「はい、ストップ!もう貴方は逃げられませ〜ん」
路地裏である賞金首をアヤは追いつめていた。
「何だ?お前らは?しかも野郎の方はまだガキじゃねぇか」
「賞金首、スカル・モルエットだな?覚悟してもらうぞ!」
アルフレッドは銃を向けた。
「行ける?アル君」
「俺1人で充分だ・・・」

Ep3. Careless

1

 アヤはアルフレッドを連れて、スナック・ローズガーネットへやってきた。
「ここは・・・?酒場か?」
「うん、そうね。ただ、ここに来る客の殆どが賞金稼ぎなんだけどね・・・」
「何だそれ?賞金稼ぎ達でパーティーでもするのか?」
アルフレッドは意味が解らず、ありえない事を言っていた。
「いやぁ、流石にパーティーはないかなぁ・・・」
アヤは失笑しながら、答えた。
「ここはね、賞金稼ぎの力量に応じて、賞金首を勧めてくれる人がいるのよ」
「賞金稼ぎの力量に応じて?そんな人がいるのか・・・」
「そうねぇ・・・。実際、賞金首の金額をパッと見ただけじゃ、どれだけ強いか解らないでしょ?」
「まぁ、確かに・・・。そりゃそうだな・・・。金額が高ければ強いというのは解るけど・・・」
「それをアドバイスしてくれる人がいるって事なのよ。それも元賞金稼ぎでね・・・」
「おぉ!それは凄い!是非、会ってみたいもんだな・・・」
そう楽しみに中に入ってみると、中には既に賞金稼ぎが手配書を手にしていて、中には酒を飲んでる者もいる。
「あらぁ、アヤちゃんじゃない!」
金髪のセクシーでナイスバディーのお姉さんがアヤに話し掛けてきた。
「どうも、ミレリィさん。新人の賞金稼ぎの子を連れてきましたよ」
「アヤ、このお姉さんが、その元賞金稼ぎだったって人なのか?」
「そうよ、ミレリィ・ガーネットさん。あたしも結構世話になってるから・・・、アル君も覚えておくといいわ」
アヤはそう言い、ミレリィにアルフレッドを紹介した。
「ふぅ〜ん、この子がそうなのね?アヤちゃん、この子随分若く見えるけど・・・」
ミレリィはアルフレッドの幼さに心配して、アヤに話し掛けた。
「彼はまだ13歳ですけど、充分腕の立つ賞金稼ぎになると思い、あたしが育ててきた愛弟子です。問題はないと思いますよ、ミレリィさん」
アヤはミレリィを説得にかかった。
「そう・・・。アヤちゃんが言うなら間違いはないわね。但し、本当に腕が立つかは実績で見せてもらうわよ」
「流石はミレリィさん!そうこなくっちゃ!」
ミレリィは、壁から1枚の手配書を引っぺがすと、それをアルフレッドに突きつけた。
「条件はコレ。スカル・モルエット、28歳。賞金首1万ドル。彼を無事に捕獲して賞金を貰ってきたら、この子の出入りの許可と賞金稼ぎとしての認識を改めるわ」
アルフレッドはミレリィに突きつけられた手配書を手に取り、不敵な笑みを浮かべた。
「なるほど、1万ドルならそれほど高くないし、小手調べには丁度いいな・・・。いいぜ、ミレリィの姐さん!その賭け乗りましょう」
アルフレッドは乗り気で外に出ようとすると、ミレリィは引き止めた。
「ちょっと待ちなさい。条件はもう1つあるわ」
「え?」
ミレリィに呼び止められたアルフレッドは振り返った。
「もう1つの条件は、君1人でアヤちゃんの助けなしでやる事!」
「み、ミレリィさん?」
「当然でしょ?この程度の相手ならアヤちゃんなら1人で片付けちゃうもの・・・」
「わ、解りました・・・」
アヤはミレリィの出したもう1つの条件を渋々飲み、2人は出た。

