
シアトル郊外・・・。 この街の腐った悪党共に賞金を賭けさせ善意の協力者に逮捕を依頼した制度・・・。 『賞金稼ぎ』 今夜も街中の賞金稼ぎが出稼ぎをしている・・・。 「ハァハァハァ・・・、も、もう勘弁してくれぇ・・・」 そんな中、路地裏を必死で走る男が1人。 パン! その男からかなり離れた距離から銃声が聞こえた。 「な、バカな!?その距離から発砲だと!?・・・・ぐおっ!!」 逃げていた男は急に右足を痛そうに支え、苦しみ出した。 「そ、そんな・・・何故・・・」 「いやぁ、悪いね。ウチの相方はこう見えて結構な腕利きでね・・・」 金髪の優しそうな顔をした男が影から出てきた。 彼の名は、ケイン・スティール。賞金稼ぎの1人。そして・・・。 「おい、ケイン。こう見えて・・・っていうのは余計だ・・・」 更に後ろからもう1人の青年が歩いてくる。銀髪に赤い瞳をした赤いジャケットを着た青年。 彼の名は、アルフレッド・サイファ。レッドウルフの肩書を持つ賞金稼ぎのスナイパーだ。 Ep1.Humter 1 賞金を頂いて、見事任務を果たしたアルフレッドとケインは夕方の街中を歩いていた。 そんな中、ケインはアルフレッドに話し掛けた。 「いやぁ、アルは凄いね。あんな狭い路地裏の離れた距離から狙い通りの場所に当てちゃうんだから・・・」 「別に大した事はない・・・。厳しい修行を詰めばこれくらい出来る奴など、いくらでもいる・・・」 ケインが盛大に褒めると、アルフレッドはそっぽを向き少し照れくさそうに、謙遜するセリフを吐いた。 「あ、そうだ。知ってる?君の通り名」 「通り名?」 アルフレッドは知らないらしく首を傾げた。 「”レッドウルフ”って言ってるらしいね。正に君にぴったりなかっこいい通り名だと思うんだけどなぁ・・・」 「と、通り名なんて所詮は肩書だ。俺は自分の仕事をこなす・・・。それだけだ・・・。あまり茶化すなよ、ケイン」 アルフレッドは照れた顔を隠しつつケインを睨んだ。 「いやぁ、ごめんごめん。相変わらず君は堅い男だからね・・・」 ケインはアルフレッドの態度を見て空気を読み軽く謝った。 「謝る事はない。あまり調子に乗り過ぎると2年前の様な過ちを犯しかねない・・・。それが言いたいだけだ・・・」 「アル・・・君はまだ・・・彼女の事を・・・」 ケインは2年前の事を根に持っているアルフレッドを気に掛けた。 そんな2人の前に、1人の小さな金髪の少女が現れた。 「お兄ちゃ〜ん!」 「り、リリィ!」 リリィと呼ばれた少女はケインの手を掴んだ。この子はリリィ・スティール。ケインのたった1人の妹だ。 ケインの家は両親が既に亡くなっていて、妹と2人で暮らしている。 「どうしたんだい?リリィ」 ケインは突然現れたリリィに事情を尋ねた。 「偶然、夕飯の買い物をしてたら、お兄ちゃん達を見かけたから、声掛けただけだよ」 リリィは買い物カゴをケインに見せ、事情を説明した。 この通りは市場の様な商店街なので、買い物には絶好のポイントでもあったのだ。 「あ、アルフレッドさんも一緒にお夕飯は如何ですか?」 リリィはアルフレッドの前に立ち、明るく尋ねる。 「フッ、俺はいいよ。ケインと2人家族団欒を満喫してくるといい・・・」 そう言い、アルフレッドは滅多に見せない優しい表情をし、リリィの頭を撫でた。 「う、うん・・・。ありがとう、アルフレッドさん・・・」 リリィは嬉しそうな笑顔を浮かべ、アルフレッドの前を離れ、ケインの手を握った。 「じゃあ、今日はこれでお開きにしようか。アル」 「あぁ、また明日な・・・ケイン」 2人は別れの挨拶をし、別方向へ進んだ。 アルは1年前、両親を失い2人だけの家族になったケインを気遣っているのだ。 2年前に自分が大切な女性を失った時と同じ痛みを感じて・・・。 2 ジリリリリリリ・・・・!! 