしくお願いします!」
小岩井「じゃぁ、頑張るんだよ。2人とも・・・」

ちよ「こうして、小岩井所長は法曹界を去った・・・。彼が辞める理由は後で語られる事になるが、今はあたしには自分の事務所の所長として頑張る事しかなかった・・・」

おわり