2

 アルフレッドとアヤはミレリィからの情報で聞きだした目的地に到達した。そこは、ラスベガスの街をちょっと外れたスラム街の路地裏。いかにも犯罪界の連中が潜んでいそうな空気が漂う場所・・・。
「ミレリィの姉御が言うのはこの辺りだよな?」
アルフレッドはアヤを路地裏の入口に置き去り、そのまま奥へ入って行った。すると、その奥には廃工場があり、賞金首・スカル・モルエットはそこを根城にしている。
アルフレッドは気配を殺しながら中に入っていくと、廃工場の奥でスカルは酒を飲んでいた。
「スカル・モルエットだな?」
「何だ?小僧?俺に何か用か?」
スカルは加えていた酒の瓶を木箱の上に置き、立ち上がった。
「お前の首にかかった賞金・・・もらい受けるッ!」
アルフレッドは銃を構えて、言い放った。すると、
「ぎゃはははははっ!!おいおい、マジかよ?このガキ!そんな玩具の銃でこの俺様の首を取るだと?いやぁ、笑わせてくれるじゃねぇか!!」
スカルは突然、バカ笑いをし出した。当然だ、自分の首を取りに来たのがまだ13歳の幼い少年なのだから。
「悪い事は言わねぇ、ボウズ。オジサンがキレる前に帰りな。玩具の銃振り回して怪我なんて、したかねぇだろ?」
「フッ、やっぱり、この歳だと甘く見られやすいか・・・良く言ったもんだなぁ・・・。だが、油断は禁物だぜ・・・スカルのオッサン・・・」
そう、アルフレッドは呟き、1発発砲した。すると、スカルの右肩を貫通し、背後の木箱を貫いた。
「ぐはっ・・・。て、てめぇ・・・このクソガキィィィィィイイイイイイイイイイイッ!!」
スカルは逆上し、アルフレッドに向かって襲いかかった。しかし・・・
「・・・単純だな・・・」
アルフレッドはスカルの隙を見逃さず左の膝を冷静に撃ち抜いた。
「ぬおっ・・・」
「・・・子供だと思って甘く見過ぎたな・・・」
スカルはバランスを崩し、その場に膝を付いてしまった。そこに、アルフレッドはすかさず近付き、至近距離でスカルの額に銃を突きつけた。
「お、おい・・・待て・・・こ、殺さないでく・・・・」
アルフレッドはスカルの最期(?)の一言を聞かずに発砲した。すると、スカルはその場で倒れて気を失った。
「麻酔弾だ・・・。寝てろ・・・」
アルフレッドは銃を下ろし、目付きが緩んだ。そこに、入口を塞いでいたアヤがアルフレッドの前にやってきた。
「さすがはアル君だね・・・。1万ドル程度の相手なら、1人でも余裕だね・・・」
「教育者がいいからな・・・」
「っ!!こ・・・こんのマセガキ〜!」
アヤは顔を桜色にして照れながらアルフレッドに掴みかかった。
これが、アルフレッド・サイファの最初の任務だった・・・。