突然、美術館で警報が鳴り出し、警察官や警備隊が大急ぎで展示会場にやってきた。 「ミロカスの涙が盗まれただと!?」 美術館に飾られていた青い宝石が暗闇になった途端急になくなり、警官隊は騒ぎだてた。 「さがせー!近くにいる筈だ!!」 警官隊は必死に窃盗犯を探しまわったが、結局見つからなかった・・・。 問題の窃盗犯は、既に5kmも離れた場所の屋根の上を余裕のステップで走り込んでいた。 「まったく、最近の警備は手薄で張り合いがないなぁ・・・。これでもう7回目か・・・」 その場所を走っていたのは黒髪のショートカットに青いジャケットに紺のスカートを身に付けた日本人の少女だった。 彼女は如月サヤ。探しものをしに、渡米してきた日本人である。 「それにしても、今回の宝石は結構大物だなぁ・・・、売ったら結構な金額行くよ」 サヤは宝石を指紋が付かないように見つめた。 「これで、溜まったお金でいつか・・・お姉ちゃんに近づけるよね・・・」 サヤはそう胸に秘め、少し躊躇いつつ、美術館から離れていく。 金を貯める為にやむを得ず盗賊をやって心では冷静に割り切っているが、本当は盗みはやりたくはないのだ。 そんな時だった、 「あっ!」 「いてっ!」 サヤの足元で何か妙なモノを踏んだ感触がした。 「おい・・・屋根の上で寝ている人を踏んでワビもなしか?」 振り返ると、銀髪の男は立ち上がり、サヤを睨んできた。 「え?あ、あんたがこんな所で寝てるのが悪いんでしょ!」 サヤは一瞬、男の眼光にビビりつつ、意地を張って睨み返した。 「な、何ぃ?だいたい何でお前みたいな女がこんな所走ってるんだよ?」 「へっ!?えっと・・・」 男の質問に答えられず、サヤは焦り出した。当然だ、盗賊がバレたら捕まってしまうからだ。 「怪しいな・・・、試しに警察に突き出してみるか・・・」 男はサヤの左手を掴み、引っ張りだした。 「い、痛いな!放してよ!」 抵抗する勢いでサヤと男は至近距離で見つめ合ってしまった。 「ん?」 男はサヤの顔を見て何かを感じたらしく、疑わしい目で見つめてきた。 「寄るな!この変態っ!」 サヤは男を押し倒しのけた。 「お、お前・・・もしかして・・・」 「う、うるさい!近寄るなぁっ!」 サヤは顔を真赤にし、猛スピードで走り去った。 その姿を見た銀髪の男・アルフレッドは・・・。 「あいつ・・・生きていたのか・・・?」 心当たりがあるようで、気になりだした。 3 翌日、アルフレッドとケインは、スナック・ローズガーネットにやってきた。 ここは、賞金首の集まる酒場。アルフレッド達はここでいつも賞金首の情報を得ている。 「さてと、今日一番の獲物はどれかな?」 ケインは手配書を楽しそうにジロジロ見だした。 「今日はあまり手頃なのがないな・・・。一番マシなのはこいつか・・・」 ケインは1枚の手配書を手に取り、アルフレッドの前に持ってきた。 「今日はあまりいいのがなかったよ。最高でもこんなもんだね・・・って、アル?」 アルフレッドはボーっとしていて上の空だった。今日は1日中こんな感じなのだ。 「お〜い、アル!アルフレッド〜!」 「ん?あ、すまない!」 ケインがアルフレッドの前で手を振り、アルフレッドはやっと我に戻った。 「どうしたんだい?今日はずっとボケーっとして・・・。君らしくないよ?」 「何でもない・・・気にするな」 アルフレッドはそう言い、そっぽを向いて、考え事を始めた。 「女ね・・・」 「ぶっ!」 女という言葉を聞いた途端、アルフレッドは飲んでいたアメリカンコーヒーを吹き、むせ返った。 「おいおい、大丈夫か?」 ケインは苦しそうなアルフレッドの背中を擦る。 「笑えない冗談は程々にしてくれよ、姉御」 そう言い、アルフレッドが振り向くと、赤いライダースーツを着て胸元を開けたセクシーでナイスバディーな美女が立っていた。 彼女は、ミレリィ・ガーネット。元賞金稼ぎで、今はこのバーのオーナーをやっている。 