3

 アルフレッド・サイファが賞金稼ぎを始めて3年の月日が流れた。アルフレッドは13歳という若さで次から次へと賞金首を倒し、遂には1000万ドルの賞金首の逮捕まで成功する程の腕になっていた。その頃から彼は周囲から“レッド・ウルフ”というあだ名を付けられるようになり、アヤと組んだ“最強の紅白コンビ”として有名になっていった。そんなある日のことだった。
「やぁ、アル。3年ぶりだね・・・」
スナック・ガーネットでアヤと2人でお茶をしていたアルフレッドの前に出てきたのは、孤児院に入る前からの親友のケインだった。
「お前、ケインじゃねぇか!どうしたんだ?」
アルフレッドは久し振りの親友との再会を喜んでいた。
「ケイン君はね、君が出て行った後、地道に訓練を重ねて賞金稼ぎをやれる程の力を身に付けたんだよ・・・・ね」
アヤはケインに向かってほほ笑んだ。
「そうだったのか・・・。凄いじゃないか!あの平和主義のお前が賞金稼ぎになるなんて・・・」
「はは・・・、僕はアルみたいに最初から素質があった訳じゃないから苦労したけど・・・ね」
ケインは頭を掻きながら、アルフレッドに褒められたのが嬉しくて、照れていた。
「でも、アルは凄いよ。13歳で賞金稼ぎになって、3年も負けなしで、二の名までもらってるんだろう?」
「まぁな・・・。だがな、お前だって、きっと俺に追いつけるさ・・・」
「ありがとう・・・アルフレッド・・・」
ケインとアルフレッドは拳同士をぶつけ合った。
「あら、アヤちゃんにアル坊、来てたの?」
店の奥からミレリィが出てきた。
「あ、ミレリィさん。おはよ〜」
アヤはミレリィに明るく挨拶した。
「悪かったわね、私は元々朝は遅いわよ・・・。それより、ヤバい情報があるんだけど・・・」
ミレリィはあまり乗り気じゃない様な珍しい態度で言いよってきた。
「どうしたんだ?姉御」
「実は、あまり見せたくないんだけど、ヤバい手配書が出回ってるのよ・・・」
ミレリィはある手配書を差しだした。
「何これ?1億ドル?」
「お、おいおい、随分オーバーな金額だな・・・」
アルフレッドとアヤは飛び抜けた金額の賞金首に驚きを隠せないでいた。
「ギルティナ・ディルモンド・・・、こいつとやり合って帰ってきた事がないって有名な噂がある程やばい奴で、この1年でこいつに挑んだ賞金稼ぎが全員行方不明か、出てきても死体になってるって噂でね・・・。あんまり、この手配書は公開したくないのよね・・・」
ミレリィは珍しく表情を険しくして、暗い声で解説した。
「おぉ!こいつは凄いじゃねぇか!なぁ、アヤ!」
「う・・・うん・・・」
アルフレッドは悪い噂の内容で逆に挑戦意欲満々だが、アヤは少し怯え気味だった。
「なぁ、姉御!俺達でこいつを捕まえてきていいか?この間の奴以上の手応えのある相手だ、楽しみでならないぜ!」
アルフレッドが調子に乗って大胆発言をすると、ミレリィは険しい顔でアルフレッドを睨みつけた。
「調子に乗ってんじゃないわよ!子供の遊びじゃないのよ!アル坊、最近調子に乗り過ぎてて見てる方が怖いわ・・・。1000万ドルの賞金首を捕まえたからって、調子に乗るな!」
ミレリィは怒鳴りつけテーブルを叩いた。
「ま、まぁまぁ・・・、ミレリィさん、落ち着いて・・・。アル君を信じてみましょうよ。この子は10歳の頃から射撃の才能があったんです。だから、今度もきっと・・・」
「あ、アヤちゃんまで・・・!!いいわ、警告しておく!あなた達・・・コンビ解散した方がいいわ・・・。このままだと、共倒れになるのがオチよ・・・」
「な、何だとぉ?」
アルフレッドは立ち上がりミレリィを睨みつけた。
「この最強コンビを解散しろってどういう意味だよ!姉御!!」
「そのままの意味よ!アル坊は調子に乗ってて、アヤちゃんはそれに上乗せして・・・2人とも似た者同士過ぎるのよ!もっと冷静な判断が出来るしっかりしたのと組んだ方がいいんじゃないの?」
「俺もアヤもしっかりしている!大人ぶって偉そうなことを言うな!」
「何ですって!?このガキ!!」
アルフレッドとミレリィは次第に口喧嘩を始めていた。アヤはその間に入り、2人を止めに入った。
「やめてよ、2人とも。喧嘩したって仕方ないでしょ?」
「いや、でも・・・アヤ」
制止に入ったアヤに納得出来ないアルフレッドは反抗してきた。
「ミレリィさん・・・。もし、ヤバいと思ったら、賞金を諦めて逃げてきます。それでいいですか?」
アヤは静かにミレリィに語りかけた。
「・・・くっ!もういいっ!!勝手にしなさいよ!!どうなっても知らないわよ!!」
ミレリィは怒って店の裏へ行ってしまった。
「はぁ〜・・・レディってのは寝起きはご機嫌斜めってやつかね?」
「ミレリィさんって、まだアル君を認めてない処あるからなぁ・・・。まぁ、気にする事ないって・・・。行こう、アル君」
「ちょっと待って・・・」
ミレリィを無視して出掛けようとした2人の前にケインが立ちふさがった。
「何だよ?ケイン」
「アル、こいつを持っていってくれないか?」
ケインは小さなマイクの様なものを差しだした。
「これは、小さな無線機だ。本当に危なくなったら、これで呼んでほしい・・・」
「なんだよ?お前も姉御みたいに小心者なのか?」
「そうだね、僕は小心者だ・・・。だから、心配なんだ・・・。ガーネットさんがあれだけ怒鳴ったって事は何かがある気がする・・・」
ケインは沈んだ顔で下を向いた。
「・・・解ったよ。本当に危なくなったら、頼らせてもらう・・・。・・・使う機会があったら・・・だけど・・」
そう言い、アルフレッドはズボンのポケットに無線機をしまった。
「ありがとう、アル。気をつけて・・・」
2人はケインに見送られて出て行った。

4

ギルティナの屋敷でギルティナとアルフレッドが対峙していて、アヤは奥で倒れていた。
「ちっ・・・ど、どうなってやがる!!」
アルフレッドは血相を抱えていた。初めてだった、目の前の敵を相手に弾丸もまだ余裕で残っているのに焦っていた。
「どうしたんだい?賞金稼ぎクン?最初の勢いがないようだが?」
ミレリィが絶対に止めていた理由はこういう事だったのか・・・。相手が強すぎるというか、次元が違い過ぎた・・・。何故なら、両腕も両足も撃ち抜かれていて平然と立っていられるのだから・・・。
「アルフレッド、君はまだ銃の扱いが甘いな・・・」
ギルティナはアルフレッドに近付いていった。
「な、何をするつもりだ!?」
ギルティナはアルフレッドの握っている銃を自分の額に押し付けた。
「撃つなら、この距離でここを撃てばいいじゃないか・・・。さぁ、引き金を引きたまえ・・・」
「や、やめろ!!お、お前・・・正気か!?て、手を放せ!!」
ギルティナはアルフレッドの引き金に触れている指を押し、自分の額を至近距離で撃ち抜かせた。
「お、おい・・・冗談じゃねぇ!!何考えて・・・・・・・・って、え?」
ギルティナの額に当たった弾丸はそのまま体内に飲み込まれていった。
「そ・・・そんなバカな・・・」
「フフフ・・・君はまだ若過ぎたのだよ。私に会いに来るには・・・ね。賞金首の金だけを目当てに来たか・・・。私をよく知らずに来たのか・・・。もう少し、勉強しておくんだねぇ・・・」
「あ・・・・悪夢だ・・・こんな・・・こんな事が・・・」
アルフレッドはギルティナの恐ろしい能力に怯えて足が竦んで動けなくなっていた。
「確かに・・・貴方の言う通りだわ・・・。あたし達の勉強不足・・・ね」
アヤはボロボロになりながらアルフレッドとギルティナの間に入った。
「何だ?この死に損ない。まだ動けたのか・・・。私の闇魔術をまともに受けたというのに・・・」
「あたしはそこらの賞金稼ぎと鍛え方が違うのよねぇ・・・」
アヤはギルティナに笑ってみせた。これが、最後の悪あがきだった・・・。
「アル君、ちょっと後ろ向いててくれるかな?」
「え?」
アルフレッドは言われるがまま後ろを向いた。
「・・・・・バイバイ・・・。アル君・・・生きて帰って・・・ね」
「え?」
アヤはそう一言残し、アルフレッドの背中越しに大口径の銃の空砲で吹き飛ばし、屋敷の外に放り出した。
「あ・・・・アヤァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
アルフレッドはそのまま屋敷の崖から転落し、深い森の中へ消えていった。