元賞金稼ぎという事もあり、この店に来る賞金稼ぎ達にアドバイスや、賞金首の特徴を教えてくれたりする、 アルフレッドとケインにとっていつもお世話になっているお姉さんだ。 「あら、アル坊。まさか、あなたに限って女関係のトラブルなんて思えなかったわ・・・」 ミレリィはワザとらしく笑みを浮かべた。 「女の事なら、このミレリィお姉さんに任せなさい。あなたたちはダーリンの弟子というのもあって、結構特別扱いしてるのよ?」 ミレリィはお姉さんぶりながら、アルフレッドの肩に肘を乗せた。 「い、いや・・・やめておく・・・。仕事以外であんたと関わると何かと面倒事に巻き込まれそうだしな・・・」 「な、何よ、失礼ね・・・。アヤちゃんがいなくなってから、誰とも付き合おうとしなかった貴方が誰かに興味を抱くなんて、面白そうじゃない・・・ふふ」 ミレリィはアルフレッドの耳元を軽く笑った。 すると、アルフレッドは慌てて立とうとして、バランスを崩し盛大に転倒した。 「姐さん、これは重症のようだね・・・」 ケインまで呆れた顔でアルフレッドを見た。もう動揺ぶりで何があったかバレバレである。 アヤはアルフレッドが初めて賞金稼ぎを始めた時のパートナーで、アルフレッドとは恋人関係と疑われた程の日本人の女性だ。 アルフレッドは改心したらしく、立ち上がり、イスを戻し、落着きを取り戻しつつ、イスに座った。 「解ったよ、話せばいいんだろ・・・」 と、出来るだけ2人と目を合わせないようにして、アルフレッドは昨日出会った少女の事を話した。 「なるほど・・・アヤちゃんにそっくりの女の子か・・・」 ケインはにやにやしながらアルフレッドを見つめた。 「い、言っておくが顔だけだからな!性格はあんな乱暴じゃないし、髪だってあいつはもっと長かった!」 アルフレッドは2人が考えている事を察し、必死で誤解を解こうとしだした。 「なるほど・・・そういう事ね・・・。これは面白い事になりそうだわ・・・」 ミレリィは何かを納得したかの様にほほ笑んだ。 「前にアヤちゃんと2人になった時に聞いた事あるのよね・・・」 「アヤから?」 ミレリィはアヤとは、アルフレッドがこのバーに来るようになってから親しくなった仲でアルフレッドの前では聞かせられない話とかをよくしていた仲だった。 「もしかしたら、その子。アヤちゃんの妹さんかもしれないわよ」 「い、妹!?あいつ姉妹がいたのか!?」 元パートナーでありながら、知らなかったアルフレッドは驚いた。まさか、アヤに妹がいたなんて・・・。 「前にアヤちゃんが言ってたのよ。しっかり者の妹を日本の友人に預けて渡米したって・・・」 「しっかり者・・・ねぇ・・・」 アルフレッドはしっかり者に見えなかったあの少女を怪しく思った。 「でも・・・いい機会かもしれないわね・・・。その子がアヤちゃんの妹なら、きっと目的はアル坊と同じハズ・・・」 「どうやら・・・また会う機会が出来そうだな・・・」 ミレリィの冷静な考えに、アルフレッドも同意した。それに、アルフレッド自身も内心もう1度会ってみたいと思っていたのだ。 「・・・あら?ケン坊その手配書・・・」 ミレリィはケインの持っていた手配書に気付き、それを見て何かを考えた。 「姐さん、ご存知なんですか?」 「このミレリィ様に解らない情報の賞金首など殆どないわ!」 「これは失礼しました」 ケインはミレリィに無礼な事を言ってしまった事を詫びた。 「彼は、ミカエル・ゴ―ジャックね。この街の北の方にあるバイソンシティーの一角を牛耳る大富豪よ」 手配書に乗った顔は、目付きが悪く太りきった金持ちそうな男が写っていた。 「25万か・・・。金持ちそうだが、賞金首になりそうな奴には見えねぇな・・・」 アルフレッドはゴ―ジャックの写真を見て呆れていた。 「確かに、アル坊の言う通り、ゴ―ジャック自身はそれほど怖くないわ。