5

アルフレッドが目を覚ますと、病院のベッドで寝ていて、天井を眺めていた。
「あ、あれ・・・?お、俺は・・・?」
「やぁ、おはよう。アル」
アルフレッドが起き上がると、そこにはケインとリリィ、それとミレリィが見舞いに来ていた。
「ど、どういう事だ?お、俺は確か森の中で・・・」
「アル坊、アンタ・・・ケン坊にお礼を言うべきね・・・。彼がいなかったら、こんな奇跡はなかったわよ」
「え?」
ミレリィは厳しい目でアルフレッドを見て言い放った。
「アルに出掛け際に渡した物があっただろう?あれは本当はGTS機能付きの盗聴機だったんだよ。それで、君の危険を察知して、GTSで場所を特定して森で気を失っていた君を助けだしたんだ・・・」
そう、ケインが語った様に、彼の冷静な判断で助けられたのだ。
「そうだったのか・・・。・・・そうだ、アヤは!?アヤは無事だったのか?」
「・・・・・・・・・」
3人はアルフレッドから目を逸らせた。
「まさか・・・アヤは・・・」
「・・・未だ見つかっていないんだ・・・。ギルティナの屋敷ごと消えてしまった・・・」
「な、何だって!?」
アルフレッドは考えてもいない事を聞かされ驚きを隠せなかったが、左程動揺はしていなかった。
「なるほどな・・・。あの屋敷自体があいつの作りものだったのか・・・」
アルフレッドは静かに語った。ギルティナの信じられない力について・・・。
「正直、1億なんてあいつには安過ぎるな・・・。弾丸を喰らっても体内に吸い込み、至近距離で弾丸を受けても無傷の化け物野郎で、しかも闇魔術なんてもんを使えるとんでもない化け物だったんだからな・・・」
「え・・・?」
ケインはアルフレッドからギルティナの特性を語られて驚いた。至近距離で弾丸を受けて無傷の化け物が存在していたという事実に。
「姉御・・・、ごめん・・・。アンタの言う通り、俺が調子に乗り過ぎた・・・。あんな化け物、手を出すべきじゃなかった・・・。手を出した所為でアヤは・・・・アヤは・・・・」
ミレリィはアルフレッドに近付き、額を指で突いた。
「今更謝ったって仕方ないでしょ!それに、アンタはやらなくちゃいけない事が出来たんだから・・・」
ミレリィは呆れた顔でアルフレッドに言った。
「まだ、死体が見つかってないなら生きている可能性だって、あるでしょ?それまで、もっと腕を磨いて、その化け物とやりあえる様になればいいんじゃないのかしら?アル坊はまだ若いんだから・・・そのくらいの余裕はあるはずよ。アヤちゃんを助けられるのはアンタしかいないんだから・・・」
ミレリィは優しい表情で説教をしてきた。だが、言っている事は最もだった。ケインの話通りならば、まだ希望がある。アルフレッドはその希望を胸に秘め立ちあがった。
「よし、俺やるよ。絶対に今より腕を上げて、またアイツと戦う・・・。そして、アヤを取り戻すんだ!」
「話は決まったね。アル、アヤさんが帰ってくるまで、僕と組まないか?」
ケインはアルフレッドに手を差し伸べた。
「アヤさん程腕は実力はないけど、君の力になりたいんだ・・・。幼い頃、両親を亡くした時に、僕達兄妹に孤児院の仲間達を紹介した君に借りを返したいんだ・・・。いいかな?アル」
すると、アルフレッドはケインの手を握り出した。
「あぁ、期待してるぜ・・・、相棒。・・・ったく、俺の方が借り作りまくっちったな・・・」
こうして、アルフレッドとケインは新たなコンビを組み、打倒ギルティナを目指し賞金稼ぎを続ける事になった。

6

「・・・と、そういう事があって・・・、俺はアヤに再び会う為にギルティナを追っているんだ・・・」
アルフレッドは自分の体験した現実をアヤの妹、サヤに語った。
「・・・そっか。まだ、生きている可能性があるんだよね・・・」
「あぁ・・・だから俺は今も諦めない・・・。まだ希望があるからな・・・」
アルフレッドは拳を握りしめ、外を見た。
「あのさ・・・アルフレッド・・・。あたし・・・アンタとケインさんと一緒に賞金稼ぎやっていいかな?」
サヤはアルフレッドを真剣な目で見つめて言った。
「勿論だ・・・。アヤの妹なら、大歓迎だ・・・。ケインの奴もきっとそう言うと思う・・・」
「そっか・・・じゃぁ、改めて・・・・よろしく、アルフレッド!いや・・・、アル!」
「あぁ、こちらこそ、よろしく頼むぜ!相棒」
アルフレッドとサヤは共に手を取り合った。
「そういう訳だから、相棒様に一ついいかな?」
「な、何だよ?改まって」
サヤは怪しい笑みを浮かべてアルフレッドに顔を近づけた。
「大掃除!!この部屋汚過ぎるよ、部屋の掃除したのいつ?」
サヤは真剣な顔でアルフレッドを睨みつけ、顔を指を突きつけた。
「え?・・・掃除?この部屋使ってから1年間1度もした事ないけど・・・?」
アルフレッドはきょとんとした顔であっさり答えた。すると、サヤは呆れてため息をついた。
「じゃぁ、食事は?いつも、どうしてるの?」
「メシはいつもファーストフードだけど?それが、何なんだよ」
サヤは頭を抱えて呆れかえっていた。
「・・・あんた、やっぱり姉さんの弟子丸出しだよ・・・」
サヤは哀れみの目でアルフレッドを見た。
「姉さん・・・包容力があっていい人みたいだけど・・・、手先不器用で家事とか全般苦手なんだよね・・・」
「そ、そういえば・・・あいつが料理した事見た事ないような・・・」
アルフレッドもアヤの欠点を思い出し失笑していた。
「とりあえず、夕方までに片付けちゃうから必要なモノは退かす様に!いいね!」
「・・・アヤと違って、家庭的というか・・・家政婦みたいな性格だな・・・」
アルフレッドはサヤの本性に苦笑いをしていた。