ただ、彼には腕の立つエージェントが何人もいるの・・・」 「なぁに、大丈夫ですよ。こっちにはアルがいますから!どーんと任せて下さい!」 ケインは立ち上がり、自慢の相方を賞賛した。すると、アルフレッドはケインを睨みつけ、 「ケイン・・・、慢心するな・・・」 と、冷たく言い放ちつ。アルフレッドがレッドウルフと呼ばれながらも、それを自慢しようとしないのは、 恥ずかしいからではなく、かつて自分の慢心が悲劇を生んだ事を後悔しているからなのだ。 「あぁ・・・ごめん、アル。君はこういうのは好きじゃなかったね」 ケインはアルフレッドを一番よく知っている親友だけに、それを察し謝った。 「とにかく、今回はこの任務を俺達で引き受けるぞ、ケイン」 「OK!」 2人は拳を重ね合わせ、了解の合図を取り、バーを後にした。 4 同日の夜、アルフレッドとケインは、バイソンシティのゴ―ジャック邸にやってきた。 そこは半径1kmが全て所有地というかなり大きな豪邸で室内も大勢の客を呼んでパーティーが開ける程の広さは余裕である。 それだけ広い敷地だけに警備も万全で、門の前には2人以上の黒服の警備隊が立ち並んでいる。 「なるほど、姐さんが言うように結構警備が厳重だね・・・」 ケインはこの謹白した空気の中、アルフレッドに話し掛けた。 「だが、遠距離攻撃に弱そうだな・・・。肉体派ばかりか・・・」 「至近距離で取っ組み合いになったら不利だけど、僕達とは相性がいいね・・・」 「だったら、俺達の射撃で取っ組み合いにならない様に撃ちまくるのみだな・・・。正面から強行突破で行くぞ!」 アルフレッドはそう言い、銃を構え、少し離れた木の上から、 パン!パン! 門の前の黒服2人の足を狙撃した。 「ぐおぁっ!な、何だ!?何処から・・・」 2人の黒服は足を抑え苦しそうにその場に倒れ込んだ。 「今だ!行くぞ!!」 アルフレッドは合図を出し、ケインと2人で正面から突入した。 まさか、もう1人の侵入者が先にこっそり忍び込んでいるのも知らずに・・・。 ゴ―ジャック邸の裏口の通気口をサヤが慎重に通っている。 ゴ―ジャックは有名な大富豪だけに金目なものはかなり所持している。それを目当てで盗賊・サヤが侵入していたのだ。 そんな時、アルフレッド達の侵入により邸内に警報が鳴り出したのだ。 「え?け、警報!?バカな、赤外線は遮断してない筈なのに・・・。もしかして、別の誰かが・・・?」 サヤは突然の警報に少し動揺しつつ、金庫の前まで来ていた。 「大丈夫だよね?多分・・・。ここのお宝頂いたら、早く出て行こう・・・」 サヤはそう言い聞かせ、金庫をこじ開け始めた。すると、近くを通り過ぎた黒服の話声がサヤの耳に入った。 「急げ!見た目はまだ若いがかなりの手ごわい賞金稼ぎが正面から強行突破してきたぞ!」 賞金稼ぎ?随分と大胆で頭の悪い賞金稼ぎがいるもんだなぁ・・・。サヤはそう思いつつ、あっさり金庫の解除に成功した。 「さてさて、金目のものは・・・っと。・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 金庫の中を見たサヤは一瞬止まってしまった。中に入っていたものとは・・・ 「な、何・・・コレ?」 大量のメイドロボが詰め込まれていたのだ。 「こ、こんなのが・・・宝・・・なの?」 サヤは呆れ果て、何も言えなくなっていた。そんな時、サヤの後ろから・・・ 「こんなものとは失礼な事言いますね。旦那様が愛した宝物なのですよ?」 後ろに出てきたのは、スタイル抜群のメイドロボと、白衣を着た若者だった。 「け、気配に気付けなかった・・・」 「さぁ、メイドロボ達よ。旦那様の宝物に近付いた泥棒猫におしおきをしてあげなさい。くっくっく・・・」 「はい、博士」 メイドロボ達はサヤに向かって構えだし、サヤは太ももの辺りに装備した2本の短剣を逆手で持ち様子を伺いだした。 