7

翌日、アルフレッドはサヤを連れてスナック・ガーネットにやってきた。ミレリィにサヤを紹介する為に・・・。
「ここがあの賞金稼ぎのたまり場なんだね。バラの香りが漂う洒落たお店だね・・・」
サヤは意外と綺麗な外見を見て干渉に浸っていると、アルフレッドは携帯電話を片手に渋い顔をしていた。
「ん?どうしたの?アル」
サヤはアルフレッドの様子がおかしいのに気付き尋ねると、
「いやぁ・・・ケインと昨日の晩から連絡が付かなくてな・・・。メールの返事も返してこないし・・・。あいつにしては珍しいって思って・・・」
そう言い、アルフレッドは頭を掻いた。
「まぁいいや。先に入っていようぜ、先に姉御に紹介しておくよ」
2人はケインを待つ事を踏まえて、先に店内に入った。
「よぅ、姉御!」
「あら、アル坊・・・ん?あらぁ〜?」
ミレリィは怪しいモノを見るような目でアルフレッドを見てきた。
「あらあら〜?アル坊、その娘・・・アル坊の彼女?」
「か、彼女ぉ!?」
アルフレッドとサヤは声を合わせて奇声を上げつつ赤面した。
「べべべべべ、別にそういうやましい関係じゃねぇよ!なぁ?」
「そそそそそそ、そうだよ!あたし達、そんな関係じゃないんですからね!」
2人は動揺しながらミレリィに突っ込んだ。
「ウフフ・・・冗談よ。それより、本当にどうしたのよ?」
「あぁ・・・、姉御に紹介しようと思ってな・・・。まだケインの許可は取ってないから正式って訳じゃないんだが、俺とケインの新しい仲間だ・・・」
「如月鞘です。よろしく・・・」
アルフレッドがサヤを紹介すると、サヤは丁寧にお辞儀をした。
「キサラギ?・・・アル坊・・・、もしかしてこの子・・・」
「あぁ・・・アヤの妹だ。まぁ・・・似てるのは顔だけだがな・・・。性格は真逆ってくらい正反対だがな・・・。包容力ねぇし、無愛想だし、可愛くねぇし・・・」
「悪かったね・・・」
アルフレッドの適当な言い方にサヤは少しカチンと来た。
「でも、アヤと違ってマメでプライドが高い上に、家事が家政婦並に出来て、料理も旨いんだ・・・」
「それ・・・誉めてるの?貶してるの?」
サヤはアルフレッドの紹介の仕方に文句をつけると、ミレリィは軽く笑い飛ばした。
「フフ・・・そうなの・・・。私から見たら、アル坊にはアヤちゃんよりその娘の方がずっとお似合いって感じよ・・・。それに、その娘・・・接し方を変えれば、きっとしっかりしたいい娘だと思うわ・・・」
「そういうもんかなぁ・・・」
アルフレッドはミレリィに言われた事がピンと来ず困っていた。そこに、店の扉を開ける一つの人影が店に入ってきた。
「いらっしゃ・・・・って、きゃぁ!ケン坊!?」
ケインがボロボロの状態で店内に入って来たのだ。
「お、おい・・・ケイン大丈夫か!!誰にやられた!?」
アルフレッドはすかさずケインを介抱すると、ケインは昨晩、自分の身に起きた事をアルフレッドに語った・・・。
「リリィが・・・誘拐された・・・」
「な、何!?リリィが!?一体、誰に!?」
「坂本龍牙とか言う日本人に・・・。僕が立ち向かったんだけど・・・全然叶わなくて・・・こんな・・・」
「さ、坂本龍牙!?」
サヤはその名前を聞き、何かを知ってるかの様に驚いた。
「サヤ、お前知ってるのか?その男について・・・」
「名前と噂だけだけど・・・。確か、日本の新撰組って大きい暴力団グループの裏切り者で、アメリカに逃亡したって聞いていたけど・・・。何でアイツがケインさんを?」
サヤは坂本という男の行為に疑問を感じていた。
「アル・・・頼む・・・リリィを・・・僕の妹を助けて・・・・」
ケインは力なく、親友に助けを求めてきた。
「当然だ、俺がリリィを助けだしてやる。だから、安心して待ってろ・・・相棒!」
「あぁ・・・すまない・・・アル・・・」
ケインの頼みごとを引き受けたアルフレッドは、突然店を出て行った。
「あ、待って!アル、あたしも行く!!」
そして、サヤもその跡をすぐにつけて行った


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