数は、1対10。サヤに対してかなり不利だが・・・。サヤは勝てるのだろうか・・・。 一方、アルフレッド達は、正面からの強行突破で次々と黒服達を薙ぎ払っていき、屋敷内のゴ―ジャックの部屋を探しだした。 「ふぅ、流石に数が落ち着いてきたね、アル」 「いくら奴が大富豪とは言え、護衛にも限界はある。荒っぽい作戦だったが、意外と上手く行ったか・・・」 2人は強引かつ慎重に先へ進み、大きな扉がある部屋の前に立った。 「アル、次はこの部屋開けてみる?」 「あぁ。慎重にな・・・。こういう突発的な時はお前の早打ち型の方が便利だな・・・」 「君の命中には劣るけどね・・・。それじゃ、いくよ!」 ケインは扉を蹴破り、即効で銃を構えた。すると、そこには太った金持ちそうな男と体格のいい黒服が立っていた。 「Bingo!どうやら正解だったみたいだね」 「お前が、ミカエル・ゴージャックだな?」 アルフレッドはケインの横に立ち、太った男に尋ねた。 「あぁ、私こそがミカエル・ゴ―ジャックだ。お前達は問題の侵入者だな?」 ゴ―ジャックは葉巻の火を灰皿に擦りつけ、意外と余裕の表情をしていた。 「ミカエル・ゴージャック!お前の賞金は頂かせてもらうぞ!」 そう言い、アルフレッドはゴ―ジャックに向けて発砲した。 「ゴ―ジャック様っ!」 すると、黒服がゴ―ジャックの前に立ち弾丸を身体で受け止めた。 「ふっ、中々の命中力だ。坊や」 弾丸を受けた筈の黒服は余裕の表情で立ちすくんでいた。 「え?さっき、弾丸が当たったよね?」 「ちっ、防弾チョッキか・・・。それも、相当頑丈な奴を着こんでいやがる・・・。今までの護衛とはレベルが違うな・・・」 アルフレッドとケインの顔から余裕の表情が消えた。 そんな絶体絶命のピンチの時だった・・・。 ボコッ!と壁をぶち破られ、ボロボロのメイドロボが吹き飛ばされ、その後を追う様にサヤが部屋に入ってきた。 「あぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!!私のポエミちゃん!!」 ゴ―ジャックは急に顔色が悪くなった。当然だ。大事な宝物のメイドロボがボロボロにされているのだから・・・。 「ふぅ、これで全滅っと・・・。思っていたより大した事なかったな・・・ん?」 サヤは無傷でメイドロボ10体を全滅に追い込み、アルフレッド達に気が付いた。 「あーっ!あんた、昨日の銀髪!!」 「ちっ、こんな時に一番会いたくない奴に会っちまった・・・」 サヤはアルフレッドを指差し、アルフレッドは顔色が悪くなった。 「アル、もしかしてあの子・・・」 「もしかしなくても、昨日のあいつだ・・・」 ケインはアルフレッドに事情を尋ね、アルフレッドは呆れた顔でサヤを見た。 「おい、お前。何しに来たんだ?」 「え?何しにって・・・・?えっと・・・」 アルフレッドの質問にサヤは困り出した。すると、 「き、キサマぁぁぁあああっ!!さては盗賊だな!!私の一番の宝のメイドロボちゃん達を盗みに来た・・・!!」 ゴ―ジャックはサヤを指差し怒鳴り付けた。 「うっ・・・、バ、バレた・・・」 サヤは顔色が悪くなり、頭を掻きだした。 「盗賊?お前、盗賊だったのか?」 アルフレッドはサヤに近付き、睨みつけてきた。 「だったら、丁度いい。お前もゴ―ジャックと一緒に警察に突き出してやる!」 アルフレッドはサヤの左手首を無理矢理掴み引っ張り出した。 「放してよ!!あたしは捕まる訳には行かないんだ!!」 「おいおい、アル。女の子相手にちょっと乱暴が過ぎるよ!」 ケインはアルフレッドを止めに入った。アルフレッドは相手が誰であれ手加減しないタイプなのだ。 「止めるな、ケイン。こいつは犯罪者だ。警察に突き出すのは市民の義務だろ?」 アルフレッドはケインの身体の前に左手を添えた。 「あたしは、姉さんに会わなくちゃいけないんだっ!」 「ね、姉さん・・・?」 アルフレッドはサヤの「姉さん」という言葉に反応し、手を放した。 昼間、ミレリィが言っていた事を思い出し、核心したのだ。彼女こそが、元相棒の妹だと。 「そうか・・・。警察には突き出さないでやる。だが、あいつを捕まえるのに協力してもらうぞ!」 アルフレッドがサヤを見る目つきが変わり、サヤに条件を出した。 「・・・やむえない・・・か。いいよ・・・」 サヤは改心し、アルフレッドに従う事にした。 「いいか、ゴ―ジャックを捕まえるには、横にいる黒服を何とかしなくちゃいけない。だが、奴は頑丈な防弾チョッキを着ている・・・」 「だったら、チョッキを着てない場所を集中攻撃をするしかないね。だったら、接近戦が有利か・・・。いいよ、こいつはあたしが引き受けた」 サヤは笑みを浮かべ、短剣を構え、黒服にとんでもない速さで急接近し、一瞬でフトコロに入った。 「は、速い!!」 黒服はあまりのスピードに驚き、その瞬間。サヤの飛び膝蹴りが黒服の顔面にクリーンヒットし、のけぞったところに追い打ちでもう一撃蹴りが入った。 「ひ、ひぃぃぃっ!!」 ゴ―ジャックは護衛隊長が素手で倒されてしまった事にビビり、慌てて逃げ出した。 「ちっ、逃がすかよ!」 アルフレッドは弾丸に細工を入れ、ゴ―ジャックに標準を合わせ、発砲した。 すると、弾丸は分裂し、ゴ―ジャックの両腕両足に弾丸の破片がヒットし、ゴ―ジャックは痛そうに倒れ込んだ。 「い、今のは・・・ブレイクショット?何で・・・?」 サヤはアルフレッドの使った技に見覚えがあるらしく、目を丸くし、彼を見つめた。 「・・・ケイン。奴の確保を頼む」 ケインはアルフレッドに頼まれ、身動きが取れないゴ―ジャックを取り押さえた。 そんな時だった。サヤがアルフレッドに近寄り、彼の襟首を掴み出したのだ。 「ちょっと、あんた今の技何処で!?何であんたがその技を使えるの!?」 サヤはアルフレッドに質問攻めを仕掛け、アルフレッドは素直に応対をした。 「これは、俺が2年前まで組んでいた元相棒の得意技だ。あいつの見よう見まねで覚えた」 「も、元相棒?っていうと、賞金稼ぎの?」 「そうだ。俺は昔、日本人の女と組んで賞金稼ぎをやっていた・・・。キサラギ アヤという女とな・・・」 「き、如月・・・綾!!」 サヤはアヤの名を聞き、考えていた事が核心に変わったようだ。やっと探していた手がかりをつかんだのだ。 「あんたが姉さんの元相棒・・・」 「姉さん?・・・そうか。似ているとは思っていたが、やはり・・・お前は・・・」 「あたしは、如月綾の妹の如月鞘。あんたは?」 「俺はアルフレッド・サイファだ。本当にアヤの妹・・・だったんだな・・・」 アルフレッドとサヤは真剣な目で互いを見つめあっている。 「あたし、2年前に失踪した姉さんの行方を追ってこの国に来たんだ・・・。些細な事でいいから、教えて!アルフレッド・サイファ!」 サヤは必死にアルフレッドに言い寄ってきた。 「いいだろう、だが・・・。明日の朝、ちょっと付き合ってもらうぞ・・・」 「いいよ、何処へでもついていく・・・」 サヤはアルフレッドと約束をし、その場を去った。 6 翌朝、ゴ―ジャックの身柄は全てケインに任せ、アルフレッドは路地裏でサヤとの待ち合わせをしていた。 「おいおい、随分早いな。まだ待ち合わせ時間の30分前だぞ?」 「30分も前に来ている時点で、お互い様だけどね・・・」 「まぁ、いい。少し早いが行くか・・・」 アルフレッドはそう言い、サヤを先導していき、街外れの古い建物へ案内した。 「こ、ここは・・・?」 「・・・孤児院だ・・・。俺とアヤの初めて出会った思い出の場所・・・」 「姉さんと・・・アンタが・・・?」 この孤児院でアルフレッドはサヤに何を見せようと言うのだろうか・・・。 続